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2017年3月

2017年3月31日 (金)

馬券の的中による所得が雑所得と認められた事例

東京高裁H28.4.21      
 
<事案>
Xは、馬券の的中による払戻金に係る所得について、雑所得に該当するとして確定申告
⇒所轄税務署長から、本件競馬所得は一時所得に該当し、かつ、外れ馬券の購入代金を総収入金額から控除することはできないとして、更正処分及び賦課決定処分を受けた。
⇒各更正処分のうち確定申告額を超える部分及び各賦課決定処分の取消しを求めた
 
<争点>
①Xの購入態様による本件競馬所得が「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」に該当するか
②外れ馬券の購入代金が必要経費にあたるか 
 
<判断> 
①Xによる各年における回収率がいずれも100パーセントを超え、多額の利益を恒常的に得ていた⇒期待回収率が100パーセントを超える馬券を有効に選別し得る何らかのノウハウを有していたことが推認される

Xが独自のノウハウに基づいて長期間にわたり多数回かつ頻繁に当該選別に係る馬券の網羅的な購入をして100パーセントを超える回収率を実現することにより多額の利益を恒常的にあげていた。
②このような一連の馬券の購入は一体の経済活動の実態を有するということができる

①本件競馬所得について雑所得に該当する
外れ馬券の購入代金につき必要経費として雑所得に係る総収入金額から控除される

原判決を取り消し、各更正処分及び各賦課決定処分をいずれも取り消した。 

判例時報2319

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「人の努力としてのマネジメント」

現代の企業は人的・社会的組織である。規律としてそして実践としてのマネジメントは人と社会の価値を扱う。確かに、組織は自身を超える目的のために存在する。事業会社の場合、目的は経済であり、病院の場合、患者のケアとその回復であり、大学の場合、教授と学びと研究である。これらの目的を達成するため、我々がマネジメントと呼ぶ独特の近代の発明は、共同のパフォーマンスのために人を組織し、社会組織を創造する。しかし、マネジメントが組織の人的資源を生産的にすることに成功する時に初めて、望ましい外部の目的と結果を達成することができる。

マネジメントは医学以上に科学ではない。双方とも実践である。 実践は巨大な科学の体系から糧を得る。医学が生態学、化学、物理学及びその他の自然科学から育つように、マネジメントは、経済学、心理学、数学、政治理論、歴史及び哲学から育つ。しかし、マネジメントはまた、医学のように、独自の仮説、独自の目的、独自の道具及び独自のパフォーマンスゴールと測定を持つ、独自の正当性における学問分野である。

ソース:The Daily Drucker 1 April.

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2017年3月30日 (木)

公務執行妨害罪で保護される適正な職務

東京高裁H27.7.7      
 
<規定>
刑法 第95条(公務執行妨害及び職務強要) 
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
 
<判断>
公務執行妨害罪によって保護される適正な職務には、分掌事務に直接該当するものに限られず、当該事務を円滑に遂行するため、これを阻害する要因を排除ないし是正することも、相当な範囲にとどまる限り、本来の職務に付随するものも含まれる。 
本件当日の被告人の振る舞いは、保護課職員を萎縮させて保護の適正な執行を阻害するおそれがあるものであった⇒これを是正するため被告人に対し謝罪を求めた行動は、被害者の本来的な職務に付随するものとして、法令上の根拠を有する
被告人がそれまで職員に対し恫喝的な態度をとってきており、これに対し注意、説得する必要があった⇒被告人に謝罪を求める行為が必要性、相当性を欠くものとまでは認められない
 
<解説>
刑法95条1項にいう職務は、ひろく公務員が取り扱う各種各様の事務のすべてが含まれる。(最高裁昭和53.6.29) 

●公務執行妨害罪によって保護されるべき職務に当たるかどうかが問題となるのは、当該公務員が、本来的に担当する事務ではなく、これに付随する事務を行っていた際に暴行脅迫を受けたケース。

路上で、被告人の吐いた唾が交通整理等をしていた警察官にかかったことから、その警察官が職務質問をするため、胸元をつかみ歩道上に押し上げた行為は、職務質問に付随する有形力の行使として当然許されるとしたもの(最高裁H1.9.26)。

公務執行妨害罪によって保護の対象となる職務の執行は、抽象的・包括的に捉えられるべきものではなく、具体的・個別的に特定されていることを要する(最高裁昭和45.12.22)が、一般的職務権限内の行為であれば、内部的な事務分担については問わないというのが大勢。

港湾建設局事務所の事務室で、工務課調査係長が上司の命により専門官の職務に相当する事務に属する研究のため参考文献を読んでいたところ、暴行を加えられた事案で、
公務員の職務の執行と認められるためには、法令上当該公務員にその行為をする一般的職務権限があることを必要とするが、その職務内容は必ずしも法令で具体的に規定されたものであることを必要としない
一般的権限を有する以上、単に職務執行上の便宜に基づいて定められた内部的事務分担のいかんは、職務権限の有無に影響を及ぼさず、
更に、一般的職務権限は当該公務員の独立の権限たることを要せず、上司の指揮・命令によって事務を執り行う場合であっても差し支えない。
(神戸地裁昭和37.3.19)

郵政事業職員の職務分類上の内務職員とされる集配課主事が、外無職の職務である郵便物の大区分作業をしていたところ、暴行を加えられた事案につき、被害者の職務執行は適法性を欠くとの主張に対し、被害者が必要に応じて本来の所掌事務ではない郵便物区分作業を行うことは組織規定上も違法とはいえないのみならず、上司の職務命令によって事務応援として前記作業を行うことができることも当然であって、本件においては、上司の職務命令によって郵便局の大区分作業を担当するに至ったものであるから、その職務執行は適法(東京高裁)。

内部的な事務分担自体が適法なものでなければならないのは当然。 

税関職員が繋留中の外国船内において所持品検査をしたところ、反則違反の現行犯と認め、連行していく際に暴行を加えられた事案につき、
税関職員は職務上犯則事件の現行犯人を逮捕する権限を認められた規定はなく、税関監視部長の命により内部的に実施されている職務分掌規程中反則違反の現行犯に対し同行を求め得ることを定めたことは何ら法令上の根拠に基づくものではない。
税関職員に同行を求める法令上の職務権限があるとは認められないのみならず、任意の同行を逸脱し、半ば強制的に連行した場合に当たる
公務員の職務の執行に当たらない(大阪高裁昭和34.5.4)

判例時報2318

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「分析から知覚へ」

数学者と哲学者の世界において、知覚は「直観」であり、見せかけか、霊感による、つかまえどころのない、不可思議なものである。物理学的な世界観の資産である知覚は、「重要な」ものでなく、それなしでやっていける「人生の些末なもの」に追いやられた。しかしながら、生物学の世界では、知覚は中心にある。そして、もちろん、どの「生態学」も分析より知覚である。生態学では、「全体」が観察され理解されなくてはならず、「部分」は全体を考慮してのみ存在する。300年前、デカルトは、「我思う、故に我在り」と言った。我々は今「我は見る、故に我在り」と言わなくてはならない。

実際、この本が扱う新たな現実は外形(形態)であり、分析と同様知覚を要する。例えば、新たな多元論の動的な不安定、多国籍で国境を越える経済と国境を越える生態学、大いに必要とされる新たな原型の「教育のある人々」。

ソース:The Daily Drucker 31 March.

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2017年3月29日 (水)

温泉付きホテル内に出店しているマッサージ店と利用客との取引と会社法9条の類推によるホテルの経営会社の責任(肯定)

神戸地裁姫路支部H28.2.10      
 
<事案>
X1はY2の経営する温泉付きホテル内にY1が出店しているマッサージ店において、Y1からマッサージの施術(「本件施術」)を受けた⇒頸椎症性脊髄症となり、手術を受けたが、四肢不全麻痺の後遺障害
 
<請求> 
X1⇒Y1:
本件施術におけるY1の注意義務違反ないし過失により頸椎症性脊髄症を発症し、四肢不全麻痺の後遺障害を負ったとして、債務不履行又は不法行為に基づき、

X1⇒Y2:
Y2が本件マッサージ店の営業主体であると誤認させる外観を作出し、X1がこれを信じて本件施術を受けたために前記後遺障害を負うに至ったなどとし、
①主位的に、会社法9条の類推適用に基づき、
②予備的に、使用者責任に基づき
損害賠償金及び遅延損害金の連帯支払を求める

X1の妻であるX2並びに子であるX3及びX4
⇒Y1:不法行為
⇒Y2:会社法9条の類推適用
に基づき、損害賠償金及び遅延損害金の連帯支払を求めた。
 
<判断>
●X1の請求:
Y1の債務不履行責任及び不法行為責任を肯定。
Y2は、X1に対し、会社法9条の類推的により名板貸任と同様の責任を負う。 

●会社法9条の類推:
最高裁H7.11.30を引用し、本件において、会社法9条が類推適用される要件として、
①本件マッサージ店の営業主体がY1であると誤認混同させる外観の存在
外観作出へのY2の関与
X1の信頼

①ホテルAのある半島には同ホテル以外の独立した商業施設がなく、ホテルAの建物外部に本件マッサージ店の屋号は表示されていない
②ホテル内部においても、顧客案内用の掲示には「マッサージコーナー」とのみ表示され、本件マッサージ店の入口の看板にも屋号の表示なし
本件マッサージ店は、ホテルAの他の施設に混在して存在し、ホテルの混浴施設の利用客に渡すためにホテルAのロゴが記載されたタオルが常備され、マッサージの代金をホテルの宿泊料金と一括清算できるようにするなどしていた

一般のホテル利用客に対し、本件マッサージ店の営業主体がY2であると誤認混同させる外観が存在。
Y2がその概観の作出に関与していたといわざるを得ず
X1はその外観を信頼して本件施術を受けたといえる

Y2は、会社法9条の類推適用により、X1とY1の取引に関して名板貸人と同様の責任を負う

●X2ないしX4の請求:
Y1に対する民法709条、710条に基づく損害金等(慰藉料等)の請求を一部認容。
Y2に対する会社法9条の類推適用は否定。
 
<解説>
●会社法 第9条(自己の商号の使用を他人に許諾した会社の責任)
自己の商号を使用して事業又は営業を行うことを他人に許諾した会社は、当該会社が当該事業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。
 
会社法9条は、平成17年改正前商法23条を承継した規定。
権利外観法理ないし禁反言法理を基礎として、営業主体を名板貸人であると誤認する取引相手方の信頼を保護する規定。

最高裁H7.11.30:
スーパーマーケットの屋上でペットショップを営んでいたテナントからインコを購入した客の家族がオウム病等にかかり死亡した事案について、商法23条の類推適用により、スーパーマーケットの経営会社がテナントと客との取引に関して名板貸人と同様の責任を負うと判示。
 
名板貸責任における被許諾者が行う営業については、特段の事情のない限り、許諾者の営業と同種の営業であることを要すると解されている。(最高裁昭和43.6.13)
but
商法23条の類推適用を肯定した最高裁H7.11.30の最判解説においいては、営業の同種性については、外観の存否を判断する一要素として考慮すれば足りるであろうと指摘。

本判決は、同種の営業でないことを前提としても、ホテル業とマッサージ業の関連性などからすれば、営業主体を誤認混同させる外観の存在を肯定できると判断。
 
●X2ないしX4のY2に対する会社法9条の類推適用の可否について、
X2ないしX4との間に取引関係がなく、X2ないしX4が外観を信頼したということはできない会社法9条を類推適用する前提を欠く

判例時報2318

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「複雑なシステムの特性」

現代数学において最も急速に成長する分野は複雑さの理論である。それは、厳格な数学的証明により、複雑なシステムは予測を許さないことを示す。それら(複雑なシステム)は、統計的に重要でない要因によりコントロールされる。これは「バタフライ効果」として知られてきた。その風変わりな、しかし数学的に厳格な(そして実験的に証明された)公理はアマゾンの熱帯雨林での蝶の羽ばたきが、数週間か数カ月後のシカゴの天気をコントロールでき、しばしばコントロールすることを示す。複雑なシステムにおいて、気候は予測可能であり、高度な安定性をもつが、「天気」は予測不可能であり、全く不安定である。複雑なシステムは、どんなものも「外的なもの」として排除できない。天気に関しては、短期の現象について、システムはない。無秩序があるだけである。

経済と経済政策は短期の現象を扱う。それらはリセッションと価格変化を扱う。現在の経済と経済政策は、長期は、短期の政策、例えば金利の変化、政府の歳出、税率等により作られるというシステムを想定する。現代数学が証明したように、複雑なシステムにとって、これは単純に正しくない。

ソース:The Daily Drucker 30 March.

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2017年3月28日 (火)

新設分割会社の株主の不法行為責任と取締役としての任務懈怠責任が否定された事例

大阪地裁H28.2.19      
 
<事案>
A社は、複合材料を用いた建築材料、工業材料の研究開発及び製造販売等を目的とする株式会社。
X1~X4(「Xら」)は、A社の株主で、X1、X2、X4はA社の取締役。

Y1社は、複合材料等の素材、その加工や表面処理装置及びその部品の製作、売買等を目的とする株式会社であり、A社の発行済株式総数の過半数を有していた。
Y2は、Y1社の常務執行役員であった者であり、X1、X2及びX4のA社の取締役解任後にA社の代表取締役に就任し、A社の業務全般を掌理していた者。
X1、X2及びX4は、平成22年5月のA社の定時株主総会において、Y1社による取締役解任議案の提出、賛成を受けてA社の取締役を解任され、代わってY2外1名がA社の取締役に就任。
⇒Y1社が、A社から新株予約権の無償割当てを受けるなどしてA社の発行済株式総数の3分の2を超える株式を取得。

A社の取締役会及び臨時株主総会において、A社が当時行っていた、複合材料を用いた工業用資材の研究開発及び製造販売等に関する事業(「本件事業」)に関する権利義務を、新たに設立するB社に承継させる旨の新設分割計画が承認され、新設分割設立会社であるB社につき設立の登記が経由。
A社の取締役会において、新設分割によりA社に割当てられたB社の普通株式の全部(「本件株式」)をY1社に譲渡する旨の決議。
A社は、Y1に対し、6000万円で本件株式を売却
A社は、破産手続開始の申立てを行い、破産手続開始決定がなされた。
 
<主張>
Xらが

①Y1社に対し、Y1社が、A社の定時株主総会において、その当時取締役であったX1、X2及びX4外1名を解任する旨の議案を提案し、これに賛成した上、自己の意を受けてA社の代表取締役に就任したY2外1名に指示して、Y1社に対する新株予約権の無償割当てを実施させ、新設分割により本件事業をB社に承継させるとともに、A社から本件株式を著しい廉価でY1社に譲渡させ、A社を破産手続開始の申立てに至らしめたという一連の行為が、Y1社とA社及びXらを含むA社の株主との間で交わされた株主間協定に違反し信義誠実の原則に著しく反するものであるとして不法行為責任を主張

②Y2に対し、Y1社の意を受け、A社を破産させることを企てた上、新設分割を通じて、A社の唯一の事業であった本件事業をB社に承継させるとともに、A社に割り当てられた本件株式を著しい廉価でY1社に譲渡したとして、会社法429条1項に基づく役員の第三者に対する責任を主張

③Y1社及びY2に対し、前記各責任に基づき、Xらの有していたA社の株式が無価値になったことによる損害及びXらのA社に対する債権が一部回収不能になったことによる損害の賠償
を求める。
 
<判断>
●主張①について
A社の有していたFRP製高圧油井管の遠心成形技術(「本件技術」)に対する評価及び本件株式の譲渡価格を決定する際に作成された調査報告書の正当性を判断したうえで、
株主間協定は、基本条項に照らしても、直ちに、Y1社に対し、XらとY1社との協力関係に関し、具体的な法的義務を負わせたものと解することはできない
②Y1社が新株予約権を行使してA社の発行済株式総数の過半数の株式を取得し、X1、X2及びX4をA社の取締役から解任したことをもって、株主間協定に違反するということはできない
③新設分割からA社の破産申立てに至る一連の経緯については、本件事業の継続を図り、これにより債務超過と事業停止に至ったA社の法的整理と行ったというもので、Y1社に対する本件株式の譲渡価格が不相当に廉価であったとも認められない
④前記一連の行為が会社法上適正な手続に則って行われた

Xらの主張する前記一連の行為は、Y1社により、本件技術を不当な対価で奪い取るという違法・不当な意図の下で、法制度を潜脱して行われた不法行為とはいえない
 
●主張②について 
Y2の善管注意義務違反又は忠実義務違反の有無について:
①本件技術に関する事業の継続のための新設分割を実行したY2の判断は、当時のA社の経営状態にかんがみれば、A社の取締役として合理性を欠く不当なものであったということはできない
②本件株式を譲渡し、対価を債権者に対する弁済に充て、そのたんめに破産手続を利用することが合理性を欠く不当な判断ということもできない
③Y1社に対する本件株式の譲渡価格が不相当に廉価であったともいえない

株式譲渡からA社の破産申立てまでの一連の経緯について、Y2にA社の取締役として善管注意義務違反又は忠実義務違反があったということはできない

⇒Xらの請求をいずれも棄却。 

判例時報2318

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「なぜマネジメント科学は失敗するのか」

全てのマネジメント科学の下には1つの基本的な洞察がある。それは、事業会社は最も高度な秩序のシステムということである。自発的に知識とスキルを貢献し、合弁事業に貢献する人々を部分とするシステムである。そして、ミサイルのコントロールのような機械的なものであれ、木のような生物学的なものであれ、事業会社のような社会的なものであれ、1つのことが全ての純粋なシステムを特徴づける。それは、相互依存である。1つの特定の機能や部分が改良され、より効率的になったとしても、全体のシステムは必ずしも向上しない。実際、システムはそれにより傷つけられ、破壊されることもある。いくつかのケースでは、システムを強化する最善の方法が、部分を弱めること(=より不正確にし、より非効率にすること)であり得る。いずれのシステムでも重要なのは全体のパフォーマンスである。これは、単なる技術的効率性ではなく、成長の結果であり、ダイナミックなバランス、調整及び統合の結果である。 マネジメント科学における部分の効率化の強調は損傷に向かう。それは、全体の健全とパフォーマンスの犠牲の下、道具の精密さの最適化に向かう。

ソース:The Daily Drucker 29 March.

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フランス民法上の急速審理命令により不分割共同財産の管理人として指名されたピカソの相続人1人による著作権侵害の主張(肯定)

知財高裁H28.6.22      
 
<事案>
フランス共和国法人の著作権管理団体である原告協会、及び、亡パブロ・ピカソの子どもの1人である原告X1が、主催するオークション用に、原告協会の会員の作品やピカソ作品の写真を掲載したカタログを作成した被告に対し、著作権(複製権)侵害を理由に、不法行為に基づく損害賠償請求ないし悪意の場合の不当利得返還請求として、
①原告協会につき一部請求として8650万円及びこれに対する遅延損害金の支払を
②原告X1につき一部請求として850万円及びこれに対する遅延損害金の支払を、
それぞれ求めた事案。 
 
<原審>
原告らの請求につき、
原告協会について、4094万4350円の支払請求及びこれに対する附帯請求を
原告X1については、441万7000円の支払請求及びこれに対する附帯請求を認容
 
<争点>
①原告X1の原告適格の有無(フランス民法上認められている不分割共同財産制度の管理者として、パリ大審裁判所の急速審理命令によって、ピカソの著作権の管理者に指名された原告X1が、我が国において自己の名義で訴訟提起することの可否)
②フランスにおける著作権管理団体である原告協会に対する各会員の権利移転の有無(適用される準拠法のほか、入会時の一般規約において使用されている「apport」という用語の意義)
③ 被告の複製権侵害の態様と原告らの損害額(本件カタログ上、白黒以外の単色で印刷されている作品についての「モノクロ」該当性、証拠として提出されていないカタログへの掲載の認定の可否、事後的に作成された著作権管理料での損害額の認定の可否)
④利用許諾の有無(会員番号四の作品につき、被告への管理委託の有無)
⑤本件カタログへの写真掲載についての著作権法47条の「小冊子」該当性(観賞用の展示以外の目的での複製についての該当性)
⑥本件カタログへの写真掲載についての著作権法32条該当性(写真の掲載について、目的、方法等の点での公正な慣行への合致の有無、引用の目的の正当性)
⑦本件訴訟が権利濫用に該当するか(平成22年1月施行の著作権法改正により47条の2が新設された趣旨、譲渡の申出の際の複製が従前から適法であったことを確認されたものか)
 
<判断> 
●争点①
当事者適格の準拠法:
①手続法上の問題⇒法廷地である我が国の民訴法を準拠法をすべきであることを前提
②我が国の民訴法が、他人の権利や法律関係を訴訟で主張することを無制限に認めているわけではない
⇒訴訟担当の中でも、訴訟法自体が担当者の定めを規定している場合ではなく、担当者が実体法上の法律関係に基づいて、訴訟物の管理処分権等が認められる場合においては、法廷地法の視点から、当該者に管理処分権及び訴訟追行権限を認めてよいか否かという点を検討する上で、訴訟担当者と非担当者との関係を規律する当該実体法の内容を考慮すべき。

③本件は、訴訟担当者の訴訟追行権限が一定の実体法上の法律関係の存在を前提⇒当該法律関係の準拠実体法を参照することが求められる。
原告X1の訴訟追行権限は、フランス民法1873条の1に基づく権利不分割の合意を前提にした上で、管理者の選任について、フランス民法1873条の5第1項に規定する共同不分割権利者の合意が成立しなかったため、パリ大審裁判所の急速審理命令により、原告X1がピカソの相続人中の管理者として選任されたことに基づくもの。

①民訴法30条の選定当事者制度
②共有者の権利の内容(民法252条、249条)
③各共有者による共有物不分割の合意(民法256条1項ただし書)
④債権の合意による不可分(民法428条)
⑤相続財産の共有(民法898条)
⑥相続財産の保存に必要な処分についての相続財産管理人の選任(民法918条)などの条文等は、フランス民法に基づく権利不分割合意とその不分割財産の管理者に関する規定と同様の趣旨と解される

相続人間で不分割とすることを合意した財産のうち、準物権的な知的財産権について、裁判所により管理者に選任された相続人が、単独で訴訟を提起することは、我が国の法規とも合致
原告X1の訴訟追行権限を許容すべき合理的な必要性は、我が国の訴訟法の観点からも是認できる

外国裁判所の確定判決に関する効力(民訴法118条)という観点からも、
本件急速審理命令は、争訟性のある事件に関する判決には該当しない
⇒被告に対する送達(2号)及び相互保証(4号)の要件の具備は要しない。
 
●争点②
原告協会への入会に関して、著作権移転の原因となる債権行為については法の適用に関する通則法(「通則法」)7条により準拠法はフランス法
著作権の物権類似の支配関係の変動については、通則法13条により、準拠法は日本法

通則法 第7条(当事者による準拠法の選択) 
法律行為の成立及び効力は、当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法による。

通則法 第13条(物権及びその他の登記をすべき権利) 
動産又は不動産に関する物権及びその他の登記をすべき権利は、その目的物の所在地法による。

原告協会への入会に関する一般規約の「apport」の意義について、団体への出資という形態をとっており、対外的には団体へ財産が移転するが、団体の加入者の間では内部的に条件や留保が付されている前提の文言として使用されていると解するのが相当。
会員から原告協会への著作権移転を認めた
 
●争点⑤
著作権法 第47条(美術の著作物等の展示に伴う複製)
美術の著作物又は写真の著作物の原作品により、第二十五条に規定する権利を害することなく、これらの著作物を公に展示する者は、観覧者のためにこれらの著作物の解説又は紹介をすることを目的とする小冊子にこれらの著作物を掲載することができる。

本件カタログが
①本件オークションや下見会への参加の有無にかかわらず、被告の会員に配布するもの
②その主たる目的は、本件オークションにおける売買の対象作品を特定するとともに、作家名やロット番号以外からは直ちに認識できない作品の真贋、内容を通知し、配布を受けた者の入札への参加意思や入札額の決定に役立つようにする点にあり、観覧者のための著作物の解説又は紹介にない

著作権法47条にいう「小冊子」とは認められない
 
●争点⑥ 
著作権法 第32条(引用)
公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

①本件のカタログへの複製目的
②実際の本件カタログをみる限り、各頁に記載された写真の大きさが、ロット番号、作家名、作品名、予想落札価格、作品の情報等の記載の大きさを上回るものが多く、掲載された写真は、独立して鑑賞の対象となり得る程度の大きさといえ、前記の情報等の掲載に主眼が置かれているとは解し難い
③本件オークションでは、本件カタログの配布とは別に、出品された美術作品を確認できる下見会が行われており、前記の情報などと合わせて、美術作品の写真を本件カタログに記載された程度の大きさで掲載する合理的な必然性は見いだせない

社会通念上合理的な引用とは認められない

判例時報2318

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2017年3月27日 (月)

「戦略のための情報」

戦略は、市場、顧客及び非顧客についての、自社と他の産業における技術についての、世界的なファイナンスについての、そして変化する世界経済についての情報に基づかなくてはならない。それは結果があるところだからである。組織の内部にはコストセンターがあるだけである。

主要な変化は常に組織外で始まる。小売業者はその店で買物をする人々について多くを知るかもしれない。しかし、どれだけ成功しても、小売業者は市場の小さな部分(=その顧客)しか持たない。圧倒的マジョリティは非顧客である。基本的な変化が始まり重要になるのは常に非顧客についてである。過去50年において産業を変えた重要な新技術の少なくとも半分は、その産業の外から生じた。

ソース:The Daily Drucker 28 March.

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2017年3月26日 (日)

暴力団組長の出資法の上限を超える利息の受領が不法行為とされ、上位組織の長の使用者責任が肯定された事例

大阪地裁H28.5.27      
 
<事案>
指定暴力団A組の二次組織であるB組の長であったY1が、訴外Cに対して出資法の上限金利を超える利息の約定を伴う金銭の各貸付けを行うに当たり、その各債務についてXに連帯保証させた上、Xに対しても出資法の上限金利を超える利息の約定を伴う貸付けを行い、その後、指定暴力団の威力を示して前記各契約に基づきXから利息を受領し、又はその支払を要求
⇒Xに対する不法行為に当たるとし、

Y1に対しては民法709条に基づき、
A組の組長であるY2に対しては暴対法31条の2又は民法715条1項に基づき、
XがY1に対して返済した金員相当額の損害賠償を請求。
 
<規定>
民法 第715条(使用者等の責任)
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

民法 第708条(不法原因給付)
不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。

(威力利用資金獲得行為に係る損害賠償責任)
第三十一条の二   指定暴力団の代表者等は、当該指定暴力団の指定暴力団員が威力利用資金獲得行為(当該指定暴力団の威力を利用して生計の維持、財産の形成若しくは事業の遂行のための資金を得、又は当該資金を得るために必要な地位を得る行為をいう。以下この条において同じ。)を行うについて他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一   当該代表者等が当該代表者等以外の当該指定暴力団の指定暴力団員が行う威力利用資金獲得行為により直接又は間接にその生計の維持、財産の形成若しくは事業の遂行のための資金を得、又は当該資金を得るために必要な地位を得ることがないとき。
二   当該威力利用資金獲得行為が、当該指定暴力団の指定暴力団員以外の者が専ら自己の利益を図る目的で当該指定暴力団員に対し強要したことによって行われたものであり、かつ、当該威力利用資金獲得行為が行われたことにつき当該代表者等に過失がないとき。

<判断>
●CとY1との各消費貸借契約、XとY1との各連帯保証契約及びXとY1との消費貸借契約の各締結の事実と、XがY1に対して支払った利息の合計額を認定。 

出資法が、同法の上限を超える利息の契約をしたり、同法が定める割合を超える受領したり、その支払を要求した者に対し、刑事罰をもって臨んでいる趣旨

同法の上限を超える利息の契約自体が公序良俗に反するものとして無効であるとの評価を受けるべきであるのみならず、
同契約に基づいて利息を受領したり、支払を要求するといった行為は、その行為の悪性が著しいということができ、これによって第三者に損害を与えた場合には、当該行為自体が違法なものとなる。

本件において、
CとY1との各消費貸借契約及びXとY1との消費貸借の利息の約定は月1割(1日当たり約0.35%)とう出資法の上限を超えるもの

①前記利息の約定は公序良俗に反して無効であり、
②Y1がXから受領した利息の額は借入れ元本を大幅に上回るもので、Y1が利息を受領することによってXに損害を与えたことは明らか

Y1がXから出資法の上限を超える利息を受領した行為は、Xに対する違法な行為として不法行為を構成
 
●Y2の使用者責任について
暴力団の共通した性格が、その団体の威力を利用して暴力団員に資金獲得行為を行わせて利益獲得を追及することにある
②暴力団の組員は擬制的血縁関係に基づく全人格的包括的な服従統制下に置かれている
③A組はY2を頂点とするピラミッド型の階層的組織を形成しており、Y1が組長を務めるB組はA組の二次組織(直系団体)であった
A組下部組織に対して威力を利用して資金獲得活動をすることを容認する一方、その末端組織の構成員に至るまで、A組の総本部の指揮命令に従うものとされている
⑤ Y1は組員から毎月上納金を受け取っており、B組も毎月上納金を納めていた

A組はB組を服従統制下に置き、B組に対し、威力を利用して資金獲得活動を行って利益を追求することを容認して、そこから生じる収益を上納金という形でA組に取り込むという体制を構築。

Y2はA1にその直接間接の指揮監督の下に置き、A組の威力を利用して資金獲得活動に係る業務に従事させていたとして、Y2とY1は使用者と被用者の関係にあった。

貸金業法に違反して無登録で貸金業を営んだり、出資法に違反する高金利の貸付を行ったりすることは、暴力団の資金獲得行為、いわゆるシノギ行為の代表的な例⇒出資法に違反する高金利の貸付けや、その利息の受領やその支払の要求はB組の資金獲得行為の一環。

前記利息を受領した行為は、A組の威力を利用して行う資金獲得活動に係る事業の執行について行われたものといえる。 
Y2は、Y1の前記行為について、使用者責任を負う

●Xに生じた損害およびその額 
Y1からXに対して貸付けとして金員が交付されることによってXが得た利益は不法原因給付によって生じたもの

同利益を損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象としてXの損害額から控除することは民法708条の趣旨に反するものとして許されない

XがY1に対し弁済した全額が原告に生じた損害
 
<解説>
暴力団の組長の使用者責任については、最高裁H16.11.12がこれを肯定。 

判例時報2318

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脳梗塞に罹患した患者に対する医師の検査義務違反(肯定)

大阪地裁H28.3.8      
 
<事案>
脳梗塞に罹患した患者に対する医師の診断義務違反又は検査義務違反があるか否か、患者の適切な医療を受ける期待権が侵害されたか否かが問題となった事案。 

Xは、平成12年、16年の2度にわたって右脳梗塞を発症。
平成22年11月2日、路上で転倒し、Y病院に救急搬送
Y病院に入院中の11月13日午後3時20分頃、左脳梗塞を発症
同日(13日)午後6時57分、頭部CT検査を受け、事後的にみれば、同検査のCT画像には左側頭葉に脳梗塞のアーリーCTサイン(早期虚血性変化)とみられる低吸収域を呈する所見。
11月16日午前10時24分、頭部CT検査を受け、急性脳梗塞症と診断され、処方。
but
重度の失語症などの後遺症が残った。
 
<請求>
Xは、後遺症の原因は、Y病院の主治医であるA医師が、XのCT検査画像等から脳梗塞を診断し又はそのための検査を行うべき義務に違反したと主張し、Y病院に対し、
主位的に診療契約の債務不履行に基づき、
予備的に適切な診療行為を受ける期待権を侵害されたとして不法行為(医療法68条前段、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律78条)に基づき
各500万円の損害賠償請求訴訟。 
 
<規定>
医療法 第68条〔一般社団法人及び一般財団法人に関する法律等の準用〕
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第四条、第七十八条、第百五十八条及び第百六十四条並びに会社法第六百六十二条、第六百六十四条、第八百六十八条第一項、第八百七十一条、第八百七十四条(第一号に係る部分に限る。)、第八百七十五条及び第八百七十六条の規定は、医療法人について準用する。この場合において、同法第六百六十四条中「社員に分配する」とあるのは、「残余財産の帰属すべき者又は国庫に帰属させる」と読み替えるものとする。

一般社団法人法 第78条(代表者の行為についての損害賠償責任)
一般社団法人は、代表理事その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
 
<争点>
①頭部CT撮影後、読影に約1時間を要したとして13日午後8時頃にはXは脳梗塞に罹患していると読影できたのに、これを誤り脳梗塞と診断しなかったか否か
②検査義務違反の有無
③検査をしていれば、Xの本件後遺症を回避又は軽減できた相当程度の可能性があるのか否か
④期待権の侵害 
 
<判断>
●争点①について 
11月13日午後8時の時点で、Xの症状及びCT画像から、Xに新たな脳梗塞が発症したと診断するのは困難であった⇒診療義務違反を否定。
 
●争点②について 
11月13日午後8時時点でのXの症状は新たな脳梗塞を発症したものとみても矛盾しないものであり、本件CT画像も、読影時点を基準にしてもアーリーCTサインと疑う余地のあるものであった
②一般に脳梗塞には、早期に脳梗塞か否かを鑑別するための対応が必要
③脳梗塞の発症を鑑別するための更なる検査としては、MRI検査の拡散強調画像(DWI)撮影又は造影CT検査を行うことが有効とされ、Y病院でこれらの検査を行うことは可能であったと認められ、それらの検査をすればXが脳梗塞を発症していたと診断することができた

A医師には検査をしなかった義務違反がある
 
●争点③について 
鑑定を引用しつつ、適切な薬を使用すれば、Xの神経症状が改善した可能性が高かった。⇒検査義務違反と後遺症との相当因果関係を肯定
 
●争点④について
期待権侵害(=患者が適切な医療行為を受けることができなかった場合に、医師が、患者に対して、適切な医療行為を受ける期待権の侵害を理由とする不法行為)が認められるためには、当該医療行為が著しく不適切なものであることが必要
②本件医療行為は著しく不適切と評価できない。


Xの請求を150万円の限度で認容

判例時報2318

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「支配かパートナーか」

企業は最大の統合を目指すべきであるという伝統的な原理は新たな会社では時代遅れとなりつつある。企業の「分解」のための2つの説明がある。

第1に、知識はますます専門化した。知識は、そのため、ますます高価となり、企業内の全ての主要な仕事のために十分な集団を維持することはますます困難である。そして、知識は、継続的に使われない限り、急速に劣化するため、断続的にのみ使われる活動を組織内に維持することは役に立たない。

第2に、新たな情報技術であるインターネットと e-mail は、実際に、コミュニケーションの物理的コストを除去した。これは、しばしば、組織する最も生産的で有益な方法は、分解と協働であることを意味した。これは、より多くの活動に広がっている。例えば、組織の情報技術、データ加工及びコンピュータシステムのマネジメントの外注は普通のこととなった。

ソース:The Daily Drucker 27 March.

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2017年3月25日 (土)

賃料債務保証会社による物件への補助錠設置及び家財撤去に対する損害賠償請求(慰藉料・財産的損害)(肯定)

東京地裁H28.4.13      
 
<事案>
Xは、不法行為に基づく損害賠償を求め、慰藉料200万円と共に、財産的損害として、火災保険において家財の再取得価格とされる300万円を援用しつつ、その3分の1である100万円の賠償を求めた。 
 
<判断>
補助錠設置行為および家財撤去行為につき、後者については窃盗罪ないし器物損壊罪の成立可能性を援用しつつ、それらが不法行為に当たる。 

財産的損害の額について、
①撤去された家財のうち比較的価格の高い電化製品はテレビやブルーレイレコーダーだけ
②いずれの物についても客観的価値に関する立証がない

その額は30万円にとどまると認めるのが相当。

精神的損害について、
①補助錠設置によりホームレス状態を強いられた
②家財撤去により多大な生活上の不便や経済的支出を強いられたことが推察される
⇒Xの精神的苦痛は重大。
他方で、
①管理会社やYへの連絡を怠った点でXの対応も著しく不誠実であった
②Xは賃貸人からの解除の上での明渡請求には直ちに応じざるを得ない立場にあった
③XはYが立て替えた滞納家賃を未だ支払っていない
⇒慰謝料の算定上重要な要素
慰謝料額は20万円

判例時報2318

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詐欺商法業者に用いられた銀行口座開設の手伝いの内職について、過失を認め、損害賠償責任を肯定した事例

東京地裁H28.3.23      
 
<事案>
原告Xは、詐欺商法を行う事業者Aが行った詐欺商法(いわゆるロト6詐欺)につき、Xが会員登録料や情報料として振り込みをした銀行口座の名義人であるY1~Y10に対し、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案。 
 
<争点>
①Y1らの内職における郵便物の転送や、Aへの本人確認書類の提出が、Aの詐欺商法への幇助行為にあたり、かつ過失があるか
②Y1らの幇助行為は共同不法行為を成立させるものか
③Xの振込みは、Aの不法行為に関与するものであり、不法原因給付を成立させるか
④Aの関係者の言動に基づくXの一連の振込み等が、過失相殺の対象となるか 
 
<判断>
●争点①について
①本件詐欺は、訴外Aらによる欺罔行為に基づいてXがY1ら口座に振り込むことにより成立であり、被告らの口座の存在は本件詐欺の成立に不可欠のもの
②Y1らの内職における郵便物の転送や本人確認書類のAへの提出や郵便物の転送等の行為について、本人確認書類等を第三者に提供することにより第三者によるY1ら名義の銀行口座開設手続を可能とさせ、送付された書類を転送することにより金融機関が第三者による口座開設を避けるため、名義人本人へキャッシュカードを郵送することを無意味なものとして、第三者がY1ら名義の口座を開設することを可能にさせる
本件詐欺の幇助行為に該当する。

Yらの過失について
①Y1らは、内職として郵便物の転送を行っており、Y1及びY3は郵便物が銀行口座に関するものであることに気付いて以降、転送を中止⇒Aによる銀行口座の開設行為を幇助しているという認識はなかった
but
②本人の押印を必要とする郵便物を転送していたことは、依頼者が自分の住所を使用できないことを意味し、転送の報酬が作業に比して相当高額
Y1らは、自らの行為が何らかの違法行為に使われている可能性が高いことを容易に知り得た
それにもかかわらず、報酬を得るために転送を続け、その結果としてY1ら名義の預金口座が開設され、それが本件詐欺の用に供された
⇒Y1らには過失がある

Y6及びY7について、
本人名義の本人確認書類により銀行口座が作成され、この口座がAの詐欺商法において用いられた
⇒Aの詐欺行為を幇助したことについて過失あり。

Y9については、
Y1らの内職の応募とは異なり、ある団体の設立にあたり、Aと関係性のあるBの強い要請に基づいて、その団体のための銀行口座を作成し最終的に通帳を送付
~Y9の通帳交付は、やや軽率なものとしても、過失にはあたらない。

●争点②について
Aによる本件詐欺は、Xの各振込みについて個々に見れば、各振込み毎に完結
個々の被告らの過失による幇助は、被告らの個々の口座が用いられた振込みの限度でAの行為と関連共同性を有するにとどまり、本件詐欺の全体について共同行為が成立するものと認めることはできない

●争点③について 
Xの振込みの不法性は、欺罔行為を行ったAの不法性と比較して「極めて弱い」
⇒Xの振込みは不法原因給付ではない。

●争点③について 
XのAの関係者の言動を漫然と受けいれた振込みを続けたことに関し、Xの過失は相当に大きいと評価せざるを得ない。
Y1の過失を考慮し5割を過失相殺。
Y2、Y3及びY8とXとの関係では、Xは消費者金融からの借入れまでして振り込んでいることからその過失は大きく、それに対してY2らの過失は相対的に小さい
⇒7割を過失相殺。
Y10及びY11に関しては口座作成の関与が不明⇒過失相殺できない。
 
<解説>
●争点①について
本人確認書類の扱いは、振り込め詐欺等の悪質詐欺商法が問題となっている社会情勢を踏まえて慎重にならなければならず
本件のように、何らかの違法行為に用いられる危険性を認識しうる場合には、第三者に本人確認書類を提供するか否かは慎重に判断されるべき

にもかかわらず第三者の求めに応じて提出してしまった場合には、過失が認められ得る。
尚、運転免許証の写しを渡した者の責任。
 
●争点②について 
本件判断の②の判断は事態適合的。
but
①どの銀行口座にどれだけの金額が振り込まれるのかは、詐欺商法を行う者の被害者への指示という偶然に左右される
②銀行口座名義者らの行為は詐欺商法の一環として行われ、口座が複数あることで、詐欺商法がより容易になっている
③口座名義人が直接的に被害者を加害するものではない
④詐欺商法を行う者が所在不明となること
⑤詐欺商法において複数の銀行口座が利用される場合には前記の特徴や機能がある

銀行口座名義人同士の共同不法行為の成否、関連共同性の有無、連帯の範囲に関して、判断基準を明確にしていく必要
 
●争点④について 
①Y1らは直接に加害行為を行っていない
②いずれの銀行口座に振り込まれるかは、Aに左右される
⇒Y1等の間で過失割合に差をもうけることは適切かが問題。

直接の詐欺商法を行ったのはAとしても、Y1らの行為はこの一環としてなされている
被害者と銀行口座提供者の過失相殺においても、事情によっては銀行口座提供者と詐欺商法を行った者との関連性に基づいて後者の故意が考慮されるべき場合もある

判例時報2318

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「多国籍のマネジメント」

統計的に、多国籍企業は1913年と同程度、今日世界経済に占める。しかし、それらは、非常に異なるものとなった。1913年の多国籍企業は子会社が海外にある国内の会社であり、(子会社の)それぞれは独立し、政治的に定義された地域を担当し、高度に自治的であった。今日の多国籍企業は、製品/サービスラインに沿って世界的に組織される傾向がある。しかし1913年の多国籍企業のように、それらはまとまり、所有によってコントロールされる。対照的に、2025年の多国籍企業は、まとまるが、戦略によりコントロールされる。もちろん所有はある。しかし、提携、合弁、少数利害関係、ノウハウ合意と契約がますます同盟の基礎単位となる。

この種類の組織は新たな種類のトップマネジメントを必要とする。ほとんどの国で、そして、多くの複合的大企業においても、トップマネジメントは経常的なマネジメントの延長と見られている。しかしながら、明日のトップマネジメントは、明確で独立した機関となるであろう。それは会社を表す。

ソース:The Daily Drucker 26 March.

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2017年3月24日 (金)

耐震改修の必要と借地借家法28条の正当事由(肯定)

東京地裁H28.3.18       
 
<事案>
建物賃貸借契約における賃貸人Xが、賃借人Yに対し、借地借家法28条に定める正当の事由があるとして、同契約の更新を拒絶する旨の通知をし、所定の賃貸借期間の満了をもって同契約が終了したと主張して、終了による目的物請求権に基づき、建物の明渡しを求めるとともに、賃貸借期間の満了日の翌日から同建物部分の明渡済みまでの賃料相当損害金の支払を求めた事案。 
Xは、正当事由を補完する財産上の給付として、2160万円、又は、裁判所が相当と認める額の支払を申し出ていた。

更新拒絶の通知の内容:
Xは、東京都の「東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例」(平成23年4月1日施行。以下「本件条例」という。)に基づいて、緊急輸送道路沿道建築物に該当する本件建物につき耐震診断を実施した。その診断の結果、本件建物は
現行の構造耐震指標を著しく下回る値の箇所が多く見られ、基準値を大幅に下回る建築物であると判明した。Xは、大地震の発生に備え、人命第一と考え、本件建物を解体することとし、よって、Yに対し、更新拒絶の通知をした。
 
<規定>
借地借家法 第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
 
<争点>
正当事由の判断にあたり、本件条例に基づく耐震診断の結果、耐震性に問題ありと診断された本件建物につき、診断機関から立替えを強く推奨された場合に、これらの事情をどの程度考慮すべきか。 
 
<判断>
①Yの営業する本件建物部分に係る店舗は、長年の営業により、地元に根付き、幅広い年齢層の顧客が来店⇒Yにおける本件建物部分を使用する必要性は高い。
②本件建物の耐震性には問題があり、かつ、補強工事によって対応することも合理性を欠き、かつ現実的でない。
③本件建物部分における営業は、Yの顧客に対しても危険な面があり、Xは、本件建物につき、自らが使用する必要性はないとしても、建物の所有者及び賃貸人として、耐震性に問題のある建物をそのまま放置し、賃貸することは問題である。
Xにおいて、本件建物を取り壊そうとすることについては正当な理由がある

④立退料なくして正当事由が具備されるということはできない。

裁判所の相当と認める立退料を支払わせることにより、Xの更新拒絶には、正当事由が具備される。
立退料の金額は3000万円とすることが相当。
 
<解説>
従来の裁判例においても、除却や建替えの必要性・緊急性及び立退料の提供等を考慮しつつ、同条の枠組みに従った総合的な判断がなされている。 

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2017年3月23日 (木)

自分の逮捕歴に係る検索結果につき、「忘れられる権利」等に基づく削除請求が否定された事例

東京高裁H28.7.12      

<事案>
インターネット上でYが提供する検索サービスにおいて、Xの氏名等を検索すると、検索結果としてXの逮捕歴(約5年前の児童買春行為)を含む内容のものが複数表示される⇒Xが、民事保全法23条2項の仮の地位を定める仮処分として、前記検索結果の削除(非表示)を命じる仮処分の申立て。
 
<Xの主張>
Xは、抗告審において、被保全権利を「更生を妨げられない利益を人格権の1内容ととらえ、人格権に基づく妨害排除請求権としての差止請求権」としたうえで、さらに、人格権の内容として、「忘れられない権利」「名誉権」及び「プライバシー権」を挙げた。
 
<判断>
①名誉権ないしプライバシー権に基づく表現行為(出版等)の差止請求の可否や、前科に係る事実の公表の可否及びその要件について判断したこれまでの判例を踏まえ
②現代社会におけるインターネット及びそれにおける検索サービスの社会的意義や重要性(表現の自由や知る権利の保護等)を考慮し、
一定の場合には、名誉権ないしプライバシー権に基づき、個人の情報に係る検索結果がインターネット上で容易に閲覧できないようにする措置(削除措置ないし非表示措置)をい講じるよう検索サービス提供者に対して請求できる

その判断に当たっては、削除等を求める事項の性質(公共の利害に関わるものであるか否か等)、公表の目的及びその社会的意義、差止めを求める者の社会的地位や影響力、公表により差止請求者に生じる損害発生の明白性、インターネットの情報公表ないし伝達手段としての性格や重要性、更にはj検索サービスの重要性等も総合考慮して決するのが相当。

①Xの逮捕歴は、その犯罪の性質から公共性があり、処罰を受けてからの期間等を考慮してもそれは失われていない
②検索結果を非表示とすると、同一ウェブページ内にある、本件と関係のない種々の事実や意見の閲覧も極めて困難となり、多数の者の表現の自由及び知る権利が侵害される
③削除しないことにより、Xに社会生活上又は私生活上の受忍限度を超える重大な支障が直ちに生じるとは認められない

被保全権利及び保全の必要性の疎明がないとして、原決定を取り消し仮処分命令の申立てを却下

①Xが主張した「忘れられる権利」については、それが法律で定められたものではなく、その要件及び効果も明確でない
②その実体は、人格権としての名誉権ないしプライバシー権に基づく侵害行為の差止請求と異ならない
⇒独立して判断する必要はない。
 
<解説>
●忘れられる権利について 
「忘れられる権利」は、平成26年5月13日付け欧州連合司法裁判所の先行判決により大きく注目を浴びるようになった。
~自己の所有不動産の競売に関する新聞公告が検索結果として表示されることについて、グーグル・インク等に対して、当該検索結果の削除を請求し、認容された。

平成28年4月に欧州議会本会議により可決されたEU一般データ保護規則(施行は平成30年5月)では、「忘れられる権利」が定められている。

グーグル・インクは、前記先行判決を受けて、EU域内のドメインに限って、検察結果からの削除要請を受け付けており、平成28年5月時点で削除に応じた割合は、URLの数ベースで約43パーセントと発表。

● 日本でも、大手プロバイダが、検索サービスにおける検索結果の削除について対応方針を検討。

● どのような場合に削除が認められるかは、
削除を求める情報の属性(公共性のある事項か、私人の住所等専ら私的な事項であるか(時の経過により公共性が失われる場合もある))
削除を求める者の属性(公職者か、あるいは社会的地位・影響力のある者か等)
削除を求める者が被る虞のある不利益の重大性等
も考慮。 

本件は、Xの逮捕歴に係る犯罪の性質から、削除請求が認められにくい事案の一つ。

判例時報2318

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「イーコマース:挑戦」

我々はまだ、どのような商品やサービスがイーコマースに最も適していることになるかを知らない。しかし、我々は、事業者間であれ、事業者と消費者間であれ、イーコマースでの販売の成功は、スーパーマーケットや地方の仲介業者等の伝統的な流通チャネルによって、脅威として見られつつあることを知る。「それは我々の事業を食べようとしている」と伝統的卸売業者は叫ぶ。実際、過去の経験によれば、それは、多くの場合、伝統的な事業に加えるもので、実際彼らの事業と利益を増加させる。これは新たな流通チャネルによくある結果である。

しかし、我々は、何年もそれを知らないであろう。また数年間、いかなる商品やサービスがイーコマースを通じた流通に向いているかわからないだろう。そして、推測しようとすることは意味がない。イーコマースを進める決定にはリスクがある。しかし、最も重要なものでなくても、その製品やサービスの重要な流通チャネルとなる徴候がわずかでもあれば、イーコマースを進めないというリスクをとれる事業はない。

ソース:The Daily Drucker 24 March.

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2017年3月22日 (水)

危険運転致死罪の「その進行を制御することが困難な高速度」の判断

千葉地裁H28.1.21      
 
<事案>
飲酒の上、自動車を運転した被告人が、第1事故を起こして逃走し、その被害者の追跡を気にして前方左右不注視のまま最高速度時速50kmの道を時速約120kmで走行⇒道路左側路外施設に向かい対向右折してきた原動機付自転車に衝突してその運転者を死亡させるという第2事故。 
 
<規定>
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
第二条(危険運転致死傷)
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。

二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
 
<解説>
危険運転致死傷罪における「その進行を制御することが困難な高速度」の意義については、
①速度が速すぎるために自動車を道路の状況に応じて進行させることが困難な速度をいい、
②具体的には、そのような速度での走行を続ければ、道路の形状、路面の状況などの道路の状況、車両の構造、性能等の客観的事実に照らし、あるいは、ハンドルやブレーキの操作のわずかなミスによって、自車を進路から逸脱させて事故を発生させることになるような速度をいう
とする裁判例が散見。
but
①と②は同じこととされており、事案判断においては、具体的に書かれた②の定義への当てはめをすることになる。
⇒①は定義として不要。
 
<判断>
被告人運転車両の速度は時速120kmと認定した上で、危険運転致死罪ではなく過失運転致死罪の成立を認めた。

危険運転致死傷罪における「その進行を制御することが困難な高速度」について、
「自動車の性能や道路状況等の客観的な事情に照らし、ハンドルやブレーキ操作をわずかにミスしただけでも自動車を道路から逸脱して走行させてしまうように、自動車を的確に走行させることが一般ドライバーの感覚からみて困難と思われる速度」と定義。

上記①を定義から外している。

危険運転致死罪の成否を判断するに当たって考慮すべき道路状況等に、路外施設とそこへ向かう車両の存在可能性等が入るか?
条文の語義、立法の経緯、過失運転致死傷罪との関係⇒ここでいう道路状況とは、道路の物理的な形状等をいうのであって、他の自動車や歩行者の存在等を含まない
 
<解説>
宮﨑地裁H24.10.29:
テストコースであれば時速約160kmで走行することができるが、歩行者や脇道からの車両等の侵入があり得る一般道路であれば安全に進行できるのは時速約100kmであるとの証言を
周囲の状況から発生が予想される種々の危険性に対処するための心理的な要素を考慮することは相当ではない」と批判しており、本判決と同様の考え方。

判例時報2317

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「イーコマースの顕著な強み」

イーコマースと情報革命の関係は、鉄道と産業革命の関係と同じである。鉄道は距離を制服し、イーコマースはそれをなくした。インターネットは企業に、ある活動を他の活動に結びつけ、会社内で、並びに外部の供給者、外部の流通ルート及び顧客に対して、即時のデータを広く利用できるようにする能力を提供する。それは、会社の分解への動きを強める。

しかし、イーコマースの顕著な強みは、消費者に、誰がそれらを作ったかに関係なく、全ての製品を提供することである。アマゾンや CarsDirect等がその例である。イーコマースは、初めて、販売と製造を分離する。販売はもはや製造ではなく、流通と結びつく。イーコマースの便宜を1つのメーカーの製品やブランドのマーケティングや販売に限定する理由は全くない。

ソース:The Daily Drucker 23 March.

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2017年3月21日 (火)

不法装てん罪の故意

東京高裁H27.8.12      
 
<事案>
被告人は、猟場で1発目の実包を発射し、 2発目を発射することなく狩猟を終えたが、2発目の実包が自動的に薬室に装てんされ、装てん状態が継続。
その後別の場所で被告人が引き金を引き、実包が発射。

検察官は2発目の発射の時点を捉えて、銃砲刀剣類所持等取締法違反(不法装てん)の罪で起訴
 
<規定>
銃砲刀剣類所持等取締法  第10条(所持の態様についての制限)

5 第四条又は第六条の規定による許可を受けた者は、第二項各号のいずれかに該当する場合を除き、当該銃砲に実包、空包又は金属性弾丸(以下「実包等」という。)を装てんしておいてはならない
 
<解説>
「装てんしておいてはならない」

装てんする行為自体を禁じているのではなく、装てんされた状態が若干の時間継続したときに本条違反が成立
適法に実包等を装てんしたが、その後局面が変わって発射が許されない状況になったときは、直ちに銃砲から実包等を取り出さなければならない。
 
<判断>
不法装てん財の故意が成立するためには、法定の除外事由がないのに実包が装てんされている状態が開始された時点で所持者がそのことを認識していることが必要とされるのであって、その装てん状態が維持されている限り、その後に所持者がそのことを失念・忘却しても故意は失われない
②本件の被告人は、狩猟を終えた時点で実包が装てんされたままになっていることを認識していたと推認できる(2発目発射の際、被告人が意図的に引き金を引いたのだとしても、それはその時点で実包装てん状態のことを失念していたことを意味するに過ぎない)。

引き金を引いた時点において被告人に不法装てん罪の故意があったものと認められる。 
 
<解説> 
自動車の保管場所の確保等に関する法律11条2項2号は、自動車が夜間に道路上の同一の場所に引き続き8時間以上駐車することとなるような行為を禁じる。
自動車を運転して帰宅した被告人が、後で運転するつもりで自宅前の路上に自動車を駐車したが、その後運転予定がなくなったのに車庫に入れず、そのまま翌朝まで8時間以上路上に放置した事案。

控訴審:
故意としては、当該自動車を最終的に駐車させた者において、駐車させる際に自己又は他人が法定の制限時間内に当該自動車を使用又は移動させる等その駐車状態を解消することの予測が立たないままこれを駐車させた後に前記のような予測が消失したのに、当初の駐車状態のまま放置することの認識があれば足りる。一旦上記のような認識を持った以上、その後、駐車状態についての認識を持ち続ける必要はない。

上告審(最高裁H15.11.21):
本罪の故意が成立するためには、行為者が、駐車開始時又はその後において、法定の制限時間を超えて駐車状態を続けることを、少なくとも未必的に認識することが必要である」と解した上で、
自動車を使用する予定がなくなった時点において道路上に駐車させたままであることを失念していた旨の被告人の弁解を排斥して故意があったと認定するには合理的な疑いがある。

●物の所持を始めた後、そのことを失念・忘却していたケースについての裁判例 
最高裁昭和24.5.18:
一旦所持が開始されれば爾後所持が存続するためには、その所持人が常にその物を所持しているということを意識している必要はないのであって、いやしくもその人とその物との間にこれを保管する実力支配関係が持続されていることを客観的に表明するに足るその人の容態さえあれば所持はなお存続する。

覚せい剤の所持について「一旦物を保管する意思でその物に対する実力支配関係が実現する行為をすれば、右関係が維持されている限り、所持人が右所持を忘却しても「所持」にあたると解する」(東京高裁昭和50.9.23)

覚せい剤の入った紙袋を持って電車に乗った被告人が、その紙袋を座席に置いたまま電車内を移動し、置き忘れたことに気付かないまま降車した事案について、
「所持」とは、人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為をいい、物理的に把持することまでは必要ではなく、その存在を認識してこれを管理し得る状態にあれば足りると解し
「車両を移動して以降、被告人は覚せい剤の存在自体を失念していた可能性が高い。原判決が認定した時点(=被告人が置き忘れて車内を移動していった後、紙袋に気付いた他の乗客が車掌に届けた時点)では、被告人が覚せい剤を車両内に保管していたとはいえない
(東京高裁H14.2.28)

火薬類の所持について、「火薬類を所持していることの認識があった以上、その後の所持について常に意識している必要はなく、また、その後仮にその所持を失念していたとしても、いわゆる継続犯である不法所持罪の性質上、所持の認識を欠くことにはならない」(東京高裁H2.11.15)

判例時報2317

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「インターネット技術と教育」

ヘルスケアにおいて、情報技術は既に信じられないようなインパクトを与えた。教育においても、そのインパクトはより大きくなる。しかしながら、通常の大学のコースをインターネットにのせようとするのは誤りである。マーシャル マクルーハンは正しかった。媒体は、伝達される方法だけでなく、伝達されるものもコントロールする。ウェブではそれを違って行わなくてはならない。

全てをデザインし直さなくてはならない。
第1に、生徒の注意を保たないといけない。良い教師はクラスの反応を感知するレーダーシステムを持つが、オンラインではそれをもたない。
第2に、学生に大学のコースでできるもの、「やりとり」をできるようにしなくてはならない。オンラインで、書籍の質とコースの連続性/流れを結びつけなくてはならない。なにより、それを文脈に置かなくてはならない。自宅でのオンラインコースで、コースは背景、文脈、レフェレンスを提供しなくてはならない。

ソース:The Daily Drucker 22 March.

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2017年3月20日 (月)

存続期間の延長された特許権の効力が被告の製造販売に及ぶかが問題となった事例

東京地裁H28.3.30      
 
<事案>
発明の名称を「オキサリプラティヌムの医薬的に安定な製剤」とする特許(本件特許)の特許権者である原告が、被告に対し、被告の製造販売に係る製剤(被告製品)は、本件特許の願書に添付した明細書(本件明細書)の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(本件発明)の技術的範囲に属し、かつ、存続期間の延長登録を受けた本件特許権の効力は、被告製品の生産、譲渡及び譲渡の申出に及ぶ旨主張して、被告製品の生産等の差止め及び廃棄を求めた。 
 
<規定>
特許法 第67条(存続期間)
特許権の存続期間は、特許出願の日から二十年をもつて終了する。
2 特許権の存続期間は、その特許発明の実施について安全性の確保等を目的とする法律の規定による許可その他の処分であつて当該処分の目的、手続等からみて当該処分を的確に行うには相当の期間を要するものとして政令で定めるものを受けることが必要であるために、その特許発明の実施をすることができない期間があつたときは、五年を限度として、延長登録の出願により延長することができる。
 
特許法 第68条の2(存続期間が延長された場合の特許権の効力)
特許権の存続期間が延長された場合(第六十七条の二第五項の規定により延長されたものとみなされた場合を含む。)の当該特許権の効力は、その延長登録の理由となつた第六十七条第二項の政令で定める処分の対象となつた物(その処分においてその物の使用される特定の用途が定められている場合にあつては、当該用途に使用されるその物)についての当該特許発明の実施以外の行為には、及ばない
 
<判断> 
●特許権の存続期間の延長登録の制度:
特許発明を実施する意思及び能力があってもなお、特許発明を実施することができなかった特許権者に対して、政令処分を受けることによって禁止が解除されることとなった特許発明の実施行為について、当該政令処分を受けるために必要であった期間、特許権の存続期間を延長する措置を講じることによって、特許発明を実施することができなかた不利益の解消を図った制度。 

特許権68条の2の規定によれば、特許権の存続期間が延長された場合の当該特許権の効力は、政令処分の対象となった物(その処分においてその物の使用される特定の用途が定められている場合にあっては、当該用途に使用されるその物)についての当該特許発明の実施行為にのみ及ぶ。

原則として、政令処分を受けることによって禁止が解除されることとなった特許発明の実施行使、すなわち、当該政令処分を受けることが必要であったために実施することができなかった(当該用途に使用される)物についての実施行為にのみ及び、特許発明のその余の実施行為には及ばない。

前記の延長登録の制度趣旨
当該政令処分の対象となった(当該用途に使用される)物と相違する点がある対象物件であっても、当該対象物件についての製造販売等の準備が開始された時点(当該対象物件の製造販売等に政令処分が必要な場合は、当該政令処分を受けるのに必要な試験が開始された時点)において、存続期間が延長された特許権に係る特許発明の種類や対象に照らして、その相違が周知技術・慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効用を奏するものではないと認められるなど、当該対象物件が当該政令処分の対象となった(当該用途に使用される)物の均等物ないし実質的に同一と評価される物についての実施行為にまで及ぶ
 
●特許法67条2項の政令で定める処分が、 医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律所定の医薬品に係る承認である場合は、当該医薬品の「用途」と特定する事項に該当すると考えられる「用途、用量、効能、効果」について必ず審査される
⇒特許法68条の2括弧書の「その処分においてその物の使用される特定の用途が定められている場合」に該当。

政令処分が医薬品医療機器等法所定の医薬品に係る承認である場合、「当該用途に使用される物」についての特許発明の実施か否かを判断しなければならない⇒「物」及び「用途」の特定が必要となる。
医薬品の成分を対象とする特許発明の場合、特許法68条の2によって存続期間が延長された特許権は、「物」に係るものとして「成分(有効成分に限らない。)及び分量」によって特定され、かつ、「用途」に係るものとして、「効能、効果」及び「用法、用量」によって特定された当該特許発明の実施の範囲で効力が及ぶものと解するのが相当」(「当該用途に使用される物」の均等物や「当該用途に使用される物」の実質同一物が含まれる。)
 
●本件では、処分を受けることが必要であったために実施することができなかった「当該用途に使用される物」とは、「物」に係るものとしての成分として「オキサリプラチン」と「注射用水」のみを含みそれ以外の成分を含まない製剤
but
被告製品の成分は、「オキサリプラチン」と「水」以外に、添加物として「濃グリセリン」を含むものであると認定。

「当該用途に使用される物」とは、「成分」において異なる⇒本件処分に対象となった「当該用途に使用される物」とは異なる。 
 
●実質同一物か否かの判断について: 
「当該用途に使用される物」といえないとしても、「被告製品と本件処分の対象となった「当該用途に使用される物」との相違が、被告各製品について政令処分を受けるのに必要な試験が開始された時点において、本件発明の種類や対象に照らして、周知技術・慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではない場合には、その「当該用途に使用される物」の均等物、あるいはその「当該用途に使用される物」の実質同一物と認めるのが相当

当該特許発明が新規化合物に関する発明や特定の化合物を特定の医薬用途に用いることに関する発明など、医薬品の有効成分(薬効を発揮する成分)のみを特徴的部分とする発明
⇒延長登録の理由となった処分の対象となった「物」及び「用途」との関係で、有効成分以外の成分のみが異なるだけで、生物学的同等性が認められる物については、当該成分の相違は、当該特許発明との関係で、周知技術・慣用技術の付加、削除、転換等に当たり、新たな効果を奏しないことが多い
⇒「当該用途に使用される物」の均等物や実質的同一物に当たるとみるべきときが策なくない。

当該特許発明が製剤に関する発明であって、医薬品の成分全体を特徴的部分とする発明である場合
⇒延長登録の理由となった処分の対象となった「物」及び「用途」との関係で、有効成分以外の成分が異なっていれば、生物学的同等性が認められる物であっても、当該成分の相違は、当該特許発明との関係で、単なる周知技術・慣用技術の付加、削除、転換等に当たるといえず、新たな効果を奏することがある
「当該用途に使用される物」の均等物や実質同一物に当たらないとみるべきときが一定程度存在

①本件発明は、医薬品の成分全体と特徴的部分とする発明であって、原告は、その実施として、「オキサリプラチン」と「注射用水」のみを含み、それ以外の成分を含まないとする得るプラット点滴静注液(製剤)について本件各処分を受けた。
②被告製品は、「オキサリプラチン」と「水」又は「注射用水」のほか、有効成分以外の成分として、「オキサリプラチン」と等量の「濃グリセリン」を含有するもので、本件発明との関係でみると、被告製品について政令処分を受けるのに必要な試験が開始された時点において、オキサリプラチン水溶液にオキサリプラチンと等量の濃グリセリンを加えることが、単なる周知技術・慣用技術の付加等に当たると認めるに足りる証拠はなく、むしろ、オキサリプラチン水溶液に添加したグリセリンによりオキサリプラチンの自然分解を抑制するという点で新たな効果を奏しているとみることができる。

本件処分の対象となった「当該用途に使用される物」の均等物ないし実質同一物に該当することはできない
 
<解説>
実質同一物かの判断基準については、拡大先願(特許法29条の2)に関する審査基準の言い回しが使用されており、いわゆる均等論と同一の基準を用いず、医薬品の特質を踏まえながらも独自の判断基準を立てたもの。 

判例時報2317

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「情報革命を越えて」

情報革命の真に革命的なインパクは感じられ始めたばかりである。しかし、このインパクトに燃料を供給するのは「情報」ではない。それは、15年か20年前には、実際、誰も予見せず、話もしなかったイーコマースであり、それは、1つの重要な、そして最終的にはおそらく主要な世界規模の、物、サービス、そして驚くことに、経営的・専門的仕事の流通経路としてのインターネットの爆発的な出現である。これは、大いに、①経済、市場そして産業構造を、②製品、サービス、それらの流れを、③消費者セグメンテーション、消費者価値と消費者行動を、そして④仕事と労働市場を変える。

新たな予想外の産業が必ず現れ、それもすばやく現れる。誕生を待つサービスがある。

ソース:The Daily Drucker 21 March.

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2017年3月19日 (日)

裁判官の釈明権の行使が違法とされた事例(国賠請求)(肯定)

神戸地裁H28.2.23      
 
<事案>
別件過払金等請求事件、損害賠償事件を担当していたB裁判官は、平成24年4月24日、口頭弁論を終結。
B裁判官は、Xの訴訟代理人弁護士が退廷したところ、A社の訴訟代理人に対して、別件損害賠償請求権の消滅時効について釈明権を行使。
B裁判官は、本件釈明をした直後に口頭弁論の再開をし、同日、口頭弁論期日を開き、A社は、別件損害賠償請求権について消滅時効を援用。
⇒請求棄却の判決。 
 
<規定>
民訴法 第149条(釈明権等)
裁判長は、口頭弁論の期日又は期日外において、訴訟関係を明瞭にするため、事実上及び法律上の事項に関し、当事者に対して問いを発し、又は立証を促すことができる。
2 陪席裁判官は、裁判長に告げて、前項に規定する処置をすることができる。
3 当事者は、口頭弁論の期日又は期日外において、裁判長に対して必要な発問を求めることができる。
4 裁判長又は陪席裁判官が、口頭弁論の期日外において、攻撃又は防御の方法に重要な変更を生じ得る事項について第一項又は第二項の規定による処置をしたときは、その内容を相手方に通知しなければならない。
 
<判断>
●最高裁H2.7.20は、裁判官が行った争訟について責任を肯定するためには、裁判官が違法又は不当な目的をもって裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情があることを必要とすると判示。 
裁判官が行う釈明権の行使は、裁判の内容形成に密接にかかわるものであって、争訟と異にする理由は当たらない⇒前記最高裁が示した規範がそのまま当てはまる。

●本件釈明が民訴法149条に反した行使態様か否かについて、行使時期、行使の必要性について詳細に検討し、直接民訴法149条に反し、Xの訴訟法上の利益を侵害したとはいえない。

本件釈明により、Xが公平な裁判かつ公開の法廷における適正手続を受ける権利を侵害されたか?
対席での釈明に特段の支障があるわけではないのに、当事者の一方がいないところで、他方当事者に対して有利な結論に直結する消滅時効の援用について釈明をすることは、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものといえ、違法である。
損害賠償として慰謝料5万円、弁護士費用5000円を認容。
 
<解説>
裁判官が行う「争訟の裁判」については、最高裁H2.7.20のほか、同昭和57.3.12も同様の判断。 

判例時報2317

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「マネジャーの採点カード」

「財務結果」はマネジメントパフォーマンスよりも事業パフォーマンスを測る。そして、今日の事業パフォーマンスは、主に、過年度のマネジメントのパフォーマンスの結果である。マネジメントにおけるパフォーマンスは、未来のために今日の事業を準備する仕事の測定を意味する。事業の未来は、主として、4つの分野における現在のマネジメントのパフォーマンスにより形作られる。

①資本割当におけるパフォーマンス:投資に対する収益を期待収益との比較で測定する必要がある。
②人の意思決定におけるパフォーマンス:人が仕事に投入される時にそのパフォーマンスとして期待されたものも、その選任がいかに機能するかも、「無形」である。双方は比較的容易に判断され得る。
③イノベーションにおけるパフォーマンス:研究結果は評価され、研究がスタートした時の約束と期待に投影され得る。
④戦略対パフォーマンス:戦略が起きると期待したものが起こったか?実際の進展に照らし、正しい目標が設定されたか?それらは達成されたか?

ソース:The Daily Drucker 20 March.

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2017年3月18日 (土)

弁護士報酬の算定事例

東京地裁H27.10.29      
 
<事案>
弁護士が依頼者に対して着手金、報酬を請求し、委任の範囲、報酬額等が問題になった事件。 
BがY、Cを相手に、遺産分割の調停を申し立てた。
Yは、X、Dに代理人となることを委任し、YとXは、委任に係る報酬について、
経済的利益の額を1500万円、着手金は1年あたり52万5000円(始期平成23年12月)、報酬は上限を150万円として事件終結後成果等を勘案し、協議して決める旨の合意。

Aは、遺言を作成していたことから、本件調停事件で遺産分割の対象となったのは基本的には複数の不動産。
本件調停事件は、平成24年、審判手続に移行する等したが、Aの遺産のほか、B、C、Yの間で共有関係にあった多数の物件(権利関係に争いはなく、誰がどの物件を取得するかで意見の対立)の共有状態の解消も問題となった。
Yの代理人であるXらと、B、Cとの間で、平成26年1月、Aの前記遺産、共有状態にあった前記物件につき遺産分割、共有状態の解消による分割を内容とする調停が成立。

Yは、同年3月、Yに報酬250万円の支払を求める旨を通知し、Yは、同年4月、報酬として100万を支払った。
Xは、主位的に、委任契約に基づき着手金残金52万5000円、報酬金162万5000円があると主張し、
予備的に、不当利得を主張し、同額の支払を請求。
 
<争点>
①当初委任契約以後の共有物件の共有関係の解消に係る拡大委任契約の成否
②着手金の額
③報酬の額 
 
<判断>
当初委任契約の委任条項が本件調停事件に関して包括的な定めであり、調停事項の対象が拡大された場合、拡大された対象に関する処分行為も当然に代理権を付与する旨の合意が含まれていた。
⇒遺産以外のYらの共有物件にも代理権が付与された。

当初の本件報酬合意には拡大された事項に関する報酬合意まで当然に含まれているとはいえない。

①調停の成立を踏まえて本件調停事件の弁護士報酬の額を検討し、法律相談あっせんセンターあっせん弁護士の報酬に関する細則の規定を適用し、Yが取得した持分の価額の3分の1を経済的利益と考えると84万7158円となる。
②本件調停の内容が当初想定していた遺産分割に比してYに相当の利益があった。
⇒報酬額が上限の150万円と認め(未払分は50万円)、着手金は1年3か月分を認め(未払い分は13万1250円)、Yの不当利得を否定し、主位的請求を一部認容し、予備的請求を棄却。

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「会社のパフォーマンスを定義する」

1958年から1963年までGEのCEOであったコーディナーは、巨大な公開企業のトップマネジメントは「受託者」であると主張した。コーディナーは、シニアエグゼクティブは、株主、顧客、従業員、供給者及び工場コミュニティの利益が最高にバランスするよう企業を経営する責任があると論じた。これは、私たちが今日「ステークホルダー」と呼ぶものである。コーディナーの答えは、なお、結果の明確な定義と「バランス」に関しての「最高」の意味の明確な定義を必要とする。我々はもはや大企業におけるパフォーマンスと結果をいかに定義するかについて理論づける必要はない。我々には成功例がある。

ドイツと日本は、高度に集中した機関所有形態である。いかに、ドイツと日本の産業の機関所有者はパフォーマンスと結果を定義するか?彼らの経営は全く異なるが、同じ方法でそれらを定義する。コーディナーと違い、彼らは何も「バランス」しない。彼らは最大化する。しかし、彼らは、株主価値やいずれかの企業の「ステークホルダー」の短期利益を最大化しようとしない。彼らは、会社の富を生み出す能力を最大化する。この目的は、短期と長期の結果を統合し、事業パフォーマンスのオペレーションの次元である、市場での地位、イノベーション、生産性並びに人々とその開発を財務的ニーズと財務的結果に結びつける。株主であれ、顧客であれ、従業員であれ、全ての関係者がその期待と目的の満足のために依拠するのも、また、この目的である。

ソース:The Daily Drucker 19 March.

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2017年3月17日 (金)

授益的行政処分に対する職権取消権の発生要件等

福岡高裁那覇支部H28.9.16      
 
<事案>
平成24年の地方自治法の改正により設けられた是正の要求(同法245条の5)又は指示(同法245条の7)についてのいわゆる不作為に関する国の訴えの初めての事例。

国土交通大臣であるXが、沖縄県知事であるYが沖縄防衛局が前沖縄県知事から普天間飛行場代替施設の建設のために受けた名護市辺野古沿岸域の埋立承認処分を取り消したことは公有水面埋立法42条1項及び3項並びに同法4条1項に反しているとして、Yに対し、地方自治法245条の7第1項に基づいて、前記取消処分の取消しを求めた(是正の指示)。
⇒Yが、同取消しをしない上、法定の期間内に前記是正の指示の取消訴訟をも提起しない(同法251条の5)
⇒同法251条の7に基づき、Yが前記是正の指示に従って前記取消処分を取り消さないという不作為の違法の確認を求めた訴訟。
(本件訴訟は、XのYに対する同法245条の8に基づく前記取消処分の取消しを命ずる訴訟とYのXに対する同法251条の5に基づく前記取消処分の執行停止処分(平成26年法律第68号による改正前の行政不服審査法34条)の取消訴訟の和解に基づいて、Xが前記是正の指示を行い、Yがそれに対して同法250条の13に基づき国地方係争処理委員会へ審査の申出を行ったあと、Yが前記是正の指示の取消訴訟(同法251条5)を提起しないために提起されたもの。)
 
<争点>
①前記承認処分のような授益的行政処分の職権取消権が発生する場合は原処分が違法である場合に限定されるのか、原処分に不当又は公的目的違反がある場合も含まれるのか、その発生要件の判断について裁量が認められるのか(=職権取消しの適法性の判断において、原処分の違法性を判断すべきか、あるいは、職権取消しにおける裁量権の逸脱・濫用の有無を判断すべきかに関わる争点)。
②公有水面埋立法4条1項1号の要件審査は外交・防衛に関する事項に及ぶのか、また、同審査はいかなる場合に違法とされるのか。
③ 同項2号の要件審査はいかなる場合に違法とされるのか。
④仮に前記承認処分についての職権取消権が発生した場合に、その取消権の行使は制限されるか。
 
<判断・解説>
●争点①について
授益的行政処分の職権取消権の発生要件について、自作農創設特別措置法の買収計画及び売渡計画に関して違法または不当を職権取消権の発生要件としていると思われる最高裁昭和43.11.7.

学説は、取消制限の問題と異なり、授益的行政処分と侵害的行政処分が区別されておらず、多数説は原処分の違法及び不当又は公益目的違反としており、原処分の違法に限定する見解は少数。

判断:
法律による行政の原理ないし法治主義授益的行政処分の職権取消権は、侵害的行政処分と異なり、原処分が違法である場合に限り発生する。

原処分がした要件充足の判断がそもそも裁量の範囲内にある上に直接その判断の当否を法的・客観的に審査しても要件を充足している場合に取消しが可能というのは不条理
司法審査を通じて行政の恣意的権力行使を否定するという法の支配の観点

仮に、不当又は公益違反の瑕疵の場合も含められると解されるとしても、公有水面埋立法の解釈として、同法の承認処分の取消権は同法が違法である場合に限られると判断。
 
●争点②について 
公有水面埋立法4条1項1号の要件審査は外交・防衛とうい国家の安全保障上の問題が含まれるかについて、

本判決:
①同審査は、国土利用上の観点から埋立ての必要性及び公共性の高さと埋立て自体及び埋立て後の土地利用による自然環境ないし生活環境に及ぼす影響等と比較衡量した上で、地域の実情を踏まえ総合的に判断するところ、
②同審査に当たっては埋立てに係る事業の性質や内容は不可欠
③同法の承認(同法42条1項)は法定受託事務(同法51条1号、地方自治法2条9項)であるが「地域における事務」ともいえる
⇒肯定。

公有水面埋立法4条1項1号の要件審査の違法性について、
前記のような同審査の判断は、高度の政策的判断に属するとともに、専門技術的な判断も含まれる知事に広範な裁量があるとして、いわゆる小田急平成18年最高裁判決と同様の基準を採用

●争点③について 
公有水面埋立法4条1項2号の要件審査の違法性について、
同号の「環境保全」について「十分配慮された」とは、環境保全について十分と言える程度に問題の現況及び影響を的確に把握した上で、これに対する措置が適正に講じられたことを言う。

①その措置が講じられない場合には私人の個別的利益を具体的に侵害するおそれがあり
②他方で、同号の文言から一定の裁量的判断を許容するもの

多方面にわたる専門的技術的知見を踏まえた総合的判断が必要とされるとして、知事に裁量を認め、いわゆる伊方最高裁判決(最高裁H4.10.25)と同様の基準を採用

●争点④について 
争点①について授益的行政処分の職権取消しは原処分が違法である場合に限定
争点②及び③において、前記承認処分が公有水面埋立法4条1項1号及び2号の要件審査において違法であると認められない
⇒前記取消処分は違法。
but
念のため争点④について判断。
前記承認処分についての職権取消権が発生した場合について、その取消権の行使は制限されるか?

判例:行政処分の取消しを必要とする公益上の理由が同取消しによってもたらせる既存の法律秩序の破壊による不利益を上回らなければならないという利益衡量的判断

本判決:
同様に利益衡量により前者が後者を明らかに優越していることが必要。
その考慮要素としては、
①前記取り消すべき公益上の必要及び②取り消すことによる不利益に加え、
③処分の性質及び瑕疵の性質・程度、③瑕疵が生じた原因も含め、処分の根拠法令等に即して判断されるべき。

前記承認処分については、
①性質上法的安定性の確保の要請があり、
②その瑕疵については、Yが主張していると解される本件承認処分の法令要件違反における裁量範囲を逸脱する違法と連続する関係における裁量範囲内の違法でない要件違反がある場合であり、その程度は軽度であり、その瑕疵が生じた原因は承認申請者にない

取り消すべき公益上の必要が取り消すことによる不利益に比べて明らかに優越しているとまでは認められない。
前記取消処分は許されない。

判例時報2317

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「道徳と利益」

シュンペーターの「創造的破壊」での「革新者」は、なぜ我々が「利益」と呼ぶものがあるかを説明する今のところ唯一の理論である。古典的な経済学者は、彼らの理論が利益の原理的説明を提供しないことをよく知る。実際、閉じた経済システムの均衡経済学において、利益の場所はなく、その正当化はなく、その説明もない。しかしながら、利益が純粋なコストであり、特に利益が仕事を維持し新たな仕事を創造する唯一の方法であれば、資本主義は再び道徳的なシステムとなる。

利益インセンティブの道徳的基礎における弱さは、マルクスが、資本主義者を、邪悪で不道徳であると批判し、資本主義者は「科学的に」機能を果たさないと断言することを可能にした。しかしながら、変わらない、独立した、閉じた経済の原理からシフトすると、利益と呼ばれるものは、もはや不道徳ではない。それは道徳的な命令となる。実際、質問はもはや「いかに経済を維持するために資本家に渡されなくてはならない利益と呼ばれる意味のない余剰の賄賂を最小化するよう経済は構築され得るか?」ではない。シュンペーターの経済学での質問は常に「十分な利益があるか?」である。将来のコスト、事業にとどまるコスト、「創造的破壊」のコストを賄うのに適切な資本形成があるか?

ソース:The Daily Drucker 18 March.

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2017年3月16日 (木)

政務調査費の制度が設けられた後に、普通地方公共団体が地方議会の会派に補助金を交付することの可否

最高裁H28.6.28      
 
<事案>
平成14年から同18年までの間に、京都府が府議会の4つの会派に対し、会派運営費として補助金を交付

府内に主たる事務所を有する特定非営利活動法人であるXが、前記補助金の交付は違法であるから、四会派は府に対して補助金に相当する金員を不当利得として返還すべきであるのに、Y(京都府知事)がその返還請求を違法に怠っているなどとして、地自法242条の2第1項4号に基づき、四会派に対して不当利得の返還請求をするよう求める住民訴訟の事案。
 
<規定>
地方自治法 第242条の2(住民訴訟)
普通地方公共団体の住民は、前条第一項の規定による請求をした場合において、同条第四項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第九項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第四項の規定による監査若しくは勧告を同条第五項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第九項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第一項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもつて次に掲げる請求をすることができる。
一 当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求
二 行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求
三 当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求
四 当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。ただし、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方が第二百四十三条の二第三項の規定による賠償の命令の対象となる者である場合にあつては、当該賠償の命令をすることを求める請求

地方自治法 第232条の2(寄附又は補助)
普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる。
 
<判断>
普通地方公共団体は、平成12年改正により政務調査費の制度が設けられた後においても、地方議会の会派に対し、政務調査費の対象経費とされた「調査研究に資するため必要な経費」以外の経費を対象として、地方自治法232条の2に基づき、補助金を交付することができる

原判決のうち上告人敗訴部分を破棄し、その余の点について審理を尽くさせるため、同部分につき本件を原審に差し戻した。 
 
<解説>
地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行により、地方公共団体の自己決定権や自己責任が拡大し、その議会の担う役割がますます重要なものとなってきている
平成12年改正により設けられた政務調査費の制度は、議会の審議能力を強化し、議員の調査研究活動の基礎の充実を図るため、議会における会派又は議員に対する調査研究の費用等の助成を制度化し、併せてその使途の透明性を確保しようとしたもの。

①従前、会派に交付されていた補助金のうち、「調査研究に資するため必要な経費」について、以後はこれを政務調査費という新たな法制度に基づいて交付することができるものとし、②その交付の対象、額等については条例で定めなければならないとするとともに、③その使途の透明性の確保のための定めを置いたところに意義がある。

平成12年改正の際、その余の経費に対する補助の可否については、これを禁止する旨の規定が設けられることはなく、立法過程においてそのようんな補助を禁止すべきものとする旨の特段の検討がされた形跡もうかがわれない。

平成12年改正後において、普通地方公共団体が、会派に対し、政務調査費の対象とされた「調査研究に資するため必要な経費」を交付するためには、政務調査費の交付の対象、額等について定めた条例に基づいて行う必要が生じ、従前のようにこれを地自法232条の2に基づく補助金として交付することは許容されなくなった
but
その余の経費については、これを対象とする補助金の交付が一律に禁止されたものとは解されないのであり、そのよな補助金交付の可否については、従前と同様に、当該補助金の交付が同法232条の2の要件を充たすか否かにより決せられるべき。

判例時報2317

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「利益の目的」

利益は3つの目的に役立つ。
第1は、それは事業努力の正味の有効性と健全さを測る。
第2は、交替、陳腐化、市場リスクと不確実性といった、事業にとどまるコストをカバーする「リスクプレミアム」である。この観点から見ると「利益」というものはない。「事業を行うコスト」と「事業にとどまるコスト」だけがある。そして、事業の課題は適切な利益を稼ぐことで、これらの「事業にとどまるコスト」を適切に賄うことである。
最後に、利益は、留保利益からの自己資金により直接的に、あるいは、企業目的に最も適合した形での新たな外部資本の十分な誘引を通じて間接的に、イノベーションと拡大のための将来資本の供給を確保する。

ソース:The Daily Drucker 17 March.

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2017年3月15日 (水)

被害者とされた少女の新供述により再審が開始され無罪とされた事案

大阪地裁H27.10.16    
 
<事案>
被告人が同居していた養女に対して、強制わいせつ行為を行い、あるいは、複数回強姦行為に及んだという公訴事実につき、有罪の確定判決をを受けた被告人の再審無罪事件。
平成27年2月27日に再審開始と刑の執行停止が決定。
平成27年10月16日に本無罪判決が言い渡された。
再審の開始については、検察官も、再審を求める意見を述べており、再審開始決定が出る前に、検察官において、刑の執行を停止し被告人を釈放。
 
<規定>
刑訴法 第435条〔再審請求の理由〕 
再審の請求は、左の場合において、有罪の言渡をした確定判決に対して、その言渡を受けた者の利益のために、これをすることができる。

二 原判決の証拠となつた証言、鑑定、通訳又は翻訳が確定判決により虚偽であつたことが証明されたとき。

六 有罪の言渡を受けた者に対して無罪若しくは免訴を言い渡し、刑の言渡を受けた者に対して刑の免除を言い渡し、又は原判決において認めた罪より軽い罪を認めるべき明らかな証拠をあらたに発見したとき。
 
<問題点>
近時再審請求が認められ、無罪判決が出される事件が散見されるが、多くは、客観的な鑑定の結果等が大きな理由。 
供述の信用性について、刑訴法435条2号の「証言・・・が確定判決により虚偽であったことが証明され」るということは容易に想定し難い。
このような場合も、同条6号により再審の途が開かれることになる。

6号の場合、証拠に新規性が要求されるが、「新規性」とは、証拠資料としての未判断資料性であり、①確定審には登場しなかった証人の証言に新規性が認められることはもちろん、②確定審で証言した証人がその証言を変更した場合にも新規性が認められ、③被告人が確定審でした自白を覆した場合も同様。
 
<解説>
●再審請求の途を開いたのは、確定判決の最大の根拠となった被害者とされる少女と犯行を目撃したとされるその兄が、いずれも、確定審で供述した内容は虚偽で実際は、犯罪行為はなかったとの供述をするに至ったこと。 
実母とその夫から厳しく問い詰められて、胸を揉まれたとか、強姦されたとかの虚偽の内容を認めざるを得なかった(本件少女)。
実母およびその夫から被害を見ていないはずはないと問い詰められ、目撃した旨の虚偽の話をしてしまった(本件兄)。

●本判決の指摘
各新供述が信用できる理由(本判決):
①二度の強姦後の時点で、少女の処女膜は破れておらず、被告人の本件少女への強姦の事実がなかったことを如実に示す
②本件両名は、自身が偽証罪に問われる危険を冒してまで、被告人が無実であると述べており、そこには虚偽供述をする事情が見当たらない
③旧供述において虚偽供述をした理由や今回真実を述べるに至った理由について合理的な説明をしている

本件両名の旧供述の疑問点(本判決):
①被告人の母親や本件兄のいる部屋の隣や廊下で各犯行に及んだという犯行発覚の可能性からみた不自然さ
②被害時期についての供述の変遷:
被害少女が被害時期を1年前に変え、同時に本件兄も、全く別の理由で1年前のことと供述を変遷させている⇒本件兄の迎合が強く疑われる。

●確定判決での判断 
①本件少女に虚偽供述を行う利益や動機がないことを相当重視。
②本件少女の母親が、中学生頃からという年若くして被告人と性的関係を有しながら、結局は結婚してもらえなかったことを恨みに思っている可能性も検討しながら、結論においてはそのような恨みの影響はないと否定。

③基本的に、本件少女の供述の信用性を肯定。
たとえば、犯行発覚の可能性については、「常識的に考えれば、被害少女に叫び声を上げられて隣室の者等に犯行が発覚する可能性もあって、被告人がそのような状況の下で果たして強姦に及ぶのか疑問におもわれなくもない。」としつつ、強姦に及ぶ可能性が認められる根拠をいくつか説明をして、疑問を排斥。

④供述の変遷について、被害日時の特定の観点から、知人の結婚式の翌日という特定の仕方に着目し、その日が客観的な証拠によって一年遡ったとすれば、被害も一年前になるという説明を信用。
⑤本件兄の供述についても、本件兄は時期を明確に記憶していたわけではない⇒本件少女の供述の変遷に伴って同様に変遷があったとしてもさほど大きな問題ではないと評価。
⑥実母が、本件少女の強姦被害を疑い、本件少女を産婦人科医院に連れて行ったことが実母の証言で明らかになっているのに、その診断結果は証拠調べされなかった。⇒その診断結果が、確定審段階で明らかにされなかった。

●まとめ
①性的被害を受けたと訴える者の供述の信用し、しかも、14歳という年少者の供述の信用性が、誤判に結びついたもの。
②身内での犯行という要素が加わり、被告人と被害者以外の者の存在(本件少女の実母)が大きく影響。

①被害者供述の内容の吟味、
②その客観的裏付けの吟味
③当然あるべき事実が確認できない、又は反対事実が確認される契機を見逃してはならない。
④供述が誰に対してどのような形で出てきたのかという供述の出現経緯、その変遷等に何らかの誘導な歪曲が入り込む余地はなかったかを虚心坦懐に見極めることの重要性。

判例時報2316

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「目標と測定をバランスさせる」

事業をマネジメントすることは多様なニーズと目標をバランスさせることである。利益のみを強調することは、マネジャーを誤らせ、事業の存続を危うくさせ得る。今日の利益を得るために、彼らは未来を侵食しがちである。彼らは、最も容易に販売できる製品ラインを押し、明日の市場となるものをなおざりにする。彼らは、リサーチ、販売促進その他の延期できる投資を少なくする。とりわけ、彼らはそれに対して利益が測られる投資資本ベースを増加させ得る資本的支出を避け、その結果は設備の危険な陳腐化である。言い換えれば、彼らは最悪のマネジメント実践に向かう。

パフォーマンスと結果が事業の存続と繁栄に直接かつ重要に影響する全ての分野において目標が必要である。パフォーマンスと目的が設定される必要がある8つの分野がある。
①市場での地位、②イノベーション、③生産性、④物的・財務的リソース、⑤収益性、⑥マネジャーのパフォーマンスと進化、⑦労働者のパフォーマンスと態度、⑧公的責任。
強調されるべき鍵となる分野は、事業によって、そして各事業の成長のステージによって異なる。しかし、事業、経済状況、事業の大きさ、成長のステージにかかわらず、分野は同じである。

ソース:The Daily Drucker 16 March.

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2017年3月14日 (火)

控訴審でのDNA再鑑定による強姦事件で無罪となった事案

福岡高裁宮崎支部H28.1.12      
 
<事案>
平成24年10月7日午前7時過ぎに、南九州の繁華街の路上で、自転車に跨った被告人が17歳の被害者を170メートル離れた路地裏まで連行し、そこで強姦したという事案 
 
<一審>
被告人に強姦されたとの被害者の証言は、以下の①ないし④の事実に照らして信用できるとして、被告人を有罪とした。
①被害者が事件直後に母親と勤め先の店長に助けを求めるメールをしている。
②被害者の乳輪周辺から採取された付着物から被告人のDNA型と一致する唾液が検出された。
③被害者の膣前庭部、膣口部、子宮口部から採取された膣液から精液が検出された(但し、この精液については、抽出されたDNAが微量であったためPCR増幅ができず、型官邸には至らなかったとされている。)
④現場に遺留された自転車から被告の指紋が検出された。 
 
<再鑑定>
控訴審で行われた民間専門家によるDNA型再鑑定により、前記③の資料からは被告人の精子は検出されず、逆に被告人のものとは異なる他の男性の精子の存在が認められ、かつその精子は、被害者が事件当日着用していたショートパンツに付着していた資料とDNA型が一致。
同再鑑定は、一審の鑑定について、いかに微量でも精子の存在が認められる場合にそのDNA鑑定ができないことは通常考え難いとする。
 
<判断>
再鑑定結果⇒被害者が本件直近の他の男性との性交の事実を秘匿しているなどとして被害者証言の信用性を否定し、被告人を無罪とした。 
前記②の事情については、被告人と被害者との性的接触までは推認されるが、強姦や強制わいせつの事実と認める証拠とはならない
 
<解説> 
●一審有罪判決の決め手となった鑑定について、「実際には精子由来ではないかとうかがわれるDNA型が検出されたにもかかわらず、それが、その頃鑑定の行われていた被告人のDNA型と整合しなかったことから、捜査官の意向を受けて、PCR増幅ができなかったと報告した可能性すら否定する材料がない」と判示。
一審で証拠とされた鑑定は、その鑑定担当者が、抽出後定量に使用したDNA溶液の残部を全て廃棄し、その上、鑑定経過を記載した「メモ紙」までも廃棄しており、その経過の追証が不可能な状態になっていた。
 
●控訴審は、検察官が提出しようとした再々鑑定についての事実取調べを相当性がないとして却下。

「検察官が公益の代表者として重要な資料を領置しているいることを奇貨として、秘密裏に、希少かつ非代替的な重要資料の費消を伴う鑑定を嘱託したもので、その結果が検察官に有利な方向に働く場合に限って証拠請求を行う意図であったことすらうかがわれるのであって、単に上記の本来の在り方を逸脱したにとどまらず、訴訟法上の信義則及び当事者対等主義の理念に違背し、これをそのまま採用することは、裁判の公正を疑わせかねないものである。」 

●DNA型鑑定は「個人識別能力という意味では既に究極の域に達している」と評価され、その結果は事実認定に決定的な影響力をもつ。 

判例時報2316

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「短期と長期をマネジメントする」

事業が短期の結果のために経営されるべきか「長期」のために経営されるべきかは、価値の質問である。金融アナリストは事業は同時に双方のために営まれ得ると信じる。成功する経営者はよりよく知る。確かに、全員は短期の結果を生み出さなくてはならない。しかし、短期の結果と長期の成長が衝突する場合、ある会社は長期の成長を選び、別の会社は短期の結果を選ぶ。これは、本来経済についての意見の相違ではない。これは、基本的に、事業の機能とマネジメントの責任に関する価値の対立である。

ソース:The Daily Drucker 15 March.

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2017年3月13日 (月)

株式交換の効力発生日後に株式買取請求が撤回された場合

東京地裁H28.1.28      
 
<事案>
被告(Y)がその親会社(Z)との間で、当該親会社を株式交換完全親会社(「完全親会社」)、被告を株式交換完全子会社(「完全子会社」)とする株式交換。
被告の株主であった原告(X)らが反対して株式買取請求⇒株式の価格について協議が整わず、また、価格決定の申立てなされないまま当該株式交換の効力発生日から60日経過した後に、同請求撤回。

Xらは、Yに対し、
①主位的に、Zの株式を取得している⇒証券保管振替機構の口座振替及びZの配当金(民事法定利率に基づく遅延損害金を含む。以下同じ。)の支払を求め、
②予備的に、Yの株主であることの確認と株主名簿への記載及びYの株主であることを前提とする配当金の支払を求め(予備的請求1)
③主位的請求のZの株式を取得していることを前提とする口座振替が認められない場合に、そにれ代わる金員の返還及び主位的請求と同様の配当金の支払を求め(予備的請求2)
④予備的請求1のYの株主であることの確認等が認められない場合に、それに代わる金員の返還及び予備的請求1と同様の配当金を求めた(予備的請求3)。
 
<判断>
●本件各撤回により、Xらの地位はどうなるのか? 

株式交換が行われた場合、
①完全親会社は、効力発生日に完全子会社の発行済株式を取得し、完全子会社の株主は、効力発生日に完全親会社の株主となり(会社法769条1項、3項1号)、
株式交換に反対する完全子会社の株主が完全子会社に対して行った株式買取請求に係る株式の買取りは、効力発生日にその効力を生じる

株式買取請求がされた後、株式交換の効力が生じたときは、株式買取請求を行った株主が完全親会社の株主となることはなく、当該請求を行った完全子会社の株主が有する株式は、その効力発生日に完全子会社を経て完全親会社に移転する。 

株式交換の効力発生日後に株式買取請求権を撤回

①完全子会社にには原状回復義務として完全子会社の株式を返還する義務
②完全親会社が完全子会社の株式を取得していることから、当該義務は履行不能
⇒完全子会社は、株式買取請求に係る株式の代金相当額の金銭を返還する義務を負う。
 
●YがXらに支払うべき金額がどのように算定されるか?

株式買取請求を撤回⇒撤回の時点でにおいて完全子会社の株式の現物返還は不能であり、株主は金銭債権を取得

撤回時における完全子会社の株式の価格相当額を返還すべき

具体的には、交換比率に特に不当と認めるべき事情も認められない⇒株式買取請求を撤回した時点における完全親会社の市場株価を交換比率で換算して算出した金額をもって代金相当額と定めるのが合理的

判例時報2316

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「普遍的な企業家的規律」

事業に限らず、全ての組織は、その日々のマネジメントに、並行的に行われる4つの企業家的活動を組み入れなくてはならない。

1つは、もはや最適なリソースの割当てではない、製品、サービス、プロセス、市場、流通経路等の体系的廃棄である(①)。そして、どの組織も、体系的な、継続的改善のため組織しなくてはならない(②)。そして、体系的で継続的な開発(活用)、特に成功の開発のため組織しなくてはならない(③)。そして、最後に、体系的イノベーションを組織しなくてはならず、それは組織で最も成功する今日の製品さえ陳腐化させ、その大部分にとってかわる、違う明日を創造することである(④)。私は、これらの規律は望ましいだけでなく、今日生き残るための条件であると、強調する。

ソース:The Daily Drucker 14 March.

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2017年3月12日 (日)

映像作品のデータを動画共有サイトのサーバーにアップロードした行為についての損害賠償請求

東京地裁H28.4.21       
 
<事案>
映像作品(本件著作物1及び2)の著作権を有するXが、Yが本件著作物1及び2のデータを動画共有サイト(本件動画サイト)のサーバーにアップロードした行為が公衆送信権の侵害に当たると主張し、民法709条及び著作権法114条1項又は3項に基づき、損害賠償金1475万4090円及び遅延損害金の支払を求めた訴訟。 
 
<争点>
Xが蒙った損害の額。 
 
<規定>
著作権法 第114条(損害の額の推定等)
著作権者、出版権者又は著作隣接権者(以下この項において「著作権者等」という。)が故意又は過失により自己の著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為によつて作成された物を譲渡し、又はその侵害の行為を組成する公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行つたときは、その譲渡した物の数量又はその公衆送信が公衆によつて受信されることにより作成された著作物若しくは実演等の複製物(以下この項において「受信複製物」という。)の数量(以下この項において「譲渡等数量」という。)に、著作権者等がその侵害の行為がなければ販売することができた物(受信複製物を含む。)の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、著作権者等の当該物に係る販売その他の行為を行う能力に応じた額を超えない限度において、著作権者等が受けた損害の額とすることができる。ただし、譲渡等数量の全部又は一部に相当する数量を著作権者等が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。

3 著作権者又は著作隣接権者は、故意又は過失によりその著作権又は著作隣接権を侵害した者に対し、その著作権又は著作隣接権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額を自己が受けた損害の額として、その賠償を請求することができる。
 
<判断>
著作権法114条1項に基づく損害額:
①本件著作物1及び2の本件動画サイトにおけるストリーミングによる動画の再生回数が受信複製物の数量に当たるとはできないし、②これをダウンロードの回数と同視することもできない。
⇒同項に関するXの主張は失当。

同条3項に基づく損害額について:
本件における事実関係を前提とすれば、Yにほる本件著作物1及び2の公衆送信権の損害に対してXが著作権の行使につき受けるべき金銭の額はそれぞれ50万円とするのが相当。
 
<解説>
●著作権法114条1項に基づく損害額
①侵害者による譲渡等数量に②権利者の単位数量当たりの利益額を乗じた額を、権利者の能力に応じた額を超えない限度において、権利者が受けた損害額とする旨の規定。

譲渡等数量とは、①有体物の無断譲渡を想定した「譲渡した物の数量」及び②インターネットを用いた無断送信を想定した「受信複製物の数量」をいう。

②の「受信複製物の数量」公衆によるダウンロードの数量をいうとする見解が多数。
視聴のみを目的とするストリーミング配信は一般にダウンロードをともなわないが、その過程で行われる端末パソコン内における情報の一時的蓄積(CACHE)が受信複製物に含まれるかという問題があるが、著作権法114条1項の解釈としても、受信複製物には当たらないとする見解。

①「受信複製物」とは、条文の規定上、公衆送信が公衆によって受信されることにより作成された著作物等の複製物をいう。
②ダウンロードを伴わないストリーミング配信の場合、データをダウンロードした場合と異なって視聴を終えた後に視聴者のパソコン等にデータが残ることはない。

本件において受信複製物が作成されたとは認められないとし、結論として上記多数意見に沿う判断。
 
●著作権法114条3項に基づく損害額について
著作権者等が請求し得る最低限度の損害額を法定した規定であり、個々の事案における具体的な事情を考慮して「受けるべき金銭の額に相当する額」を算定。
業界の一般相場、権利者の他の使用許諾契約、著作物使用料規定等が考慮要素。

判例時報2316

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「戦略計画を行動に変える」

結果を生み出すことができる計画を示す識別は、鍵となる人々のその仕事に取り組むコミットメントである。かかるコミットメントがなければ、見込みと希望があるだけで、計画はない。計画はマネジャーに「あなたの最良の人々の誰に今日この仕事に取り組ませたか?」と尋ねることでテストされる必要がある。(ほとんどがそうであるように)「しかし、私は最良の人々を今さくことはできない。明日取り掛からせることができる前に、彼らは今していることを終わらせなくてはならない。」と答えるマネジャーは、彼が計画を持っていないことを認めるにすぎない。

仕事は、責任、期限、そして最後に、結果の測定(=仕事の結果からのフィードバック)を意味する。我々が何を測定し、いかに測定するかは、何が意味があると考えられるかを決め、それによって、我々が見るものだけでなく、我々(と他の人々)がするものを決める。

ソース:The Daily Drucker 13 March.

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2017年3月11日 (土)

不動産の処分禁止の仮処分に対する保全異議が認められた事例

前橋地裁H28.4.25      
 
<事案>
不動産について、債権者が申し立て、発令された処分禁止の仮処分について、債務者が保全異議を申し立てた事案 。
債権者は、本件不動産について、債務者に対する所有権に基づく所有権移転登記手続請求権を有すると主張し、処分禁止の仮処分を申し立て、同申立ては認容された(基本事件)。
その後、債権者は、債務者に対し、本件不動産につき、所有権に基づく所有権移転登記手続を求める訴訟を提起し(本案事件)、本案事件係属中に、仮に債権者が所有権を喪失したとしても、債務者に対する物権変動的登記手続請求権を有する旨の予備的請求を追加

本案係属中に、債務者から、基本事件について、保全異議の申立てがなされた(本件)。

本件不動産を所有していたAは、平成26年3月、債務者との間で、本件不動産について、委託者をA、受託者を債務者、受益者をBとする信託譲渡の合意(本件合意)をし(債務者は、本件合意は、信託契約ではなく、売買契約であると主張)、本件合意に基づき、本件不動産について、従前の受託者であったCから債務者に対する所有権移転登記及び信託内容に係る登記がなされた。
その後、A及びBは、平成26年11月、債務者を解任して債権者を受託者として選任する旨合意し、債権者が受託者に就任。平成28年1月には、債権者を解任して債務者を受託者として選任する旨合意し、債務者が受託者に就任
 
<問題点>
本件合意が売買契約である場合はもとより、信託契約であったとしても、平成28年1月になされた受託者変更により、債権者は所有権を喪失⇒所有権に基づく主張は維持できなくなる。 
⇒債権者は、本案事件において予備的請求を追加するとともに、本件においても同旨の主張を行い、基本事件に係る決定が維持されるべき旨を主張した。
保全異議審において、申立ての趣旨の変更を伴わない被保全権利及び保全の必要性についての主張の変更は、請求の基礎の同一性が認められるかぎり許されるとするのが一般)

この場合においては、所有権は、A→債務者→債権者→債務者と移転したことになるが、所有権移転登記はAから債務者に移転したままであって、いわゆる中間省略登記がなされた場合と類似の状態。
このような事案で、物権変動的登記手続請求権を保全するために処分禁止の仮処分を発令すべきかが問題。
 
<規定>
民事保全法 第58条(不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の効力) 
第五十三条第一項の処分禁止の登記の後にされた登記に係る権利の取得又は処分の制限は、同項の仮処分の債権者が保全すべき登記請求権に係る登記をする場合には、その登記に係る権利の取得又は消滅と抵触する限度において、その債権者に対抗することができない。
2 前項の場合においては、第五十三条第一項の仮処分の債権者(同条第二項の仮処分の債権者を除く。)は、同条第一項の処分禁止の登記に後れる登記を抹消することができる。
 
<判断>
中間省略登記が現在の実態的権利関係に合致している場合には、その抹消を求める中間者において正当な利益を有することが必要(最高裁)
but
これと類似の関係にある本件について、登記名義を中間者的立場にある債権者に移転すべき事情の主張及び疎明がない。 
抗告審で、債権者は、本件不動産の賃借人に対し、債権者が受託者としての地位を有する期間の賃料請求を行うために所有権移転登記を得る必要がある旨主張したが、排斥。
 
処分禁止の仮処分の効力は、当該仮処分の後にされた登記に係る権利の取得又は処分の制限について、抵触の限度においてこれを対抗することができないとすることにある
仮に債権者が物権変動的登記手続請求権を有するとしても、所有権者がこれを処分することを妨げることはできない
原決定後に仮処分に反して転得者が表れたとしても、債権者はいわゆる前々主に過ぎず、登記の欠缺を主張する正当な利益を有することにはならない
前記転得者は、債権者に対し、その登記及び仮処分の有無にかかわらず所有権取得を主張できる。 

民保法58条2項との関係においても、転得者が現れた場合に債権者が対抗要件に立たない⇒処分禁止の仮処分によって権利保全が図られる関係にない⇒保全の必要性の疎明なし。
 
●基本事件に係る決定後の事由に基づく保全異議の当否についても問題となったが、保全取消事由を保全異議手続において主張することは許される(通説)として、本決定も同旨の判断。 

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2017年3月10日 (金)

死刑確定者と弁護士との立会のない面会の不許可と国賠請求(肯定)

東京地裁H28.2.23      
 
<事案>
死刑確定者X1と弁護士X2・X3が、拘置所長から秘密面会を許されなかったことにつき、国賠法1条1項に基づき、損害賠償(一部請求)として、面会1回につき慰謝料15万円及び弁護士費用1万5000円並びに遅延損害金の支払を求めた事案。 
 
<争点>
秘密面会を許さなかった拘置所長の措置が国賠法上違法か否か 
①最高裁H25.12.10にいう「心情の安定を把握する必要性が高い」か否かをどのように判断するか
②同判決の判断枠組みは死刑確定者と代理人弁護士との民事訴訟に向けた打合せのための面会にも妥当するか
③代理人弁護士は秘密面会をする固有の利益を有するか
 
<判断>
●争点①について 
心情の安定は個々の人の主観、内心に関わる問題これを理由として、死刑確定者に保障されるべき権利利益を誓約することが必ずしも相当とはいえない

死刑確定者又は弁護人が再審請求に向けた打合せにつき秘密面会を許さない措置が心情の安定を把握する必要性から許容されるのは、「死刑確定者の面会についての意向を踏まえ」た場合、すなわち、面会に否定的な意向を有しているのか否か、秘密面会を求めているのか否かなどの死刑確定者本人の意向を最も重要な考慮要素として判断した場合に限られる
 
●争点②について
①死刑確定者は、自己が受けた処遇に関する救済を求める国家賠償の訴訟(処遇国賠訴訟)を提起した場合においては、刑事施設が紛争の相手方本人であること、
②刑事収容法112条2号、116条2項の趣旨

同法121条ただし書にいう「正当な利益」として、同訴訟の代理人弁護士と秘密面会をする利益を有する

死刑確定者又は代理人弁護が処遇国賠訴訟に向けた打合せのために秘密面会の申出をした場合にこれを許さない措置は、平成25年最判にいう特段の事情がない限り、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用して死刑確定者の秘密面会をする利益を侵害するものとして、国賠法1条1項の適用上違法となる。
 
●争点③について 
処遇国賠訴訟の代理人弁護士が、固有権として死刑確定者との秘密交通権を有することをうかがわせる法令上の規定は見当たらず、同弁護士は、あくまでも、死刑確定者の代理人として、死刑確定者が求める限度で、死刑確定者の利益のために活動する地位を有するにとどまる。
死刑確定者と秘密面会をする固有の利益を有しない
 
<解説>
①平成25年最判のいう「心情の安定を把握する必要性が高い」ことの認定に付き、「心情の安定」という本人の主観にわたる不明確な要件によって秘密面会が制限されるとするのは相当ではない
同判決が「死刑確定者の面会についての意向を踏まえ」という文言をあえて加えている意図

死刑確定者が秘密面会あるいは弁護人あるいは弁護人との面会自体に否定的な意向を示している場合は格別、少なくとも死刑確定者が弁護人との秘密面会を求めている場合には、前記場合には該当しないという見解があり、東京高裁H26.9.10も同様の判断。

本判決は、平成25年最判で説示された「死刑確定者の面会についての意向を踏まえ」という文言を重視し、前記認定が許されるのは死刑確定者本人の意向を最も重要な考慮要素とした場合に限られるとした。

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「変化を水先案内する」

改良されたものや新しいものは全て、最初に小さくテストされる必要がある。それは、水先案内される必要があるということである。これをする方法は会社の中にその新しいものを本当に欲する誰かを見つけることである。新しいものは全てトラブルに巻き込まれる。そして、それは擁護者を必要とする。「私はこれを成功させる」と言い、それに取り組む人を必要とする。これは組織の中の誰かである必要もない。

しばしば、新たな製品やサービスの水先案内の良い方法は、本当に新たなものを求め、喜んで、製造者と一緒に、真に成功する新しい製品や新しいサービスを作ることに取り組む顧客を見つけることである。パイロットテストが成功すれば・・それは、誰も予想しない問題を見つけるだけでなく、デザインであれ、市場であれ、サービスであれ、誰も予想しなかった機会を見つける・・変化のリスクは通常非常に小さい。

ソース:The Daily Drucker 11 March.

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2017年3月 9日 (木)

芸能プロダクションと女性アイドルとのマネージメント契約の解除(肯定)・損害賠償請求(否定)

東京地裁H28.1.18      
 
<事案>
芸能プロダクションに所属していた女性アイドルが男性ファンと交際⇒芸能プロダクションがアイドル、その両親、交際相手の男性に対して損害賠償請求 

Xは、Y1、Y2に対し、共謀の上、イベント等への出演業務を破棄した等と主張し、
主位的に本件契約の債務不履行、不法行為に基づき逸失利益等の損害賠償、
予備的には不利な時期に本件契約を解除したと主張し、民法651条2項に基づき損害賠償を請求するとともに、
Y1の両親Y3、Y4に対し、Y1の生活及び活動状況を適切に管理監督すべき義務違反があったと主張し、不法行為に基づき損害賠償を請求。
 
<契約>
X㈱は、芸能タレントの育成、マネージメント等の事業を行っており、Y1は、平成24年4月、Xと契約期間3年間の専属マネージメント契約を締結。
当時、Y1は未成年で、父Y3が同意し、契約書の親権者欄に署名押印。

本件契約には、
①Y1がXの指示に従って誠実に出演業務を遂行する旨(3条)
仕事等に遅刻、欠席、キャンセルしたり、ファンと性的な関係をもったり、Xがふさわしくないと判断したりした場合には、XがY1に損害賠償を請求できる
旨の定めあり。 
 
<規定>
民法 第628条(やむを得ない事由による雇用の解除)
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
 
<争点>
①Y1の債務不履行、不法行為の有無
②本件契約の解除の有無・時期
③Y2の共謀の有無、
④Y3らの管理監督義務の有無
⑤損害額等
 
<判断> 
●Y1がAグループのライブに出演せず、Y2と交際を開始し、男女関係を持ち、Xからの連絡に応じなかったことは、本件契約に違反する。
but
本件契約の内容
⇒本件契約はY1がXにマネージメントを依頼するというY1が主体となった契約ではなくXがY1を具体的な指揮命令の下にXが決めた業務に従事させることを内容とする雇用契約類似の契約
⇒民法628条所定のやむを得ない事由があるときは、本件契約を解除することができる
本件契約はY1に一方的に不利なものであり、生活するのに十分な報酬も得られないまま、Xの指示に従ってアイドル活動を続けることを強いられ、従わなければ損害賠償の制裁を受けるもの
本件契約による拘束を強いるべきものではない

Y1の内容証明郵便による解除の効力を認め、これ以降の活動停止は債務不履行、不法行為に該当しない。

●Y2との性的な関係は、アイドルの勝ちを維持するため、マネージメント側がその発覚を避けたいと考えることは当然⇒マネージメント契約でこれを制限する規定を設けることも一定の合理性がある。 

①異性との合意に基づく交際を妨げられない自由は幸福追求の自由の一内容⇒
Xが、異性と性的な関係を持ったことを理由に損害賠償を請求できるのは、Y1が積極的に損害を生じさせようとの意図を持って殊更にこれを公にしたなど、Xに対する害意が認められる場合等に限定して解釈すべき。
本件では、この場合に当たるとの証拠がない

民法628条後段については、本件契約の解除のやむを得ない事由がY1の過失によって生じたものではない。
Xの主張に係るグッズ在庫、逸失利益、信用毀損の損害が生じたとは認められない。

Y1の損害賠償義務なし⇒Y2の損害賠償義務もなし。
Y1がY2と交際を開始したときは既に成人に達していた
⇒Y3、Y4は、Xに対して管理監督義務を負わない。

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「変化を探す」

企業家は変化を普通のことで健全なことと見る。通常、彼らは自ら変化を引き起こさない。しかし、そしてこれが、企業家と企業家精神を定義するが、企業家は常に変化を探し、それに反応し、それを機会として活用する。

全ての変化を見、全ての窓から外を見る。そして尋ねる。「これは機会であり得るか?」「この新しいものは純粋な変化かそれとも単なる流行か?」違いは単純である。変化は人々が行うものであり、流行は人々が話すものである。多くの話は流行である。あなたは、また、これらの推移、これらの変化が、機会か脅威かを自問しなくてはならない。変化を脅威と見ることから始めれば、あなたは決して革新しない。これがあなたが計画したものでないからといって、排除しない。期待しなかったものは、しばしば、イノベーションの最高の源泉である。

ソース:The Daily Drucker 10 March.

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2017年3月 8日 (水)

「不断の変化のために組織する」

先進国にとって、そしておそらく世界全体にとって、確かなことが1つある・・我々は長年深い変化に直面する。組織は不断の変化のために組織されなくてはならない。もはや企業家的イノベーションがマネジメントの外にあり、あるいはマネジメントの周縁にあると考えることさえ不可能である。企業家的イノベーションはマネジメントの中心で中核とならなくてはならない。組織の機能は企業家的であり、知識を、道具、製品、プロセスに、仕事のデザインに、そして知識自身に取り組ませる。

イノベーションの意図的な強調は技術的変化が最もめざましくない場所で、最も必要とされ得る。製薬会社では、全員が、会社の存続が10年ごとに製品の4分の3を全く新しいものにかえる能力に依拠することを知る。しかし、保険会社のどれだけの人が、会社の成長、おそらく会社の存続すら、新たな保険の開発に依拠することを認識するであろうか?事業において技術的変化がめざましくなく、顕著でなければ、組織全体が硬直化する危険はより大きく、従って、イノベーションの強調がより重要になる。

ソース:The Daily Drucker 9 March.

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2017年3月 7日 (火)

評価基準を定めた行政庁である総務大臣を被告のために参加させる旨の原告の申立が認容された事例

大阪地裁H26.1.27      
 
<事案>
大阪府堺市に家屋を所有するXは、堺市長によって決定され固定資産課税台帳に登録された右家屋の平成21年度及び平成24年度の価格を不服として、堺市固定資産評価審査委員会に対し、それぞれ審査の申出
⇒平成21年度の価格については一部しか変更されず、平成24年度の価格については審査請求を棄却する旨の決定⇒Xが適法と考える価格を超える部分の取消しを求める取消訴訟を提起。

Xが、行訴法23条に基づき、被告であるYのために総務大臣を訴訟参加させることを申し立てた事案。 
 
<規定>
行政事件訴訟法 第23条(行政庁の訴訟参加)
裁判所は、処分又は裁決をした行政庁以外の行政庁を訴訟に参加させることが必要であると認めるときは、当事者若しくはその行政庁の申立てにより又は職権で、決定をもつて、その行政庁を訴訟に参加させることができる。
2 裁判所は、前項の決定をするには、あらかじめ、当事者及び当該行政庁の意見をきかなければならない。
3 第一項の規定により訴訟に参加した行政庁については、民事訴訟法第四十五条第一項及び第二項の規定を準用する。
 
<判断>
①地方税法は、固定資産課税台帳に登録すべき固定資産の価格を算定するための評価基準を総務大臣が定めることとし(388条1項)、固定資産の価格を決定するに当たっては、市町村長は、総務大臣が定める右評価基準に従わなければならないことを規定(403条1項)
②右取消訴訟において、Yは、右評価基準には一般的合理性があることを前提として、これに従って決定された価格は適正な時価であると推認されると主張
but
Yは、評価基準の基礎となる調査、検討資料等を保有しておらず、当該調査、検討に関する詳細な事情を明らかにすることはできないとする。

右評価基準を定めた行政庁である総務大臣をYのために右取消訴訟に参加させることが必要。 
 
<解説>
行訴法23条に基づく参加の必要性の要件の判断は、裁判所の裁量に委ねられていると解されている。
その判断は、本条の趣旨・目的に即してされるべきであって、当該行政庁を参加させることにより、①攻撃防御に関する資料が豊富になり、②訴訟の実質化が図られ、その結果、③適正な審理裁判を実現できるかどうかが重要であるとされる。
具体的には、係争の処分等についての当該行政庁の有効な知識、経験、資料の提供を得ることが審理上必要で、かつその見込みがあるかどうかという観点から判断されるべきである等との指摘。

行訴法は、訴訟資料等の充実という観点から、23条の行政庁の訴訟参加以外にも、釈明処分の権限を裁判所に認めている(23条の2)。
同条が予定する資料等の提出に限られない行政庁の知識、経験等を踏まえた審理判断が必要となる場合もある。

行訴訟23条1項の規定により行政庁を訴訟に参加させる決定に対しては、不服申し立てが許されないとされており(最高裁H6.12.16)、本決定によって行政庁には当然に補助参加人に準じる地位が与えられることになる(行訴訟23条3項、民訴法45条1項、2項)。

判例時報2316

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「激動:脅威か機会か?」

マネジャーはその仕事を見て尋ねなくてはならない。「危険、機会、そしてとりわけ変化に備えるために私は何をしなくてはならないか?」

第1にこれはあなたの組織が体を傾け素早く動くことができるようにする時である。これは、正当化できない製品と活動を体系的にやめ、真に重要な仕事が適切にサポートされるようにする時である。

第2に、特に、研究員、技術サービススタッフそして全てのマネジャーのような、高給で重要なグループにとってそうであるように、特に時間が人の唯一のリソースであるところで、最も高価なリソースである時間に取り組まなくてはならない。そして、人は生産性向上のための目標を設定しなくてはならない。

第3に、マネジャーは成長を管理し、多様な成長を見分けることを学ばなくてはならない。組み合わされたリソースの生産性が成長ととともに向上するなら、それは健全な成長である。

第4に、人の開発は未来において最も重要である。

ソース:The Daily Drucker 8 March.

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2017年3月 6日 (月)

離職せん別金に充てるための、市の共済会に対する補助金交付が違法とされた事例

最高裁H28.7.15       
 
<事案>
鳴門競艇従事員共済会から鳴門競艇臨時従事員に支給される離職せん別金に充てるため、鳴門市が共済会に対して補助金を交付
⇒給与条例主義を定める地方公営企業法38条4項に反する違法、無効な財務会計上の行為であるなどとして、市の住民であるXらが、Y1及びY2を相手に、本件補助金交付当時の市長、市公営企業管理者企業局長に対する損害賠償の請求等をすることを求めた住民訴訟。 
 
<第1事件>
●原審
離職せん別金が退職金としての性格を有していることは否定できない。
but
臨時従業員の就労の実態が常勤職員に準じる継続的なものであり、退職手当を受領するだけの実質が存在。

本件補助金の交付が給与法定主義の趣旨に反し、これを潜脱するものとはいえず、本件補助金の交付に地自法232条の2の定める公益上の必要性があるとの判断が裁量権を逸脱、濫用したものとは認められない。

本件補助金の交付が違法であるということはできない。

●判断
①共済会から臨時従事員に対して支給される離職せん別金に充てるため、市が共済会に対してした本件補助金の交付が、地自法232条の2所定の公益上の必要性の判断に関する裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものとして違法であると判断。

予算の調整を違法な財務会計上の行為として当時の市長に対して損害賠償請求を求める請求に係る訴えについて、住民訴訟の対象外の行為を対象とする不適法なものとして却下
 
<第2事件>
●原審
本件条例の制定経緯及び趣旨⇒
本件条例の制定・施行により、本件補助金を介して支払われた離職せん別金には地方公営企業法38条4項にいう条例の定めがあったことになる⇒本件補助金の交付は適法なものとなる。
⇒Xらの請求をいずれも棄却。
 
●判断
共済会から臨時従事者に対して支給される離職せん別金に充てるため、市が共済会に対してした補助金の交付が、本件条例の制定により遡って適法なものとなるとした原審の判断には違法がある
 
<解説>
●第1事件
地自法232条の2は、普通地方公共団体は「公益上必要がある場合」に寄附又は補助をすることができると規定。

様々な行政目的をしんしゃくした政策的な考慮が求められる⇒この点についての地方公共団体(最終的には支出の権限を有する長等)の判断は、特に不合理又は不公正な点のない限りはこれを尊重することが必要であり、地方公共団体の長等の裁量権の行使に逸脱・濫用がある場合に限り、当該寄附又は補助が前記の要件を満たさないものとして違法となる(最高裁H17.10.28)。

本件における離職せん別金の支給原因、計算式、実際の支給額の大きさ等⇒離職せん別金は退職金の性格を有する

①市から共済会に対して交付される補助金額の計算式が、共済会から臨時従業員に対して支給される離職せん別金の計算式と連動
②離職せん別金の原資に占める本件補助金の割合が約97%に及んでいた

市が共済会を経由して臨時従業員に対し退職手当を請求するために共済会に対して交付したものと評価するのが相当

地自法204条の2は、普通地方公共団体は法律又はこれに基づく条例に基づかずにはいかなら給与その他の給付も職員に支給することができない旨を規定。
地方公営企業法38条4項は、企業職員の給与の種類及び基準は条例で定めると規定。
but
①本件補助金の交付当時、臨時従業員に対して離職せん別金又は退職手当を支給することを定めた条例の規定なし。
②賃金規程においても退職手当の規定なし。
③臨時従事員は、採用通知書により指定された個々の就業日ごとに日々雇用されてその身分を有する者にすぎず、その雇用が継続するものではない。⇒給与条例の定める「勤務期間6月以上で退職した場合」の要件に該当しないことは明らか。
⇒臨時従事員が常勤職員又は非常勤職員のいずれに該当するかにかかわらず、給与条例に基づき臨時従事員に対して退職手当を支給することはできない。

市が共済会に対して離職せん別金に充てるために本件補助金を交付したことは、条例上の根拠なく実質的な退職手当を支給したものであって、地自法204条の2及び地方公営企業法38条4項の定める給与条例主義を潜脱する違法なもの⇒本件補助金の交付に公益上の必要性があるとの判断には裁量権の逸脱・濫用がある。

また、原審は、臨時従業員の就労実態等から本件補助金の交付を適法としているが、実質論により、条例の定めを欠く給与の支給を適法とすることはできない。

住民訴訟の対象となる行為
地自法242条の2第1項、242条1項において、
「公金の支出」、「財産の取得、管理若しくは処分」、「債務その他の義務の負担」又は「公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実」、すなわち財務会計行為に限られており、予算の調整はこれに当たらない

予算の調整を違法な財務会計上の行為として本件補助金交付当時の市長に対し損害賠償請求をすることを求める請求に係る訴え部分を不適法として却下
 
●第2事件
地方公共団体が条例に基づかずに給与等の支給をした場合であっても、その後に条例において当該支給の根拠となる規定を設けるとともに、既に行われた支給について当該根拠規定に基づいて支給されたものとみなす旨を定め、これを遡って適法とすることは給与条例主義の趣旨に反するものではなく、許される(最高裁H5.5.27)。

本件条例は、臨時従業員に退職手当を支給する旨を定めた上で、「この条例の施行の際現に企業局長が定めた規程に基づき臨時従業員に支給された給与については、この条例の規定に基づき支給された給与とみなす。」との経過規定(附則)を定める。
but
離職せん別金は、共済会の事業としてその規約に基づき臨時従業員に支給されたものであり、企業局長が定めた規程(企業管理規程)に基づいて臨時従業員に支給された給与に当たらない

本件条例の制定により臨時従業員に対する離職せん別金の支給につき遡って条例の定めがあったことになるとした原審の判断には、本件条例の解釈適用を誤った違法がある。

判例時報2316

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「真の全体の創造」

マネジャーは部分の合計よりも大きな、真の全体を創造する仕事を持つ。1つの類似は交響楽団の指揮者の仕事であり、その努力、ビジョン及びリーダーシップを通じ、各楽器のパートは生きた音楽的パフォーマンス全体となる。しかし、指揮者は作曲家の楽譜を持つ。彼は解釈者にすぎない。マネジャーは作曲家と指揮者の双方である。

真の全体を創造する仕事はマネジャーに、その全ての行動において、①全体としての企業のパフォーマンス/結果と②(同時に進行するパフォーマンスの達成に必要な)多様な活動を同時に考えることを要求する。オーケストラの指揮者との比較が最も適合するのは、おそらくここである。指揮者は常にオーケストラ全体と、例えば、セカンドオーボエの双方を聞かなくてはいけない。同様に、マネジャーは常に企業の総合的なパフォーマンスと、例えば、必要な市場調査活動の双方を考えなくてはならない。全体のパフォーマンスを上げることで、彼女は市場リサーチの範囲と挑戦を創造する。市場リサーチのパフォーマンスを改善することにより、彼女はより良い総合的な事業結果を可能にする。

マネジャーは同時に2つの二面的な質問を尋ねなくてはならない。「①どのようなより良い事業パフォーマンスが必要とされ、それはどのような活動を必要とするか?」と「②それらの活動はいかなるより良いパフォーマンスを可能にし、事業結果のどのような改善を可能にするか?」である。

ソース:The Daily Drucker 7 March.

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2017年3月 5日 (日)

起訴後の被告人の取調べについての供述調書の証拠能力が否定された例

東京地裁H27.7.7      
 
<事案>
警察官が、起訴翌日以降被告人を呼び出して面会し、公訴事実に関する取調べを行い、自白を内容とする供述調書を作成
検察官は、刑訴法322条1項前段による証拠採用を求めた。
 
<規定>
刑訴法 第322条〔被告人の供述書面の証拠能力〕
被告人が作成した供述書又は被告人の供述を録取した書面で被告人の署名若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。但し、被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、その承認が自白でない場合においても、第三百十九条の規定に準じ、任意にされたものでない疑があると認めるときは、これを証拠とすることができない。
 
<判断>
起訴後の被告人の取調べを適法なものとして許容すべき事情はなく、供述調書に録取された供述が任意にされたものでない疑いがある
⇒その証拠能力を否定し、証拠調請求を却下
 
<解説>
●最高裁昭和36.11.21:
起訴後においては被告人の当事者たる地位にかんがみ、捜査官が当該公訴事実について被告人を取り調べることはなるべく避けなければならないが、これによって直ちにその取調を違法とし、その取調の上作成された供述調書の証拠能力を否定すべきではない
⇒第1回公判前に作成され、公判で被告人及び弁護人が証拠とすることに同意した供述調書を採用した原判決に違法はない。 

最高裁昭和53.9.4:
起訴後の取調べは被告人の当事者たる地位にかんがみてなるべく避けなければならないとしつつ、第1回公判期日前又は検察官の冒頭陳述前の取調べであり、その取調べによって公判手続の進行に支障を生じたとか被告人の防御権を侵害したとかの事実は認められない⇒取調べを適法とした。

最高裁昭和57.3.2:
36年決定は、起訴後においても、捜査官はその公訴を維持するために必要な取調べを行うことができることを認めたものであり、起訴後においては被告人の当事者たる地位にかんがみ、捜査官が当該公訴事実について被告人を取り調べることはなるべく避けなければならないことを判示してはいるが、それ以上に、起訴後作成された被告人の捜査官に対する供述調書の証拠能力を肯定するために必要とされる具体的要件を判示しているとは解されない
 
●その後の裁判例~
起訴後の取調べはすべて許されないというのではないが、これが許されるためには、
取調べを行う具体的な必要があること、
②取調べの前に被告人には刑訴法198条1項ただし書から導き出される義務(いわゆる取調受忍義務)がないことを告げ被告人がこれを理解した上で取調べに応じるなど、その防御権を侵害しなかったことなどの事情が必要。
②については、取調室に出頭した被告人と捜査官との間で確認するやりとりがなされ、その旨が供述調書の冒頭に記載される扱いが定着。
 
<判断>
最高裁決定を踏まえ、被告人の訴訟当事者としての地位と事案解明のために証拠を保全する必要との調和の観点から検討し、
①被告人が起訴後の取調べについて当初拒否的な態度をとっていた、
弁護人が取調べを許諾した事実がない
自白の任意性自体に疑いを生じさせる事情がある、
取調べの方法や時期に不当な点がある、
⑤起訴後の取調べが必要不可欠なものではなかった

以上を総合して起訴後の取調べは適法なものではなかったと判断。 

公判審理で被告人は公訴事実を否認していたが、判決は、被告人の供述調書以外の証拠によって被告人の関与を認定し、有罪を宣告
量刑理由で、「被告人は不自然な弁解をしている。しかし、証拠上、組織内における被告人の地位や報酬額など詳しい事情は不明である」と言及。」

判例時報2315

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「イノベーションとリスクテーキング」

私は、多くの心理学者が話す企業家精神についての大学のシンポジウムに参加したことがある。彼らのペーパーは他の全てで異なったが、全員が「企業家的パーソナリティ」について話し、それは「リスクテーキングの性質」によって特徴づけられるものであった。25年間でプロセスベースのイノベーションを世界規模の事業に組み込んだ著名な成功したイノベーターで企業家がコメントを求められた。彼は言った。「私はあなた方のペーパーに困惑している。私は、私自身を初めとして、誰よりも多くの成功したイノベーターと企業家を知る。私は「企業家的パーソナリティ」に出会ったことがない。私が知る成功者は全員、1つのこと、そしてそれのみを、共通に持つ。彼らは「リスクテーカー」ではない。彼らは取らなくてはならないリスクを定義し、それをできるだけ最小化しようとする。そうでなければ、我々の誰も成功しなかった。」

これは私自身の経験とも一致する。私もまた、多くの成功した企業家を知る。その誰もが「リスクテーキングの性質」を持っていない。実在の最も成功したイノベーターは精彩を欠いた人物であり、「リスク」を求めて突進するよりも、キャッシュフロー計画に時間を費やす。彼らは「リスクに集中」ではなく「機会に集中」する。

ソース:The Daily Drucker 6 March.

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2017年3月 4日 (土)

定年後再雇用者との期間の定めのない労働契約を締結した場合の労働条件の労契法20条違反(肯定)

東京地裁H28.5.13      
 
<事案>
Yを定年退職した後、Yとの間で期間の定めのある労働契約を締結し、嘱託社員として就労しているXらが、期間の定めのない労働契約を締結し、正社員として就労している従業員との間に賃金に関する不合理な労働条件の相違が存在し、労契法20条に違反すると主張正社員に適用される就業規則等の適用を受ける労働契約上の地位の確認を求めるとともに、本来支給されるべき賃金額と実際の支給額との差額の支払(主位的に労働契約に基づく賃金として、予備的に不法行為に基づく損害賠償金として)を求めた。 
 
<規定>
労働契約法 第20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない

有期契約労働者の労働条件が、期間の定めのあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合、当該労働条件の相違は不合理と認められるものであってはならない旨を規定。
 
<争点>
①労契法20条の「期間の定めるがあることにより」との文言に関連して本件に同条が適用されるか?
②同条が適用されるとした場合、本件における労働条件の相違が不合理と認められるものであるか?
③本件における労働条件の相違が同条に違反するとした場合、Xらの労働条件が正社員と同様のものになるのか? 
 
<判断>
●争点①について 
労契法20条の「期間の定めがあることにより」という文言は、有期契約労働者と無期契約労働者との間に労働条件の相違が期間の定めの有無に関連して生じたものであることを要するという趣旨であり、同条の適用範囲について、使用者が期間の定めの有無を理由として労働条件の相違を設けた場合に限定する趣旨ではない。
嘱託社員と正社員との間でどの地位の区別に基づく定型的な労働条件の相違があり、その相違が期間の定めの有無に関連して生じたものであることは明らか⇒労契法20条の適用を肯定。
 
●争点②について 
有期契約労働者の①職務の内容並びに②当該職務の内容及び配置の変更の範囲が無期契約労働者と同一であるにもかかわらず、労働者にとって重要な労働条件である賃金の額について、両者の間に相違を設けることは、その相違の程度にかかわらず、これを正当と解すべき特段の事情がない限り不合理であると評価される。
①本件の有期労働契約が、定年退職者との間で高年齢者雇用安定法に基づく高年齢者雇用確保措置として締結されたこと
②Yが労働組合の主張・意見を聞いて嘱託社員の労働条件の改善を実施したこと、
③Xらが労働条件に同意していたこと
は、いずれも労働条件の相違を正当と解すべき特段の事情には当たらない。
⇒本件における労働条件の相違は、労契法20条に違反。
 
●争点③について 
①嘱託社員の賃金に関する労働条件が労契法20条に違反し無効。
②Yの正社員就業規則が原則として全従業員に適用されるものとされ、嘱託社員にはその一部を適用しないことがあるとされているにとどまる。

嘱託社員の労働条件のうち無効となる部分には正社員就業規則の規定が適用されることになるとして、Xらによる地位確認及び差額賃金の各請求をいずれも認容
 
<解説>
●争点①について 
労契法20条は、非正規労働者と位置づけられる有期労働者の待遇改善を指向する規定で、正社員としての定年を迎えた後の再雇用者については、同条の典型的な対象者であるとはいい難い。
but
労働契約法の施行通達(平24・8・10基発0810第2号)は、同条が定年後再雇用者にも適用されることを前提に、定年後継続雇用の場合の不合理性の判断基準を示している
⇒行政解釈は、定年後再雇用者と正社員との間の労働条件の相違にも労契法20条が適用されるとの立場。
 
●争点②について 
これまで、労契法20条の不合理性の判断において、①職務の内容並びに②当該職務の内容及び配置の変更の範囲の点に違いがあることを前提に、その違いをどのような種類の労働条件にどの程度まで反映させることが許容されるかとう枠組みで議論。
前記施行通達も、定年後再雇用者と定年前の労働者との間の労働条件の相違について、定年の前後で右①②が変更されることが一般的であることを考慮すれば、特段の事情がない限り不合理とは認められないとしている。
本件は、①②が同一である場合にいかなる枠組みで不合理性を判断するのかという問題。
 
●争点③について
労契法20条に違反する労働条件の定めは、私法上も無効になるという解釈が一般的
前記通達は、更に進んで、無効とされた労働条件については、基本的に、無期契約労働者と同じ労働条件が認められるとの解釈を示しているが、
学説上は、労基法13条のような補充的(直律的)効力が規定されていない⇒労働契約、就業規則、労働契約の合理的補充解釈によるべきことになるとする見解が有力
本件は、就業規則の規定の解釈によって結論を導いており、学説有力説と同様の見解。

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「未来のためにマネジメントする」

未来を知るための出発点は2つの、相補的であるが異なるアプローチの存在についての認識である:

①経済と社会における不連続の出現とその完全なインパクトとの間のタイムラグの発見と活用(=既に生じた未来の予想)。
②まだ生まれていない未来に対する、来るべきものに方向と形を与えようとする新たなアイデアの適用(=未来の形成) 。

既に生じた未来は現在の事業の中にはない。外にあり、社会、知識、文化、産業あるいは経済構造における変化である。それは、さらに、大きなトレンドであり、パターンにおける変化というより、(パターンにおける)破壊・断絶である。既に生じた未来の探索とそのインパクトの予想は、観察者に新たな認知を伝える。必要なのは、自分自身がそれを見ることである。行われ得、行われるべきことが難しすぎるために発見できないということは、通常ない。機会は、遠くにもないし、不明瞭でもない。最初にパターンが認識されなくてはならない。

未来予測はあなたを面倒に巻き込むだけである。課題は、そこにあることをマネジメントし、起こり得、起こるべきことを創り出すために取り組むことである。

ソース:The Daily Drucker 5 March.

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2017年3月 3日 (金)

特許権侵害の主張で構成要件の充足性否定(事案)

東京地裁H28.1.28      
 
<事案>
「メニュエール病治療薬」とする特許権を有する原告が、被告らによる被告製品の製造販売が前記特許権の侵害に当たると主張
被告らに対し、
①特許法100条1項及び2項に基づく被告製品の製造等の差止め及び侵害の予防に必要な行為を
②民法709条及び特許法102条2項又は3項に基づき損害賠償金の一部及びこれに対する遅延損害金の連帯支払を
求めた。
 
<争点>
特許請求の範囲記載中「成人1日あたり0.15~0.75g/kg体重のイソソルビトールを経口投与されるように用いられる」という要件を被告製品が充足するか
②本件特許の無効事由の有無
③損害額
 
<判断>
争点①について、前記要件の充足性を否定し、原告の請求をいずれも棄却。
 
①イソソルビトールの投与量が成人1日あたり0.15~0.75g/kg体重の範囲未満または超過の用法があっても本件の発明の技術的範囲に含まれるのか否かにつき特許請求の範囲には記載されていない。
②明細書の発明の詳細な説明の欄の記載を見ると、本件の発明は従来のイソソルビトール製剤の投与量が過大であるために生じる種々の問題を前記範囲にまで投与量を削減することによって解消したというもの
⇒前記範囲を超える量のイソソルビトールを投与するように用いられる治療薬は、患者の特徴や病態の変化に応じて医師の判断により投与量が削減された場合に前記範囲で用いられ得るものであっても、本件の発明の技術的範囲に属しないと解すべき。
①の要件は、この用量を、患者の病態変化その他の個体の事情に着目した医師の判断による変動をしない段階、すなわち治療開始当初から、患者の個人差や病状の重篤度に関わりなく用いられることをいうものと解するのが相当

薬剤の用法用量は添付文書に記載され、医薬品の製造販売業者から提供されていることを義務付けられている⇒被告製品が本件の発明の技術的範囲に属するためには所定の用法用量が添付文書に記載されていること又は製造販売業者が提供する情報に含まれていることが必要
but被告製品はこうした要件を満たさない
 
<解説>
物の発明(特許法2条3項1号)は、原則として、当該物をその構造又は特性により特定することが求められる(最高裁H27.6.5)ところ、物を特定の用途に用いることが未知の特性となる場合に、その用途を特定することが行われる。
薬剤の発明においては、薬剤を構成する化合物は既知である一方、用法及び用量という用途が未知のものであるとして、これを特定することが行われている。
こうした用途は、物の使用方法であり、具体的には使用の主体(誰が使用するのか)及び態様(いつ、どこで、どのように使用するか)を明らかにすることによって特定。

判例時報2315

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「イノベーションでは大きなアイデアを強調する」

革新的な組織は、イノベーションはアイデアからスタートすることを理解する。アイデアは赤ん坊のようなものである・・・小さく生まれ、未発達で、形もない。それらは、達成ではなく見込みである。革新的な組織では、役員は「まぬけなアイデアだ」とは言わない。代りに、彼らは「この未発達の、不完全な、馬鹿げたアイデアを、意味があり、実行でき、我々にとっての機会とするには何が必要か?」と尋ねる。

しかし、革新的な組織はまた、ほとんどのアイデアは意味のないもので終わることを知る。革新的組織の役員は、それ故、アイデアのある人々に、アイデアを製品、プロセス、事業あるいは技術にするために必要な作業を考えることを求める。彼らは「会社にあなたのアイデアに取り組ませることができる前に、我々はいかなる作業をすべきか、何を発見し、学ばなくてはならないか?」を尋ねる。これらの役員は、小さなアイデアを成功する現実に転換することは、大きなイノベーションを起こすのと同じく困難でリスクがあることを知る。彼らは製品や技術における「改善」や「修正」を狙わない。彼らは、新たな事業を始めることを狙う。

ソース:The Daily Drucker 4 March.

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2017年3月 2日 (木)

「フランク三浦」事件

知財高裁H28.4.12      
 
<事案>
Yが無効審判請求⇒特許庁が、本件商標は商標法4条1項10号、11号、15号及び19号に該当する商標であるとして無効審決⇒Xが審決取消訴訟を提起。 
 
<規定>
商標法 第4条(商標登録を受けることができない商標)
次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。

十 他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

十一 当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務(第六条第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により指定した商品又は役務をいう。以下同じ。)又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

十五 他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第十号から前号までに掲げるものを除く。)

十九 他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)
 
<判断>
●本件商標は、 商標法4条1項10号、11号、15号及び19号のいずれにも該当しない旨判断し、審決を取り消した。
 
●商標法4条1項11号該当性
最高裁昭和43.2.27(しょうざん事件)を引用し、
Yの使用する「フランク ミュラー」ないしは「フランク・ミュラー」の文字から成る商標(Y使用商標1)と、これの語源となった「FRANCK MULLER」の文字から成る商標(Y仕様商標2)は、本件商標の商標登録出願時及び登録査定時においては、外国の高級ブランドとしてのYの商品を表示するものとして、我が国においても、需要者の間に広く認識され、周知となっていた。

本件商標と引用商標1の類否を検討し、両者は
呼称において類似するものの、
②その外観において明確に区別し得る
③本件商標からは、「フランク三浦」との名ないしは名称を用いる日本人ないしは日本と関係を有する人物との観念が生じるのに対し、Y仕様商標1と同一の更正である引用商標1からは、外国の高級ブランドであるYの商品の観念が生じる⇒両者は観念において大きく相違
本件商標及び引用商標1の指定商品において、もっぱら商標の呼称のみによって商標を識別し、商品の出所が判別される実情があることを認めるに足りる証拠はない

本件商標及び引用商標1が同一又は類似の商品に使用されたとしても、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるとはいえない

本件商標は引用商標1に類似するものということはできない。

●類似性を否定⇒商標法4条1項10号及び19号該当性も否定
 
●商標法4条1項15号該当性 
最高裁H12.7.11(レールデュタン事件)を引用し、
①Y仕様商標は、外国ブランドであるY商品を使用するものとして周知であり、
②本件商標の指定商品はYの商品と、その性質、用途、目的において関連し、本件商標の取引者及び需要者は共通する
but
③本件商標とY仕様商標とは、生じる呼称は類似するものの、外観及び観念が相違し、かつ
④本件商標の使用商品において、呼称のみによって商標を識別し、商品の出所を判別するものとはいえないものであって、
⑤かえって、・・・商品の外観を示す写真を掲載して宣伝広告⇒本件商標の指定商品のうちの「時計」については、商品の出所を識別するに当たり、商標の概観及び観念も重視される
⑥その余の指定商品についても、時計と性質、用途、目的において関連するものであるから、これと異なるものではない
⑦Yがその業務において日本人の姓又は日本の地名を用いた商標を使用している事実はない

本件商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準としても、本件商標を前記指定商品に使用したときに、
当該商品がY又はYと一定の緊密な営業上の関係若しくはYと同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信させるおそれがあるとはいえない


本件商標が「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」に該当するものとは認められない
 
<解説>
パロディ的商標を扱った各裁判例においては、当該商標がパロディに当たるかどうかを判断するのではなく、あくまで、当該事案において問題となった商標が商標法4条1項各号に該当するか否かという観点から判断。 

判例時報2315

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「企業の外の知識」

企業を変えた多くの変化はその産業の外で起こってきた。3つの傑出した例がある。ファスナーはもともと海港で穀物のような重い荷物の梱(こり)を閉めるために発明された。服に使うとは誰も考えなかった。衣類産業はそれがボタンに替わり得るとは考えなかった。発明者は、それが衣類産業で成功するとは夢にも思わなかった。

コマーシャルペーパー(ノンバンクの金融機関から起こった短期の手形)は銀行から起こったものではないが、彼らに大きな負のインパクトを与えた。米国法の下では、コマーシャルペーパーは証券と考えられ、商業銀行は扱うことができない。ゴールドマンサックス、メリルリンチ、GEキャピタル等の金融サービス会社はこれを発見したため、世界の最も重要で先導的な金融機関として、広く商業銀行にとってかわった。

電話産業を根本から変えた発明であるファイバーグラスケーブルは、米国や日本やドイツの偉大な電話研究所から起こったものではない。それは、ガラス会社である、コーニング社から起こった。

ソース:The Daily Drucker 3 March.

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2017年3月 1日 (水)

婚姻費用の算定事案

東京家裁H27.8.13      
 
<判断・解説>
●婚姻費用の支払の始期
XがYに内容証明郵便をもって婚姻費用の分担を求める意思を表明した平成26年1月とするのが相当。

◎解説
婚姻費用や養育費の支払の始期については、裁判所の合理的な裁量によって決定すべき問題。
実務上は、権利者が婚姻費用や養育費の分担請求をした時とすることが多く、通常は、調停や審判の申立てをした月
調停や審判の申立てをする前に婚姻費用や養育費の請求をしたことが内容証明郵便や電子メール等で明らかな場合⇒その請求をした月を始期とすることが多い。
 
●Xが居住する自宅の住宅ローンの支払について
Yによる住宅ローンの支払額の一部に相当する額を婚姻費用の分担額から控除するのが相当。
 
◎解説 
義務者が家を出て、権利者が居住する自宅の住宅ローンを支払っている場合、
①権利者は自らの住居関係費の負担を免れる一方、②義務者は自らの住居関係費とともに権利者世帯の住居関係費を二重に支払っていることになる。
⇒婚姻費用の算定に当たって、義務者が住宅ローンの支払をしていることを考慮する必要がある。
but
住宅ローンの支払には義務者の資産を形成するという側面がある
⇒支払額全額を控除することは、生活保持義務よりも資産形成を優先させる結果にもなり、相当ではない。

この場合の算定方法:
A:住宅ローンの支払額を特別経費として控除する方法
B:算定表による算定結果から一定額を控除する方法
本審決は、Bの考えに従っているが、住宅ローンの返済条件の変更に伴って、控除する額に変更を加えている。
 
●就学中の長男及び長女の取扱い及び学費の考慮 
既に成年に達している長男及び近い時期に成年に達する長女を未成熟しとして取り扱うのが相当と判断。
その学費等については、
①Yによる進学への承諾は長男及び長女が奨学金の貸与を受けることを前提としたものであったこと、
②長男及び長女が奨学金の貸与を受けており、長男及び長女の教育費にかかる学費等のうち、長男の火曜大学への学校納付金につちえは全て、また、長女の通う専門学校への学校納付金についても9割以上、各自の受け取る奨学金で賄うことができる
③算定表で既に長男及び長女の学校教育費としてそれぞれ33万3844円が考慮されている
④Yが、現在居住している住居の家賃の支払だけでなく、住宅ローンの債務も負担、
⑤長男及び長女がアルバイトをすることができない状況にあると認めるに足りる的確な資料がない
⑥当事者双方の収入や扶養すべき未成熟子の人数その他本件に顕れた一切の事情

長男及び長女の学費等を算定表の幅を超えて考慮するのが相当とまではいうことはできない。
 
◎解説 
未成熟子とは、経済的に自ら独立して自己の生活費を獲得すべき時期の前段階にあって、いまだ社会的に独立人として期待されていない年齢にある子女

子が成年に達していても、大学等に進学している場合には、未成熟子として取り扱うことが実務上少なくない

他方、その場合も、親の収入状況や親が扶養すべき家族の人数等によっては、子の奨学金やアルバイト収入等を考慮に入れないと、婚姻費用や養育費について適正な額を算定することが難しいこともある。
本審判が、長男及び長女の進学についてYの承諾がありながら(義務者が私立学校への進学を承諾している場合には、算定表による算定結果に私立学校の学費の不足分を加算することが多い。)、長男及び長女の奨学金や稼働状況、当事者双方の収入や扶養すべき未成熟子の数等を考慮し、学費などを算定表の幅を超えて考慮しないとしている。

判例時報2315

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「イノベーションのテスト」

イノベーションのテストはそれが価値を創造するかどうかである。イノベーションは顧客にとっての新たな価値と新たな満足の創造を意味する。新奇さは楽しみを創り出すにすぎない。しかし、マネジメントは、同じことを行い、同じ製品を作ることに飽きるというだけの理由から、何度も、革新を決定する。イノベーションのテストは「品質」のテストと同様、「我々はそれが好きか?」ではない。それは「顧客はそれを欲し、そのために支払うか?」である。

組織は、科学的あるいは技術的重要性ではなく、市場と顧客に貢献するものによって、イノベーションを測る。彼らは、社会的なイノベーションは、技術的イノベーションと同じく重要であると考える。割賦販売はこの世紀の偉大な科学的進歩のほとんどのものよりも、経済と市場に大きなインパクトを与えた。

ソース:The Daily Drucker 2 March.

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