千葉県議会議員の定数及び選挙区等に関する条例の議員定数配分規定の適法性(適法・合憲)
東京高裁H27.12.17
<事案>
千葉県議会議員の定数及び選挙区等に関する条例に基づき平成27年4月12日に施行された千葉県議会議員一般選挙について、選挙人である原告らが、本件条例のうち各選挙区において選挙すべき議員の数を定める規定が公職選挙法15条8項、憲法14条1項に違反して無効⇒これに基づき施行された本件選挙も無効であるとして提起した選挙無効確認訴訟。
<規定>
公職選挙法 第15条(地方公共団体の議会の議員の選挙区)
8 各選挙区において選挙すべき地方公共団体の議会の議員の数は、人口に比例して、条例で定めなければならない。ただし、特別の事情があるときは、おおむね人口を基準とし、地域間の均衡を考慮して定めることができる。
<判断>
本件の具体的な事実関係の下において、千葉県議会が有する合理的裁量の限界を超えるものということはできない。
本件選挙施行直前の条例改正附則において、定数配分規定につき抜本的な見直しを速やかに開始し、逆転区の是正をはじめとする格差の是正を行う旨が定められたことを指摘した上で、千葉県議会が同附則に従って裁量権を行使すべき責務を負ったと判示。
<解説>
議員定数配分規定の適法性審査においては、公選法15条8項を踏まえ、人口比例原則に修正を加えるか、どの程度修正を加えるかにつき、当該都道府県議会に裁量権が与えられていることを前提としつつ、その裁量権が合理的に行使されているかを検討することになる。
東京都議会議員の定数配分規定の適法性に関する最高裁H27.1.15:
公選法15条8項ただし書きを適用してされた条例の制定又はその改正により具体的に決定された定数配分の下における選挙人の投票の有する価値に較差が生じ、あるいはその後の人口の変動により具体的に決定された定数配分の下における選挙人の投票の有する価値に較差が生じ、あるいはその後の人口の変動によりその較差が拡大した場合において、上記の格差が都道府県議会において地域間の均衡を図るため通常考慮し得る諸般の要素をしんしゃくしてもなお一般的に合理性を有するものとは考えられない程度に達しており、これを正当化すべき特段の理由が示されないとき、あるいは、上記の較差は上記の程度に達していないが、上記の制定時若しくは改正時において同項ただし書にいう特別の事情があるとの評価が合理性を欠いており、又はその後の選挙時において上記の特別の事情があるとの評価の合理性を基礎付ける事情が失われたときは、当該定数配分は、裁量権の合理的な行使とはいえない。
「一般的に合理性を有するものとは考えられない程度に達して」いるかは、
①選挙区の人口と配分された定数との比率の最大較差
②人口比定数と現実の定数の隔たりの程度(現定数配分規定による投票価値の最大較差が人口比定数によるそれよりも拡大しているか、現定数と人口比定数が不一致の選挙区の数、人口比定数よりも複数定数が不足する選挙区の数)
③逆転現象(有無・例数、二人以上の顕著な逆転現象の有無・例数)
を考慮して検討。
判例時報2296
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