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2017年3月 3日 (金)

特許権侵害の主張で構成要件の充足性否定(事案)

東京地裁H28.1.28      
 
<事案>
「メニュエール病治療薬」とする特許権を有する原告が、被告らによる被告製品の製造販売が前記特許権の侵害に当たると主張
被告らに対し、
①特許法100条1項及び2項に基づく被告製品の製造等の差止め及び侵害の予防に必要な行為を
②民法709条及び特許法102条2項又は3項に基づき損害賠償金の一部及びこれに対する遅延損害金の連帯支払を
求めた。
 
<争点>
特許請求の範囲記載中「成人1日あたり0.15~0.75g/kg体重のイソソルビトールを経口投与されるように用いられる」という要件を被告製品が充足するか
②本件特許の無効事由の有無
③損害額
 
<判断>
争点①について、前記要件の充足性を否定し、原告の請求をいずれも棄却。
 
①イソソルビトールの投与量が成人1日あたり0.15~0.75g/kg体重の範囲未満または超過の用法があっても本件の発明の技術的範囲に含まれるのか否かにつき特許請求の範囲には記載されていない。
②明細書の発明の詳細な説明の欄の記載を見ると、本件の発明は従来のイソソルビトール製剤の投与量が過大であるために生じる種々の問題を前記範囲にまで投与量を削減することによって解消したというもの
⇒前記範囲を超える量のイソソルビトールを投与するように用いられる治療薬は、患者の特徴や病態の変化に応じて医師の判断により投与量が削減された場合に前記範囲で用いられ得るものであっても、本件の発明の技術的範囲に属しないと解すべき。
①の要件は、この用量を、患者の病態変化その他の個体の事情に着目した医師の判断による変動をしない段階、すなわち治療開始当初から、患者の個人差や病状の重篤度に関わりなく用いられることをいうものと解するのが相当

薬剤の用法用量は添付文書に記載され、医薬品の製造販売業者から提供されていることを義務付けられている⇒被告製品が本件の発明の技術的範囲に属するためには所定の用法用量が添付文書に記載されていること又は製造販売業者が提供する情報に含まれていることが必要
but被告製品はこうした要件を満たさない
 
<解説>
物の発明(特許法2条3項1号)は、原則として、当該物をその構造又は特性により特定することが求められる(最高裁H27.6.5)ところ、物を特定の用途に用いることが未知の特性となる場合に、その用途を特定することが行われる。
薬剤の発明においては、薬剤を構成する化合物は既知である一方、用法及び用量という用途が未知のものであるとして、これを特定することが行われている。
こうした用途は、物の使用方法であり、具体的には使用の主体(誰が使用するのか)及び態様(いつ、どこで、どのように使用するか)を明らかにすることによって特定。

判例時報2315

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
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