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2016年12月12日 (月)

商品先物取引における先物取引業者の注意義務違反(肯定)

東京高裁H27.8.26      
 
事案 X(被控訴人)が先物取引受託者であるY(控訴人)に対して、先物取引契約による先物取引について、商品取引員としてしてはならない不招請勧誘、適合性原則違反、説明義務違反、新規委託者保護義務違反、手数料稼ぎ目的の頻繁売買(過当取引)、手仕舞い拒否等を行うなど、その勧誘行為及び取引の継続に違法性があった⇒使用者責任により又はYが組織的に行ったとして、Yの不法行為又は債務不履行に基づき損害賠償を求めた事案。 
 
<規定>
商品先物取引法 第二百十五条  (適合性の原則)
商品先物取引業者は、顧客の知識、経験、財産の状況及び商品取引契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行つて委託者等の保護に欠け、又は欠けることとなるおそれがないように、商品先物取引業を行わなければならない。

商品先物取引法 第二百十八条  (商品先物取引業者の説明義務及び損害賠償責任)
商品先物取引業者は、商品取引契約を締結しようとする場合には、主務省令で定めるところにより、あらかじめ、顧客に対し、前条第一項各号に掲げる事項について説明をしなければならない。

2  前項の説明は、顧客の知識、経験、財産の状況及び当該商品取引契約を締結しようとする目的に照らして、当該顧客に理解されるために必要な方法及び程度によるものでなければならない。

3  一の商品取引契約の締結について二以上の商品先物取引業者又は商品先物取引業者の委託を受けた商品先物取引仲介業者(以下この項において「商品先物取引業者等」という。)が第一項又は第二百四十条の十八第一項本文の規定により顧客に対し前条第一項各号に掲げる事項について説明をしなければならない場合において、いずれか一の商品先物取引業者等が当該事項について説明をしたときは、他の商品先物取引業者等は、第一項又は第二百四十条の十八第一項本文の規定にかかわらず、当該事項について説明をすることを要しない。ただし、当該他の商品先物取引業者等が政令で定める者である場合は、この限りでない。

4  商品先物取引業者は、顧客に対し第一項の規定により説明をしなければならない場合において、第二百十四条(第一号に係る部分に限る。)の規定に違反したとき、又は前条第一項第一号から第三号までに掲げる事項について説明をしなかつたときは、これによつて当該顧客の当該商品取引契約につき生じた損害を賠償する責めに任ずる。 
 
<判断>
●適合性原則違反 
Xが無職であることをXから聞いていた旨推認し、商品先物取引は投機性が高いことから、ガイドラインに照らしても、無職者には適合性を有しない
 
●新規委託者保護義務違反 
商品先物取引は投機性が高く、その仕組みの理解が困難で相場の変動も予測し難い
商品取引員であるYは、新規委託者であるXに対し、商品先物取引に習熟して取引に適合するよう誠実公正に保護する義務を負う旨を示したうえ、本件取引においては、Xが商品先物取引に習熟していたと認めるに足る事情はない
⇒義務違反を肯定
 
●手数料稼ぎ目的の頻繁売買 
過当取引を肯定。
 
<解説>
●適合性原則違反については、不法行為に基づく損害賠償責任が成立するというのが確立した判例。
証券先物取引法では、商品先物取引業者(本件取引当時は商品取引員)は、顧客の知識、経験、財産の状況及び商品取引契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行って委託者等の保護に欠け、又は欠けることとなるおそれがないように、商品先物取引を行わなければならないと規定(215条)。
 
●手数料稼ぎ目的の頻繁売買 
法律の解釈としては、商品先物取引法は、215条、218条の規定を素直に見れば、被害者たる顧客が商品先物取引業者において義務違反があったことを立証する必要がある。
注意義務違反が規範的要件として、評価根拠事実と評価障害事実のいずれもが規範的要件における主要事実と解されている。

「経済的に不合理な取引が頻繁に反復継続されており、およそ顧客の経済的利益を追求する取引が行われたとは考えられない客観的状況にある」ことが評価根拠事実として立証された以上、先物取引業者が顧客の経済的利益に配慮した指導等をすべき注意義務を怠っていなかった旨の評価障害事実を立証する必要がある。

判例時報2307

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