« 「会社の正当性」 | トップページ | 「会社のガバナンス」 »

2017年2月23日 (木)

検察官が刑事被告人の勾留先を捜索して弁護人との手紙等を押収したことは違法。裁判官による捜索差押許可状発付の違法性は否定。

大阪高裁H28.4.22      
 
<事案>
強盗、窃盗等の刑事事件で大阪拘置所に勾留されていたX1が、検察官が、罪証隠滅工作を行うおそれが高いとして、捜索差押許可状の発付を受けてX1の勾留先を捜索し弁護人であるX2との手紙等を押収

本件捜索差押許可状の請求及び執行をした検察官に故意または過失があったとして、X1は秘密交通権、秘匿権、防御権を侵害するとし、X2は弁護権を侵害するとして、Yに対し損害賠償を請求。 
 
<規定>
刑訴法 第218条〔令状による差押え・捜索・記録命令付捜索・検証・身体検査、通信回線接続記録の複写等〕
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。
 
<一審>
令状発付裁判官の捜索差押許可状の発付は違法性が認められないが、検察官の捜索差押許可状の請求及び執行等は違法
⇒Yに対し、それぞれ55万円の支払を求める限度で認容。 
 
<判断>
一審判決は相当。 
 
<解説>
争訟の裁判と国賠責任について
最高裁昭和57.3.12は、
裁判官に違法な行為があったものとして国の損害賠償責任が肯定されるためには、裁判官が違法または不当な目的をもって裁判をしたなど、裁判官が付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認められるような特別の事情があることを必要とする。

本判決:
①裁判官が裁判を行うに当たっては、事実認定が、証拠を自由に取捨選択し、多様な経験則を適用することによって行われる、自由な心証に基づく純粋思惟作用であり、その判断は裁判官により異なり得る
法令の適用解釈についても、客観的な基準によって唯一絶対のものではなく、その判断は裁判官により異なり得る
③裁判官は、良心に従い独立して職権を行うものであり(憲法76条3項)、裁判官の独立を確保するためには、間接的であれ、その職権行使に影響を与えることは、できるだけ排除されなければならないとの要請が働く
④このことは、争訟の裁判と捜索差押許可状等の令状発付についての裁判とで異なることはない

令状発付の場面において、昭和57年最判がいう「裁判官が付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認められるような特別の事情」とは、裁判官が、与えられた裁量を著しく逸脱し、法が裁判官の職務の遂行上遵守すべきことを要求している基準に著しく違反する裁判をした場合を指すものと解すべきである。
すなわち、通常の裁判官が当時の資料、状況の下で合理的に判断すれば、到底捜索差押許可状を発付しなかったであろうと認められるのに、これを発付したような場合がこれに該当し、このような場合には、当該令状発付が国賠法上も違法と判断されるものと解するのが相当である。

判例時報2315

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

|

« 「会社の正当性」 | トップページ | 「会社のガバナンス」 »

判例」カテゴリの記事

民事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/132655/64931507

この記事へのトラックバック一覧です: 検察官が刑事被告人の勾留先を捜索して弁護人との手紙等を押収したことは違法。裁判官による捜索差押許可状発付の違法性は否定。:

« 「会社の正当性」 | トップページ | 「会社のガバナンス」 »