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2016年12月13日 (火)

厚生労働省令と県条例に違反but職務上の注意義務違反があったとはいえない⇒国賠法上の責任なし

広島高裁岡山支部H27.8.27      
 
<事案>
備前市町は、入所に要する費用は厚労省指針に依拠して算定すべきであるという考え
⇒本件盲養護老人ホームについて、基準省令の定める配置数を基礎とし、かつ、単体で措置費を算定した場合と比較して、施設長及び調理員等のほか、生活相談員についても配置数を1名減じた上で一般事務費が算定。

Xが、備前市長がした前記決定は国賠法1条1項の適用上違法であり、故意又は過失もある旨を主張して、備前市長が減じた差額相当額(ただし、一定の加算を経た後の額)について損害賠償を請求した事案。
 
<争点> 
①Xに対する一般事務費を算定するに当たり、備前市町が考慮すべき基準。
②仮に、備前市町がした措置費の算定が、基準通知が示す基準省令に反するものであったとしても、そのことをもって、国賠法1条1項の適用上違法の評価を受けるか。 
 
<原判決>
基準通知が示す基準省令の解釈等は、備前市町としても当然に承知しておくべき事柄であり、これらによれば、基準省令及び基準通知の配置基準に満たない生活相談員の配置員数を前提として本件盲養護老人ホームにおける一般事務費の額を定めることや、そのような取扱いを定めた厚労省指針の定めが不相当であることは容易に認識することができた。
⇒備前市長の過失を認めた。 
 
<本判決>
①盲養護老人ホームの一般事務費については、実務上は専ら厚労省指針(厚労省指針が発出するまでの間は交付要綱)に依拠して算定されてきたことが窺われる。
②本件盲養護老人ホームについても、一貫して、厚労省指針又はその前身である交付要綱が定める職員配置数等を踏まえて一般事務費が算定されてきた
③備前市長の決定に至るまでの間、直接入所者の処遇に当たる生活相談員等については、兼務は認められないとする基準省令等の内容を厚労省指針を踏まえた一般事務費の算定に反映させるべきであるとする裁判例や行政実務が存在したとは認められない

備前市長が、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすることなく漫然と一般事務費を算定したとはいえない。
⇒職務上の注意義務違反はなく、過失も認められない。
 
<解説>
国賠法1条1項の違法は、公権力の行使に当たる公務員の職務上の注意義務違反をいう(最高裁)

本件のように、公務員が法令の解釈・適用を誤った場合において当該公務員に国賠法1条1項所定の違法性を肯定することができるかについての最高裁の立場:
当該公務員の行為が、法令の解釈・適用を誤ったものであったとしても、直ちに国賠法1条1項の違法があると評価されるものではなく職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該行為をしたと認められる場合に限り、国賠法1条1項の適用上違法の評価を受ける
②ある事項に関する法律解釈について、複数の解釈が考えられ、そのいずれについても相応の根拠が認められる場合において、公務員がそのうちの1つの解釈に基づいて行為をしたときや、ある処分の根拠となる規定の有効性について、実務上特に疑いをさしはさむ解釈をされたことも裁判上問題とされたこともない場合において、従前と同様の処分を行ったときは、後に当該解釈が違法と判断されたとしても、国賠法1条1項の過失はない

判例時報2307

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