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2016年12月25日 (日)

認知の届出書等の他の市町村への送付義務と損害賠償(否定)

東京地裁H27.12.4      
 
<事案>
Xは、婚姻関係になかったY2とAとの間に出生し、その後、XがY2の子であることを認知するとの裁判が確定。
⇒Aは、Y1区に認知届を提出し、Y1区長は、Xの戸籍の身分事項に認知事項を記載。
but
Y1区のB区(Y2の戸籍の記載をすべき者はB区長)に対する届出書等の送付漏れ⇒Y2の戸籍には、XがY2の認知した子として記載されず。

Xが、Y1区及びY2に対し損害賠償請求。
 
<争点>
①本件記載遺漏にY1区の故意・過失、違法性の有無
②本件記載遺漏にY2の故意・重過失が存在するか
③Y1区とY2の共同不法行為の成否
④本件記載遺漏によりXに生じた損害及びその額 
 
<判断> 
●作為義務の違反につき

最高裁昭和60.11.21:
①国賠法1条1項は、国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害を加えたときに、国又は公共団体がこれを賠償する責に任ずることを規定。
公務員の不作為が特定の国民に対する関係で違法な加害行為とされるためには、その国民に対する関係で権限を行使すべき作為義務があったことが必要であり、公務員の権限の不行使が違法となるのは、公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務と評価できる作為義務に違反した場合

認知の届出又は申請を受理した市区町村長は、届出又は申請をした認知子に対して、その認知子の戸籍に所定の事項を正確に記載する義務を負う。
認知子との関係では、認知された子自身の戸籍に所定の事項が正確に記載されることにより認知子の身分関係の公証がされるものであり、これに加えて認知した父の戸籍にも記載されることは身分関係の公証に有益であるとはいえ、認知子との関係では間接的なものにすぎず、認知の届出または申請を受理した市区町村長が他の市区町村へ送付する義務は、認知子に対する義務と解することはできない

Y1区長ないしY1区職員の届書をB区に送付すべき義務は、Xに対して負担する職務上の義務であるとまでは認められない。
 

Xを認知した父であるY2には、戸籍法上、認知の裁判が確定したことを届け出る義務があるとはいえない。 

念のため、
精神的損害については、Xがその主張する精神的損害を被ったとは認められない。
無形的損害については、Xの戸籍にはY2がXを認知した旨記載されており、申し出により遅延事由の記載をする取扱いを受けることができる。
⇒金銭的な賠償を受けなければならないほどの不利益を受けたとは認められない。

有形的損害については、本件記載遺漏との因果関係は認められない。 

判例時報2308

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