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2017年1月 4日 (水)

信託契約の受託者が所有する複数の不動産の固定資産税に係る滞納処分としてされた、信託財産である土地とその上にある固有財産である家屋に係る賃料債権の差押え(適法)

最高裁H28.3.29      
 
<規定> 
(信託財産に属する財産に対する強制執行等の制限等)
第二十三条  信託財産責任負担債務に係る債権(信託財産に属する財産について生じた権利を含む。次項において同じ。)に基づく場合を除き信託財産に属する財産に対しては、強制執行、仮差押え、仮処分若しくは担保権の実行若しくは競売(担保権の実行としてのものを除く。以下同じ。)又は国税滞納処分(その例による処分を含む。以下同じ。)をすることができない。 
 
<争点>
本件処分においては、信託財産である本件土地に係る固定資産税とX1会社所有名義の本件土地以外の不動産に係る固定資産税を区別せず、その全体を差押えに係る地方税として、信託財産である本件土地の賃料相当額部分を含む本件賃料債権全体に対する差押えが行われた
⇒旧信託法16条1項(新信託法23条1項相当)との関係でその適法性が争われた。 
 
<判断>
信託契約の受託者が所有する複数の不動産の固定資産税に係る滞納処分としてされた、同各不動産のうちの信託財産である土地とその上にかる固有財産である家屋に係る賃料債権の差押えは、滞納に係る同固定資産税等のうち信託財産である同土地以外の不動産の固定資産税相当額部分に基づき、同賃料債権のうち同土地の賃料相当額を差し押さえる点において旧信託法16条1項との関係で問題があるものの、その問題となる部分は右の限度にとどまり、差押えを全体として違法とするような特段の事情もうかがわれないなど判示の事情の下においては、適法である。

原判決を破棄し、控訴を棄却。 
 
<解説>
●本件賃料債権及び本件固定資産税について、信託財産に架kる部分と固有財産に係る部分を識別し得るとすると、実体的に見るならば、本件処分については、本件滞納固定資産税等のうち本件土地以外の不動産の固定資産税相当額に係る部分に基づき、本件賃料債権のうち本件土地の賃料相当額部分を差し押さえることとなる点において旧信託法16条1項との関係で問題。
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本件滞納固定資産税等のうち本件土地の固定資産税に係る部分に基づき、本件賃料債権を差し押さえることや、本件滞納固定資産税等に基づき、本件賃料債権のうち本件家屋の賃料相当額部分を差し押さえることは、同項に反するものではない。

●どの段階で、右の実体的関係を反映させるための調整を行うべきか?
A:差押えの段階で調整する必要はない
B:実体的な観点から調整の余地がある以上、差押えの段階で対応すべき

最高裁昭和43.7.16:
滞納者の所有財産(宅地)に対する滞納処分が、その滞納者の滞納税金のみならず、誤って他の者の滞納税金をも徴収するために行われた場合には、同所分の瑕疵は、他の滞納者の滞納税金に対するものとしてなされた部分についてのみ存し、その滞納処分全体を違法ならしめるものではない。

●本件賃料債権を信託財産部分と固有財産部分に識別した上、信託財産部分を本件土地に係る滞納固定資産税に充当した結果、同滞納固定資産税が全て徴収された場合には、本件賃料債権のうち信託財産部分について取り立てた金員があれば、これをX1会社に交付すべきこととなり、X1会社からは不当利得の返還請求をすることが可能。 

●本件賃料債権中消費税相当額部分についても差押えの対象となし得るか?
について、本判決は肯定。

そもそも消費税の納税義務者は消費者ではなく事業者であり(消費税法5条1項)、消費税相当額の実質的な出損をしたのが消費者(訴外会社)であったとしてもこの点は同様であり、消費者の負担する消費税相当額は、消費者からの預り金ではなく、事業者と消費者の間の商品・役務の対価の一部であるべきものと解される。
消費税相当額を差し押さえたことに何ら違法はない

判例時報2310

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
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