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2017年1月20日 (金)

寄与分が否定された事例

札幌高裁H27.7.28      
 
<事案>
相続開始時における遺産総額の約3割の3100万円を寄与分として認めた原判決を取り消して、寄与分の申立てを却下し、具体的相続分を算定し、遺産分割をした事案。

被相続人DにA・B・Cの子がおり、法定相続分は3分の1ずつ。
Bが被相続人の遺産の4割の事業貢献等の寄与分を主張。
 
<規定>
民法 第904条の2(寄与分)
共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。
 
<原審>
①BはDの指示で勤務中の会社を退職し、平成元年からDの経営する簡易郵便局での勤務を開始して、Dの事業に労務の提供をし、その後平成11年頃からはBが同郵便局の事業を事実上取り仕切る立場にあり、Bが正式経営している平成23年度の売上金額が994万円余りであったこと
②その他B夫婦がDから受領していた給与の額
③BがDの郵便事業に関与していた期間等

Bの特別の寄与額は相続開始時の遺産総額1億366万円余の約3割に当たる3100万円と認めるのが相当。 

<判断>
①平成18年までの郵便局の事業主体はDであった
給与水準は従事する事業の内容、企業の形態、規模、労働者の経験、地位等の諸条件によって異なる賃金センサスによる大卒46歳時の年収平均額に充たなかったとしても、B夫婦の収入が低額であったとはいえず、むしろ月25万円から35万円という相応の収入を得ていたというべき

Bの郵便局事業への従事が被相続人Dの財産の維持・増加に特別の寄与をしたとは認められない。
 
<解説>
家事従事型の類型の寄与分では、農業が圧倒的に多い。

農業経営以外の事業では、
①漬物製造販売業を約12年間無報酬で手伝って遺産の維持・増加に貢献した長男に対し、このような事情の下で購入した遺産家屋について、民法250条の趣旨を斟酌して、約5割の寄与分を認めたもの
②左官業に高校ないし中学卒業後約13年間従事し、生活費の負担のほかは小遣い銭程度をもらっただけで労働の対価を得ていなかった2名の子に対し10パーセントずつの寄与分を認めたもの
③時計販売修理業に二女夫婦が従事し経営を維持拡大したため、被相続人と二女夫婦が労務をそれぞれ出資するという組合契約が存在したと認定し、組合の解散に準じて残余財産を清算すべきものとすると、二女夫婦の寄与率は3分の2とするのが相当であるとしたもの等

本事案は、寄与分を主張しているBは、被相続人Dと同居し、家賃や食費はDが支出していたことに加え、それ相応の賃金を得ていた⇒寄与分があったと認めにくい事案

判例時報2311

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
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