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2017年2月12日 (日)

事業報告・監査報告の欠缺⇒株主総会決議取消し(肯定)

東京地裁H27.10.28      
 
<事案>
Yの株主であるXが、Yの平成25年6月19日に開催された定時株主総会においてされた各決議について、本件各決議を行った本件株主総会について招集手続の法令違反、決議の方法の法令若しくは定款違反又は著しい不公正が認められると主張⇒会社法831条1項1号に基づき取消しを求めた。 
 
<規定>
会社法 第831条(株主総会等の決議の取消しの訴え)
次の各号に掲げる場合には、株主等(当該各号の株主総会等が創立総会又は種類創立総会である場合にあっては、株主等、設立時株主、設立時取締役又は設立時監査役)は、株主総会等の決議の日から三箇月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができる。当該決議の取消しにより取締役、監査役又は清算人(当該決議が株主総会又は種類株主総会の決議である場合にあっては第三百四十六条第一項(第四百七十九条第四項において準用する場合を含む。)の規定により取締役、監査役又は清算人としての権利義務を有する者を含み、当該決議が創立総会又は種類創立総会の決議である場合にあっては設立時取締役又は設立時監査役を含む。)となる者も、同様とする。
一 株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき
・・・・
2 前項の訴えの提起があった場合において、株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令又は定款に違反するときであっても、裁判所は、その違反する事実が重大でなく、かつ、決議に影響を及ぼさないものであると認めるときは、同項の規定による請求を棄却することができる
 
<判断>
法定備置書類の本店への備置き(会社法442条1項1号)や株主によるその閲覧、謄本の交付(同条3項)は、株主の株主総会招集手続の一環であり、その懈怠は原則として決議取消原因に当たる。

本件株主総会への準備を目的とした定時株主総会の招集通知に際して提供されるべき事業報告が欠けていたことは(他方、計算書類の一部である個別注記が欠けていた点については、事後的に株主に送付されたことをもって追完を認めた。)、また、計算書類の附属明細書の閲覧、謄本の交付要求が拒絶され、法定備置書類の備置きの不備があったことについて、本件株主総会の招集手続における瑕疵に当たる

決算に関する監査報告書の記載は、株主が決算を承認するか否かを判断するに当たって重要な参考資料となるところ、第35期の決算に関して作成された監査報告書には、現在の会社の対応では監査不能である旨が記載されているのみであり、実質的には監査報告の提供があったとは言い難い

⇒第35期の計算書類の承認に関する株主の実質的な準備は不能であったというべきであり、本件株主総会の招集手続における瑕疵は重大
⇒本件決議は取り消されるべき。
 
<解説>
本判決は、株主総会の招集に際する株主への事業報告及び監査報告の提供並びに事業報告及び監査報告書の本店への備置きに関する不備を理由として、株主総会決議が取り消された事案。 

計算書類等の備置き定時株主総会の招集手続の一環とみて、その違反は決議取消原因に当たると解するのが多数説。

判例時報2313

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