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2017年2月10日 (金)

アメリカ合衆国イリノイ州の裁判所の養育費についての判決の日本での執行判決(肯定)

東京地裁H28.1.29      
 
<事案>
Xが離婚した元の夫であるYに対し、アメリカ合衆国イリノイ州の裁判所からXとYとの間の子であるAの養育費の支払を命ずる確定判決を得た
民執法24条に基づき、本件外国判決についての執行判決を求める事案。 
 
<規定>
民執法 第24条(外国裁判所の判決の執行判決)
外国裁判所の判決についての執行判決を求める訴えは、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄し、この普通裁判籍がないときは、請求の目的又は差し押さえることができる債務者の財産の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
2 執行判決は、裁判の当否を調査しないでしなければならない
3 第一項の訴えは、外国裁判所の判決が、確定したことが証明されないとき、又は民事訴訟法第百十八条各号に掲げる要件を具備しないときは、却下しなければならない。
4 執行判決においては、外国裁判所の判決による強制執行を許す旨を宣言しなければならない。

民訴法 第118条(外国裁判所の確定判決の効力)
外国裁判所の確定判決は、次に掲げる要件のすべてを具備する場合に限り、その効力を有する
一 法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること。
二 敗訴の被告が訴訟の開始に必要な呼出し若しくは命令の送達(公示送達その他これに類する送達を除く。)を受けたこと又はこれを受けなかったが応訴したこと。
三 判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと。
四 相互の保証があること。
 
<判断>
本件外国判決は、Yが納税申告書を提出しないために、Yの収入に関し、Yが一切納税をしていないとの不利益な事実推定をした上で養育費を算定

制裁や抑止の目的で実際負担すべき養育費より多額の支払を命じたものではない。 

①外国判決の当否は調査の対象とはならない(民執法24条2項)
②本件外国判決が定める養育費の負担の内容は、日本の法律の定める内容と大きく隔たっているということはできない

XとY及びAがいずれも日本国籍を有し、かつ、常居所地を現在日本に置いているだけでは、養育費の支払いを認める外国判決が特別の事情がない限り日本のおける公の秩序に反するとはいえない
⇒本件外国判決の内容が「日本における公の秩序」に反しない
 
<解説>
いわゆる懲罰的損害賠償の制度については、外国判決のうち、補償的な損害賠償等に加えて、見せしめと制裁のために懲罰的損害賠償として金員の支払を命じた部分については、我が国の公序に反するから、その効力を有しない(最高裁H9.7.11)。 

支払を命ぜられる養育費の額だけでは、その内容が日本における公の秩序に反しないとする判断がされるのが一般

判例時報2313

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