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2017年3月10日 (金)

死刑確定者と弁護士との立会のない面会の不許可と国賠請求(肯定)

東京地裁H28.2.23      
 
<事案>
死刑確定者X1と弁護士X2・X3が、拘置所長から秘密面会を許されなかったことにつき、国賠法1条1項に基づき、損害賠償(一部請求)として、面会1回につき慰謝料15万円及び弁護士費用1万5000円並びに遅延損害金の支払を求めた事案。 
 
<争点>
秘密面会を許さなかった拘置所長の措置が国賠法上違法か否か 
①最高裁H25.12.10にいう「心情の安定を把握する必要性が高い」か否かをどのように判断するか
②同判決の判断枠組みは死刑確定者と代理人弁護士との民事訴訟に向けた打合せのための面会にも妥当するか
③代理人弁護士は秘密面会をする固有の利益を有するか
 
<判断>
●争点①について 
心情の安定は個々の人の主観、内心に関わる問題これを理由として、死刑確定者に保障されるべき権利利益を誓約することが必ずしも相当とはいえない

死刑確定者又は弁護人が再審請求に向けた打合せにつき秘密面会を許さない措置が心情の安定を把握する必要性から許容されるのは、「死刑確定者の面会についての意向を踏まえ」た場合、すなわち、面会に否定的な意向を有しているのか否か、秘密面会を求めているのか否かなどの死刑確定者本人の意向を最も重要な考慮要素として判断した場合に限られる
 
●争点②について
①死刑確定者は、自己が受けた処遇に関する救済を求める国家賠償の訴訟(処遇国賠訴訟)を提起した場合においては、刑事施設が紛争の相手方本人であること、
②刑事収容法112条2号、116条2項の趣旨

同法121条ただし書にいう「正当な利益」として、同訴訟の代理人弁護士と秘密面会をする利益を有する

死刑確定者又は代理人弁護が処遇国賠訴訟に向けた打合せのために秘密面会の申出をした場合にこれを許さない措置は、平成25年最判にいう特段の事情がない限り、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用して死刑確定者の秘密面会をする利益を侵害するものとして、国賠法1条1項の適用上違法となる。
 
●争点③について 
処遇国賠訴訟の代理人弁護士が、固有権として死刑確定者との秘密交通権を有することをうかがわせる法令上の規定は見当たらず、同弁護士は、あくまでも、死刑確定者の代理人として、死刑確定者が求める限度で、死刑確定者の利益のために活動する地位を有するにとどまる。
死刑確定者と秘密面会をする固有の利益を有しない
 
<解説>
①平成25年最判のいう「心情の安定を把握する必要性が高い」ことの認定に付き、「心情の安定」という本人の主観にわたる不明確な要件によって秘密面会が制限されるとするのは相当ではない
同判決が「死刑確定者の面会についての意向を踏まえ」という文言をあえて加えている意図

死刑確定者が秘密面会あるいは弁護人あるいは弁護人との面会自体に否定的な意向を示している場合は格別、少なくとも死刑確定者が弁護人との秘密面会を求めている場合には、前記場合には該当しないという見解があり、東京高裁H26.9.10も同様の判断。

本判決は、平成25年最判で説示された「死刑確定者の面会についての意向を踏まえ」という文言を重視し、前記認定が許されるのは死刑確定者本人の意向を最も重要な考慮要素とした場合に限られるとした。

判例時報2316

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