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2016年12月27日 (火)

詐欺会社の加給金支払合意の公序良俗違反での無効⇒管財人による不当利得返還請求(肯定)

名古屋地裁H28.1.21      
 
<事案>
詐欺的商法によって社債を販売していた破産会社の破産管財人であるXが、営業成績に応じて加給金を支払うとの合意に基づき破産会社から加給金の支払を受けていた代表取締役及び従業員を相手にして、本件加給金支払合意が公序良俗に違反することを理由に、不当利得に基づき、平成22年4月から平成25年5月までの間の営業活動に対して支給された加給金の返還を求めた事案。 
 
<規定>
民法 第90条(公序良俗) 
公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。

民法 第704条(悪意の受益者の返還義務等)
悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

民法 第708条(不法原因給付)
不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。
 
<判断>
●破産会社の社債販売について、①顧客に対し、高利の支払及び元本の償還が確実が元本確保型の商品であると虚偽の説明をし、②社債販売によって集めた資金のほとんどが使途不明金となっていて資産運用をしていた実態が認められず、③金商法及び出資法の規定も潜脱し、④高利の配当と元本の償還をしつつ従業員たるYらに対する加給金の支払も行っていた破綻必死の事業
詐欺的要素が極めて強い違法な商法であると認定。 

本件加給金支払合意は、営業担当者の営業成績に対する歩合給支払の合意であり、それ自体は違法ではないが、本件加給金支払合意が破産会社の社債販売という違法な行為を推進する目的を有し、そのとおりに効果が生じているのであれば、本件加給金支払合意自体も違法となり、公序良俗に違反して無効になるものと解すべき。

公序良俗違反かどうかは客観的に判断されるべきであり、行為の違法性の認識は公序良俗違反の要件とはならないものの、合意自体から直ちに違法性を判別できないときは、当事者が違法性を識別できるだけの状況が存在することが必要

本件加給金支払合意は、破産会社の社債販売という違法な行為を推進する目的を有し、そのとおりに効果が生じているから違法となるところ、①破産会社の社債は、著しい高利でかつ元本確保型という想定しがたい商品であったし、②破産会社のオーナーであるAの説明は合理性を欠いており、にわかに信用すべきでなかった上に、③実際に営業会議の際に破産会社発行の社債が違法ではないかとの指摘があったり、④弁護士を通じて顧客から返還請求があったりしたことや、⑤後に東海財務局の調査や、愛知県警察の捜索差押えが入った

破産会社の幹部であったY1及びY2は加給金支払合意時からその他の破産会社の従業員であったYらは愛知県警察の捜索差押えが入ったときから、本件加給金支払合意が客観的に公序良俗に反すると認識しうる状況にあった

その時点から本件加給金支払合意が公序良俗に反し無効である。


不法原因給付については、最高裁H26.10.28(無限連鎖講の配当金につき、破産管財人の不当利得返還請求を不法原因給付によって拒むことが信義則に反し許されないとした事例)の考え方によって、破産管財人lによる不当利得返還請求を認めることが被害回復につながり、民法708条の趣旨にかなうとしてYらの主張を排斥。 
 
<解説>
本件も違法な商法を促進させる報酬合意を公序良俗違反として無効とした事例の一例。

判例時報2308

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

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