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2017年2月16日 (木)

プロ野球観戦中の観客にファウルボールが当たった事故と試合を主催した会社の安全配慮義務違反(肯定)

札幌高裁H28.5.20      
 
<事案>
Xが札幌ドームjにおいて、平成22年8月21日に行われたプロ野球の試合を観戦中、打者の打ったファウルボールがXの顔面に直撃して右眼球破裂等の傷害を負った⇒本件ドームには通常有すべき安全性を備えていなかった瑕疵があった、観客をファウルボールから保護するための安全設備の設置及び安全対策を怠ったなどと主張し、本件試合を主宰していたY1、本件ドームを管理していたY2、本件ドームを所有していたY3らに対し、不法行為又は国賠法に基づき、損害賠償を請求。 
 
<判断>
本件ドームの一塁側内野席には高さ約2.9メートルのフェンスが設置されていた⇒通常の観客を前提とした場合に、観客の安全性を確保するための相応の合理性を有しており、社会通念上プロ野球の球場が通常有すべき安全性を欠いていたとはいえない。 

本件試合を主宰していたY1としては、野球を観戦する者に対し、ファウルボールが観客席に飛来する危険があること、危険性が高い席と低い席があること等を具体的に告知して席を選択する機会を保障するなど安全対策を講じるべき義務を負っていたと解するのが相当であるところ、Y1は右のような安全配慮義務を十分に尽くしていたとは認められない
⇒Y1の損害賠償責任を肯定。

Xにも打球の行方を見ていなかった過失があった⇒2割の過失相殺を認めた。
Y1に対する損害賠償請求を3357万円とし、Y2とY3に対する本訴請求を棄却。
 
<解説>
民法717条1項に言う工作物の「瑕疵」とは、工作物が通常有すべき安全性に関する性状又は設備を欠くことを言うと解するのが、通説・判例。 

最高裁昭和50.2.25が「安全配慮義務」の不履行が損害賠償責任の根拠となることを判断してい以来、この理論は定着し、雇用契約、請負契約、交通事故、医療事故などにその適用範囲が広がっているが、プロ野球観戦中の観客に対する安全配慮義務が問題となったのは本件が初めて。

判例時報2314

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
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