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2017年2月27日 (月)

老人性痴呆患者の長期ケアを目的とする精神病院での転倒事故に当たっての医師の責任

さいたま地裁H28.1.28      
 
<事案>
平成23年2月17日午後3時45分頃老人性痴呆患者の長期ケアを目的とする精神病院でAが転倒⇒Z医師が現場で視・聴診したところ、Aは左側頭部の痛みを訴えたが意識障害がなかったことから経過観察⇒午後5時20分頃意識レベルが低下し、呼吸状態が悪化⇒午後6時過ぎ救急車手配しE病院に搬送⇒頭部CTにより左硬膜下血腫、切迫脳ヘルニア状態であることが確認⇒回頭血腫除去術、外減圧術を行った結果一命は取り留めたが意識回復に至らず、平成24年8月、転院先のF病院で肺炎により死亡。
 
患者Aの遺族(妻及び長男、次男)のうち、原告妻X1と原告次男X2は、亡AはD病院の担当医師らの過失によって損害を受け、Aの死亡により原告らがその損害賠償請求権を法定分に従い相続⇒D病院の設置運営者である被告Yに対して、原告X1に対して1531万円余、原告X2に対して765万円余及び年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。

過失内容:
亡Aは転倒後、頭が痛いと訴えたのであり、被告病院のスタッフは、転倒の状況を見ておらずその危険性を判断することができなかった⇒被告病院の担当医師は、転倒の時点で直ちにCT、MRIによる客観的な検査をするよう対処すべきであったが、それを怠り転倒から二時間以上経過した午後6時4分に至ってようやく転送のための対処をした点に注意義務違反がある。
 
<判断>
原告が提出した文献に基づき「急性硬膜外血腫と急性硬膜下血腫」の違いについての、調査嘱託の結果によって「頭部の外傷時のCT検査について」ついての検討結果(見解)を示した上で、
①亡Aは、本件転倒時に、意識レベルの低下がなく、痛みを自ら訴えるなどしている⇒意識障害は見られなかった
患部に発赤や腫脹はない⇒頭蓋骨骨折が疑われる状況にあったということはできないし、現に頭蓋骨骨折は認められない
③本件転倒直後には顔色不良等の症状があったが間もなく回復し、嘔気もなかった⇒特にCT検査の適用となるような症状があったことも窺えない
④これらの症状は、同に血午後5時20分まで変化がなかった。

本件転倒により頭部を打撲したことが疑われるとしても、被告病院の担当医師に、本件転倒直後直ちにCT検査やMRI検査をすべき義務があったということはできない
⇒請求棄却。
 
<解説>
本件の患者は過去に交通外傷により脳j挫傷・水頭症手術・頭蓋骨半分のセラミック置換術を受けた既往があり、その30年後に歩行中転倒して再び頭部を打撲して硬膜下血腫との診断のもとに大学病院で水頭症手術を受けた認知症患者で、その患者が医療施設(病院)の機能回復訓練を行う場合で三度目の店頭によって頭部打撲。

議論の確信は、このような経歴を有する患者が、病院が医療として実施する機能回復(リハビリ)訓練の場所ないしは訓練中に転倒・頭部外傷を負った場合に、これを診断した病院の医師は、何をすべきか(あるいはさらに遡って転倒のおそれの)ある機能回復訓練を行うことの適否

転倒による頭部打撲(外傷)が起きた場合の一般論で、注意義務違反・責任の有無を論ずるのはいささか早計
E病院の転送が遅すぎたのではないなかとの問題。

判例時報2315

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
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