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2017年1月15日 (日)

花押を書くことが民法968条1項の押印となるか(否定)

最高裁H28.6.3         
 
<事案>
X及びYらは、いずれも亡Aの子
Xは、Aが所有していた土地について、主位的Aから遺贈を受けた予備的Aとの間で死因贈与契約を締結したと主張して、Yらに対し、所有権に基づき、所有権移転登記手続を求めるなどした事案。; 
Aが作成した本件遺言書には、印章による押印がなく、いわゆる花押が書かれていた⇒花押を書くことが民法968条1項の押印の要件を満たすかが問題。
 
<規定>
民法 第968条(自筆証書遺言)
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない
2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
 
<判断>
花押を書くことは、印章による押印と同視することはできず、民法968条1項の押印の要件を満たさない
⇒原判決中Xの請求に関する部分を破棄し、Xの予備的主張(死因贈与契約)について更に審理を尽くさせるため、原審に差し戻し。 
 
<解説>
遺言について厳格な方式を要求

遺言者の真意を確保するため。
②遺言者の死後に遺言者の真意を直接確認することはできない⇒遺言者の真意に基づいて遺言がされたことを判断するのに適した方式を定めて置き、これを満たすもののみが遺言として効力を有するとした。 

最高裁H1.2.16:
自書のほか押印を要求する趣旨について、「遺言の全文等の自書とあいまって遺言者の同一性及び真意を確保するとともに、重要な文書については作成者が署名した上その名下に押印することによって文書の作成を完結させるという我が国の慣行ないし法意識に照らして文書の完成を担保することにあると解される」

その趣旨に照らして、自筆遺言証書における押印は指印をもって足りる旨を判示。

本判決:
我が国において、印章による押印に代えて花押を書くことによって文書を完成させるという慣行ないし法意識が存在するものとは認めがたい
⇒花押を書くことは、民法968条1項の押印の要件を満たさない。

最高裁昭和49.12.24:
英文の自筆遺言証書に遺言者の署名が存するが押印を欠く場合において、同人が遺言書作成の約1年9か月前に日本に帰化した白系ロシア人であり、約40年間日本医居住していたが、主としてロシア語又は英語を使用し、日本語はかたことを話すにすぎず、交際相手は少数の日本人を除いて、ヨーロッパ人に限られ、日常の生活もまたヨーロッパの様式に従い、印章を使用するのは官庁に提出する書類等特に先方から押印を要求されるものに限られていた等原判示の事情があるときは、右遺言書は有効と解すべきである。

判例時報2311

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