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2016年12月26日 (月)

同族企業の代表取締役の死亡逸失利益、休業損害

東京地裁H27.12.10      
 
<事実>
Aは、B設立後、代表取締役として、管理業務を行うほか、店舗における調理業務の一部に従事。
Aは、B設立後、Bの利益状況にかかわらず、Bから役員報酬として毎年3600万円を受領。本件事故前年のAの年収は、前記役員報酬とBから受領した自宅建物の賃料600万円の合計4200万円。 
 
<争点>
Aの休業損害及び死亡逸失利益
 
<判断>
①Aの基礎収入について、事実関係の他、平成25年度の賃金センサスにおける、Bよりも大規模な飲食サービス業の部長級従業員及び調理師の全年齢平均賃金の合計額を勘案した結果、Aの役員報酬の、労務提供の対価に相当する部分が、Yが争わない年収1500万円を超過するとは認められない。
②賃料については、労務対価性及び逸失利益性のいずれも認められない。

Aの休業損害及び逸失利益について、基礎収入を年収1500万円とするのが相当。
 
<解説>
企業主が生命もしくは身体を侵害されたため、その企業に従事することが不能となったことによって生じる財産上の損害額について、

判例は、「原則として、企業収入中に占める企業主の労務その他企業に対する個人的寄与に基づく収益部分の割合によって算定すべきであり、企業主の死亡により廃業のやむなきに至った場合等特段の事情の存しないかぎり、企業主の右労務等によってのみ取得されていたと見ることはできない」(最高裁昭和43.8.2)
~労務価値説。 

個人事業者については労務価値説が実務上定着しており、営業収益から物的設備を利用することによって生み出された不動産の賃料、利子等や家族等の労務による収益部分を控除した個人事業主の労務等の個人的寄与によって生み出された収益部分を、当該事業主の個人的寄与の割合を勘案した部分をもって算出する運用。

個人的寄与の認定については、事故前後の事業や収支の状況、事業の業績・業態、被害者の特殊な技能の有無や担当職務の内容、稼働状況等の事情を考慮して判断。

会社役員の休業損害・後遺障害逸失利益については、前記最高裁の趣旨から、役員報酬中に労務対価性を有しない利益配当部分が含まれる場合には、これを除いた労務対価部分のみを基礎収入とする運用が実務上定着。

判例時報2308

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
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