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2017年3月 1日 (水)

婚姻費用の算定事案

東京家裁H27.8.13      
 
<判断・解説>
●婚姻費用の支払の始期
XがYに内容証明郵便をもって婚姻費用の分担を求める意思を表明した平成26年1月とするのが相当。

◎解説
婚姻費用や養育費の支払の始期については、裁判所の合理的な裁量によって決定すべき問題。
実務上は、権利者が婚姻費用や養育費の分担請求をした時とすることが多く、通常は、調停や審判の申立てをした月
調停や審判の申立てをする前に婚姻費用や養育費の請求をしたことが内容証明郵便や電子メール等で明らかな場合⇒その請求をした月を始期とすることが多い。
 
●Xが居住する自宅の住宅ローンの支払について
Yによる住宅ローンの支払額の一部に相当する額を婚姻費用の分担額から控除するのが相当。
 
◎解説 
義務者が家を出て、権利者が居住する自宅の住宅ローンを支払っている場合、
①権利者は自らの住居関係費の負担を免れる一方、②義務者は自らの住居関係費とともに権利者世帯の住居関係費を二重に支払っていることになる。
⇒婚姻費用の算定に当たって、義務者が住宅ローンの支払をしていることを考慮する必要がある。
but
住宅ローンの支払には義務者の資産を形成するという側面がある
⇒支払額全額を控除することは、生活保持義務よりも資産形成を優先させる結果にもなり、相当ではない。

この場合の算定方法:
A:住宅ローンの支払額を特別経費として控除する方法
B:算定表による算定結果から一定額を控除する方法
本審決は、Bの考えに従っているが、住宅ローンの返済条件の変更に伴って、控除する額に変更を加えている。
 
●就学中の長男及び長女の取扱い及び学費の考慮 
既に成年に達している長男及び近い時期に成年に達する長女を未成熟しとして取り扱うのが相当と判断。
その学費等については、
①Yによる進学への承諾は長男及び長女が奨学金の貸与を受けることを前提としたものであったこと、
②長男及び長女が奨学金の貸与を受けており、長男及び長女の教育費にかかる学費等のうち、長男の火曜大学への学校納付金につちえは全て、また、長女の通う専門学校への学校納付金についても9割以上、各自の受け取る奨学金で賄うことができる
③算定表で既に長男及び長女の学校教育費としてそれぞれ33万3844円が考慮されている
④Yが、現在居住している住居の家賃の支払だけでなく、住宅ローンの債務も負担、
⑤長男及び長女がアルバイトをすることができない状況にあると認めるに足りる的確な資料がない
⑥当事者双方の収入や扶養すべき未成熟子の人数その他本件に顕れた一切の事情

長男及び長女の学費等を算定表の幅を超えて考慮するのが相当とまではいうことはできない。
 
◎解説 
未成熟子とは、経済的に自ら独立して自己の生活費を獲得すべき時期の前段階にあって、いまだ社会的に独立人として期待されていない年齢にある子女

子が成年に達していても、大学等に進学している場合には、未成熟子として取り扱うことが実務上少なくない

他方、その場合も、親の収入状況や親が扶養すべき家族の人数等によっては、子の奨学金やアルバイト収入等を考慮に入れないと、婚姻費用や養育費について適正な額を算定することが難しいこともある。
本審判が、長男及び長女の進学についてYの承諾がありながら(義務者が私立学校への進学を承諾している場合には、算定表による算定結果に私立学校の学費の不足分を加算することが多い。)、長男及び長女の奨学金や稼働状況、当事者双方の収入や扶養すべき未成熟子の数等を考慮し、学費などを算定表の幅を超えて考慮しないとしている。

判例時報2315

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