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2017年1月 5日 (木)

政務調査研究費と住民訴訟

東京地裁H28.3.11      
 
<事案>
東京都千代田区が同区議会政務調査研究費の交付に関する条例に基づき同区議会の各会派に交付した政務調査研究費について、被告補助参加人である会派A及び同C並びに会派Bの各使徒の一部は違法なものであり、本件各会派は違法な本件各支出相当額を悪意で不当に利得している、同区長(Y)はその返還請求を怠っている⇒同区の住民であるXが、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、Yに対し、当該不当利得の返還及びこれに対する政務調査研究費決算報告書の提出期限の翌日である平成24年4月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による法定利息の支払をA及びCに対しそれぞれ請求するよう求めた住民訴訟。

①当初、被告を同区議会議長として提起⇒被告適格を有さないとして却下⇒控訴審で被告をYに変更することの許可の申立て(行政事件訴訟法15条1項)⇒本件裁判所に移送された当該変更後の訴え。
②会派Cは、同会は所属議員の議員としての任期が口頭弁論終結日以前において満了⇒会派として解散⇒清算の目的の範囲内において、なお存続しているとみなされる(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律207条類推)
 
<争点>
Yが本件各会派に対する本件各支出相当額の不当利得返還請求をしないことが違法に財産の管理を怠る事実に該当するか?
 
<判断>
千代田区議会政務調査研究費の交付に関する条例施行規則に定めるその使途内容及び使途禁止事項を内容とする使途基準(「本件使途基準」)に適合しない使途にに充てるために支出された使途範囲外支出相当額に係る範囲で、Xの請求を一部認容 

本件使途基準のうち、使途禁止事項とされている経費に係る支出⇒直ちに使途範囲外支出に当たる。
経費の支出のの対象となる行為が、その客観的な目的や性質に照らして①議員の議会活動の基礎となる調査研究活動との間に合理的関連性を欠く場合や、②当該行為に係る経費の支出の必要性に関する当該議員の判断が合理性を欠く場合などには、使途範囲外支出に当たる
その際、本件使途基準の適正執行のために同区議会運営委員会が定めた「使途基準注意事項・指摘事項等」は、前記の合理的関連性の有無や必要性の有無の判断の指針として参照すべき。
「悪意の受益者」であることも肯定。
 
<解説>
政務調査費:
地方議会の審議能力を強化し、議員の調査活動基盤の充実を図るため、その調査研究に係る必要な経費の一部を助成するために条例の定めるところに交付される金銭
平成12年の地方自治法の改正において地方自治法上に制度化されたもの。
その後、全国都道府県議会議長会等からその使途範囲の拡大の要望⇒平成24年の地方自治法の改正において、交付目的に「その他の活動」の文言が加えられ、その名称も「政務活動費」に改められた。
同時に、政務活動費を充てることができる経費の範囲も条例で定めなければならないこと、及び、議長は政務活動費の使途の透明性の確保に努めるものとすること(改正後の法100条16項)が新たに明定され、使途の適正性を確保するためにその透明性を高めることが意図されている。
以上の経緯⇒議会内部において、任意に定めた自主的な申し合わせである本件注意事項は、それが地方自治法の趣旨等に合致しない不合理なものと認められない限り、本件使途基準の解釈の指針として参照されうる

判例時報2310

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