« 労災認定で認められた高次脳機能障害が否定された事案 | トップページ | 標章の使用差止等請求の権利濫用(肯定)、不正競争防止法2条1項1号、2号の類似性 »

2017年2月11日 (土)

自動車事故工学鑑定の意見書(私的鑑定)の信用性を排斥した事案

松山地裁今治支部H28.2.9      
 
<事案>
Xが、自動車同士の交通事故により 頚椎捻挫、腰椎捻挫等の傷害を負った⇒Y車の運転者であるY1及びY車の保有者であるY2に対し、損害賠償の連帯支払を求めた事案。
 
<争点>
①事故態様及び過失割合
②事故によるXの受傷の有無、程度、入通院の必要性、症状固定時期、既往症
③損害 
 
<意見書等>
Y側(A意見書):
(ア)頚椎捻挫が頭部の生理的前屈限界に達しない頭頚部の可動では受傷が生じないこと(いわゆる無傷限界値の存在)、あるいは、日常生活や通常の自動車走行において体験する加速度程度では受傷が生じないことを前提として、本件事故から推測されるXの頭部の前屈度をこれと比較する手法、及び
(イ)Y車の損傷状況からY車の有効衝突速度を推定する手法の2つを根幹とした。 

X側:
自動車事故工学鑑定の意見書(B意見書)
東京三弁護士会交通事故処理委員会むち打ち症特別研究部会の論考(「むち打ち症に関する医学・工学鑑定の諸問題」)等
 
<判断>
本件事故の態様、本件事故前後のXの通院経過、医師の診断
Xが本件事故により頚椎捻挫及び腰椎捻挫の傷害を負ったことを推認させる事情

この推認を妨げる事情であるYらの自動車事故工学鑑定の意見書(A鑑定)について、その信用性を否定。
①B意見書及び東京三弁護士会論文等の指摘⇒前記(ア)の手法によってXの受傷を直ちに否定するのは相当ではない。
②(イ)の手法についても、本件事故の態様を踏まえ、車体の変形量から有効衝突速度を推定する手法に疑問。
③A意見書と異なる衝突速度を推定するB意見書が不合理であるともいえない。

Xは本件事故により頚椎捻挫及び腰椎捻挫の傷害を負った
 
<解説>
主として物損事故の態様が争われる場合の自動車事故工学鑑定の意見書については、近時の裁判実務でも、その採否について慎重な意見。 

判例時報2313

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

 

|

« 労災認定で認められた高次脳機能障害が否定された事案 | トップページ | 標章の使用差止等請求の権利濫用(肯定)、不正競争防止法2条1項1号、2号の類似性 »

判例」カテゴリの記事

民事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/132655/64880531

この記事へのトラックバック一覧です: 自動車事故工学鑑定の意見書(私的鑑定)の信用性を排斥した事案:

« 労災認定で認められた高次脳機能障害が否定された事案 | トップページ | 標章の使用差止等請求の権利濫用(肯定)、不正競争防止法2条1項1号、2号の類似性 »