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2016年8月 7日 (日)

市立小学校施設の目的外使用許可申請の不許可(違法but国賠法上の違法・過失は否定)

大阪高裁H27.10.13      
 
<事案>
大阪市教職員組合が主催する教育研究集会の会場として小学校の学校施設の目的外使用許可の申請⇒各小学校の校長が大阪市労使関係に関する条例12条の「労働組合活動に関する便宜の供与は、行わないものとする。」の規定により不許可とする処分⇒Yに対し、①本件各不許可処分の無効確認を求めるとともに、 ②国賠法1条1項に基づく損害賠償及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案。
 
<一審>
本件各不許可処分の無効確認の訴えを不適法として却下。
国賠請求の一部を認容。

Yが一部認容部分を不服として控訴。
 
<判断>
国賠請求につき、本件各不許可処分は裁量権の逸脱又は濫用として違法。
両校長に国家賠償法上の違法及び過失があるとは認められない。
 
<規定>
地方自治法 第238条(公有財産の範囲及び分類) 
4 行政財産とは、普通地方公共団体において公用又は公共用に供し、又は供することと決定した財産をいい、普通財産とは、行政財産以外の一切の公有財産をいう。

地方自治法 第238条の4(行政財産の管理及び処分)
7 行政財産は、その用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができる。
 
<解説>
●地方公共団体設置の公立学校を構成する物的要素としての学校施設は、地方自治法238条4項にいう行政財産であり、これを設置目的外に使用するには同法238条の4第7項に基づく許可が必要。
 
最高裁H18.2.7:
学校施設の目的外使用を許可するか否かは、原則として、管理者の裁量にゆだねられているものと解するのが相当である。」「管理者の裁量判断は、許可申請に係る使用の日時、場所、目的及び態様、使用者の範囲、使用の必要性の程度、許可をするに当たっての支障又は許可をした場合の弊害若しくは影響の内容及び程度、代替施設確保の困難性などを許可しないことによる申請者側の不都合又は影響の内容及び程度等の諸般の事情を総合考慮してなされるものであり、その裁量権の行使が逸脱濫用に当たるか否かの司法審査においては、その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で、その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って、裁量権の逸脱又は濫用として違法となるとすべきものと解するのが相当である。」と判示。
 
●Yの主張:
本件条例12条により校長は裁量判断をする余地はなく、労働組合等であるXに対して本件各小学校施設の使用を許可することはできないから、本件各不許可処分は適法。

一審判決:本件条例12条は、同条例が適用されなければ違法とされる処分を適法化するために適用される限りにおいて職員団体の団結権等を違法に侵害するものとして、憲法28条に違反して無効とした。

本判決:本件条例12条は直ちに憲法及び地方自治法その他の法令の規定に違反するものではなく、「本件各不許可処分の違法性は、両校長の裁量判断が裁量権の逸脱又は濫用に当たるかどうかによって判断され、控訴人主張のように労働組合等の組合活動に関する便宜供与に該当すれば、他の諸事情を一切考慮することなく、その目的外使用を不許可とすべきであったということはできない。
前記最高裁判決で示された考慮要素に沿って判断し、本件各不許可処分は、本件条例12条の存在のみを考慮することによってなされており、その他の当然考慮すべき事項を十分考慮していない⇒裁量権の逸脱又は濫用に該当し、違法である。
 
●国賠法 
判例は、職務行為基準説
行政処分が裁量権の逸脱又は濫用として違法であったとしても、直ちに国賠法1条1項所定の違法が肯定されているわけではなく、その違法性が肯定されるのは、公権力の行使に当たる公務員が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該行為をしたと認められるような事情がある場合に限られる。

本判決:労働組合等の組合活動に関する便宜の供与が一律に禁止されると解することにも相応の根拠があり、地方公務員である両校長にはその職務を遂行するに当たって本件条例に従う義務がある(地方公務員法32条)こと等を考慮すれば、両校長が本件条例12条により労働組合等の組合活動に関する便宜供与が一律に禁止されると解釈して本件各不許可処分をしたことには無理からぬ面があり、両校長が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすることなく漫然と本件各不許可処分をした事情は認められない

両校長に国家賠償法上の違法及び過失を認めることはできない

判例時報2296

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
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