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2017年2月 9日 (木)

銀行の誤送金による債務不履行と(それによる建玉喪失との間の)相当因果関係(肯定)

東京地裁H28.1.26      
 
<事案>
Xは、A証券会社との間で、株式の信用取引を行っていた。
Yは銀行。

Yは、誤って本件指定口座とは口座番号の異なる別の口座に振込通知をし、同日中に本件指定口座への270万円の送金手続を行わなかった。

A証券は、同月31日、前日までにXが本件追証相当額を本件指定口座に入金しなかった⇒本件建玉を強制決済⇒XはYに対し、本件債務不履行に基づく損害賠償として、957万7300円及び遅延損害金の支払を求めた。 
 
<規定>
民法 第416条(損害賠償の範囲)
債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
 
<判断>
●相当因果関係の有無 
XがYの従業員らに対し、送金の目的が追加証拠金を送金することにあり、当日中に入金ができない場合には強制決済がされる旨を説明し、Yの従業員が当日中の送金が可能である旨を述べた

Xの送金依頼の目的が証券会社に指定口座に入金を目的としたものであり、当日中に入金されない場合には強制決済がされるという民法416条2項の特別事情のYが認識し、又は少なくとも認識することができた

本件債務不履行と本件建玉の喪失との間の相当因果関係を肯定。

●本件債務不履行により原告に生じた損害額の認定
株式の信用取引における建玉が財産的な価値を有するところ、その損害としての金銭の評価について、本件強制決済がなかった場合にXがいかなる時期まで本件建玉を保有していたかが判断における要素となる。

株式の信用取引における投資家の判断の一定の不確実性をもってする個々人の判断
Xが決済したであろう時期を立証することが民訴法248条の定める「損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるとき」に当たる

口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づいて、①Xの強制決済回避の意図や ②本件建玉の保有期間及び③保有期間内に各建玉が現実に持ち直したことなどを認定。

本件強制決済によって確定した損失に想到する金額を本件強制決済によって生じた損害と認定し、Xの請求を812万2943円の限度で一部認容。

判例時報2313

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