« 「知識労働の自律」 | トップページ | 司法書士が締結した和解契約が弁護士法72条により無効とされる場合の、依頼者の無効主張と信義則違反(否定) »

2017年1月 7日 (土)

①身の回りの世話をしてきた近隣在住の知人と②成年後見人であった四親等の親族を特別縁故者として認めた事例

大阪高裁H28.3.2      
 
<事案>
平成25年9月に、1億2572万円余の銀行預金等を遺して死亡したAについて、X1及びX2が、特別縁故者としての財産分与を申し立てた事件。 
 
<規定>
民法 第958条の3(特別縁故者に対する相続財産の分与)
前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
 
<原審>
①身の回りの世話をしてきたにとどまる親族でないX1
②報酬を得て成年後見の職務を行ってきたX2
の特別縁故者性を否定⇒各申立てを却下。 
 
<判断>
特別縁故者性を判断する一般的基準として
「相続財産の全部又は一部を・・・分与することが被相続人の意思に合致するとみられる程度に被相続人と密接な関係があったと評価」することができるかどうかを挙げた。

X1について:
①平成12年以降平成25年までの身の回りの世話、②精神科受診への付添い、③B弁護士への相談、X2との連絡等の成年後見申立てに向けた支援への取り組み、④Aが遺贈しようと考えて書面を作成した事実。
⇒特別縁故者性を肯定。

アルバイト料支払の事実は、金額的、時期的に限られており、特別縁故者と認めることの妨げにならない。

X2について:
①親戚づきあいに加えて相談に親身にのるなどのつきあいをしていたこと、②X1と共に、成年後見申立てに向けた支援へ取り組んだこと、③Aが遺贈しようと考えて前記のような経緯で書面を作成した事実
⇒特別縁故者性を肯定。

後見人としての正当な額の報酬があっても、前記各事情とりわけAがその財産をX2に遺贈する意思を有していたと認められることからすれば、特別縁故者と認めることの妨げにならない
 
<解説>
本件は、
①被相続人の死亡まで10年以上継続的に身の回りの世話をし、成年後見申立てのきっかけを作ったのが、被相続人の親族又は生計同一者ではない近隣の知人であり、
②成年後見人として就任したのは親族だが、四親等の関係であって、相当額の後見報酬を受け取っていた
という、特別縁故者性が問われた従来の事案にはあまりない事案。 

従来の裁判例では、「被相続人の療養看護に務めた者」(民法958条の3第1項)かどうかについて、生計同一者と重複して判定されることが多く、生計同一者でない者が療養看護者として特別縁故者と認められる例は比較的少なかった
成年後見については、被相続人に対する生前の関わりが成年後見人としての職務の範囲を超える程度であると認め、特別縁故者性を認めたものがあったが、同裁判例については、成年後見人が無報酬であった等、財産分与を認める方向に考慮される事情があったことが指摘されていた。
本件では、Aが作成した文書の存在から、AがX1、X2に遺贈する意思を有していたという事情を認めたことの意味が大きい
従来の裁判例においても、生計同一者又は療養看護者以外の者の特別縁故者性が認められる例として、被相続人作成の遺言書が方式違背で無効であるなど、被相続人が有効な遺言をすれば遺贈したであろう意思が認められる場合があげられている。
また、本決定は、X2が成年後見人就任前からAと単なる親戚関係を超えた関係があったことを原審に追加して事実認定。

判例時報2310

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

 

|

« 「知識労働の自律」 | トップページ | 司法書士が締結した和解契約が弁護士法72条により無効とされる場合の、依頼者の無効主張と信義則違反(否定) »

判例」カテゴリの記事

家事事件」カテゴリの記事

民事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/132655/64733303

この記事へのトラックバック一覧です: ①身の回りの世話をしてきた近隣在住の知人と②成年後見人であった四親等の親族を特別縁故者として認めた事例:

« 「知識労働の自律」 | トップページ | 司法書士が締結した和解契約が弁護士法72条により無効とされる場合の、依頼者の無効主張と信義則違反(否定) »