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2017年1月19日 (木)

失職による養育費減額の要件

東京高裁H28.1.19      
 
<事案>
抗告人は、平成26年に自らの収入減少、相手方の収入増加を理由として未成年者らの養育費を減額することを求める家事調停⇒平成27年に不成立⇒審判に移行。 
抗告人は、前記家事調停係属中の段階で失職し、就職活動をして雇用保険を受給していたが、原審判がされた平成27年時点でも就職できていなかった。
 
<原審>
①抗告人の収入減、相手方の収入増により、前件合意を変更するのを相当とする事情の変更があったことを認めた上で
②平成27年に失職した抗告人につき、失職して間もなく、賃金センサスの産業計・男・学歴計・50~54歳による年収額約678万円に鑑みても、少なくとも平成25年の給与収入である約605万円程度の給与を得る稼働能力があると認められる

未成年者らの養育費を抗告人が失職した月から1人当たり月額4万円に減額するのが相当。

和解条項をその旨に変更。 
 
<判断>
養育費は、当事者が現に得ている実収入に基づき算定するのが原則であり、
義務者が無職であったり、低額の収入しか得ていないときは、就労が制限される客観的、合理的事情がないのに単に労働意欲を欠いているなどの主観的な事情によって本来の稼働能力を発揮しておらず、そのことが養育費の分担における権利者との関係で公平に反すると評価される場合に初めて、義務者が本来の稼働能力(潜在的稼働能力)を発揮したとしたら得られるであろう収入を諸般の事情から推認し、これを養育費算定の基礎とすることが許される。 

抗告人は、前職後、就職活動をして雇用保険を受給しているが、原審判がされた時点では未だ就職できていなかったことが認められるところ、その状態が、抗告人の主観的な事情によって本来の稼働能力を発揮していないものであり、相手方との養育費分担との関係で公平に反すると評価されるものかどうか、また、仮にそのように評価されるものである場合において、抗告人の潜在的稼働能力に基づく収入はいつから、いくらと推認するのが相当であるかは、抗告人の退職理由、退職直前の収入、就職活動の具体的内容とその結果、求人状況、抗告人の職歴等の諸事情を審理した上でなければ判断できないというべき。

原審は、こうした点について十分に審理しているとはいえない。

原審決を取り消して差し戻した。

判例時報2311

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