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2016年7月25日 (月)

国家公務員共済組合法附則12条の12第4項及び厚生年金保険法等の一部を改正する法律附則30条1項と憲法41条及び73条6号

最高裁H27.12.14   
 
<事案>
Yが昭和49年に日本電信電話公社を退職した際に日本電信電話公社共済組合(「旧共済組合」)から退職一時金として14万12367円を受給。
平成15年7月にYが満60歳となり旧共済組合の 組合員期間を計算の基礎とする老齢厚生年金及び退職共済年金の受給権を有するようになった
⇒旧共済組合の権利義務を承継したXが、「厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う国家公務員共済組合法による長期給付等に関する経過措置に関する政令」(以下「本件政令」という。)4条1項の規定に基づき、Yに対し、当該退職一時金として支給を受けた上記の額に利子に相当する額を加えた額に相当する金額66万円余り及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案。
 
<規定>
憲法 第73条〔内閣の事務〕
内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。

憲法 第41条〔国会の地位、立法権〕 
国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
 
<原審>
包括的に政令に委任したもので無効。
 
<判断>
国公共済法附則12条の12第4項及び厚年法改正法附則30条1項は、退職一時金に付加して返還すべき利子の利率の定めを白地で包括的に政令に委任するものということはできず、憲法41条及び73条6号に違反するものではないと解するのが相当。

本件政令4条2項が定める利率は、年金財源の予定運用収入に係る利率に連動して定められてきたものであり、その委任の趣旨に沿うものであるなどとして、原判決中X敗訴部分を破棄し、Xの請求を認容した第一審判決は正当であるとして、上記部分について控訴を棄却。
 
<解説>
法律の委任とは、法律がその所轄事項を定める権能を命令に委任することをいい、委任を受けた命令は、委任の限度内で、法律事項を規定することができる(憲法73条6号)。

法律の委任は、立法権が国会に属するという憲法の原則(憲法41条)を崩さない程度において、個別・具体的に限られた特別の事項についてのみ行われ得るものであり、国会の立法権を放棄するに等しい一般的抽象的な委任は憲法上許されないと解されている。

いわゆる猿払事件判決(最高裁昭和49.11.6)は、国家公務員法102条1項による人事院規則への委任の憲法適合性につき、「政治的行為の定めを人事院規則に委任する国公法102条1項が、公務員の政治的中立性を損なうおそれのある行動類型に属する政治的行為を具体的に定めることを委任するものであることは、同条項の合理的な解釈により理解しうるところである。・・・右条項は、それが同法82条による懲戒処分及び同法110条1項19号による刑罰の対象となる政治的行為の定めを一様に委任するものであるからといって、そのこと故に、憲法の許容する委任の限度を超えることになるものではない。」

授権規定の憲法適合性に係る一般論として、
国会が、法律自体の中で、特定の事項に限定してこれに関する具体的な内容の規定を他の国家機関に委任することは、その合理的必要性があり、かつ、右の具体的な定めがほしいままにされることのないように当該機関を指導又は制約すべき目標、基準、考慮すべき要素等を指示してするものであるかぎり、必ずしも憲法に違反するものということはできず、また、右の指示も、委任を定める規定自体の中でこれを明示する必要はなく、当該法律の他の規定や法律全体を通じて合理的に導き出されるものであってもよいと解される。」

授権規定が憲法の許容する委任の限度を超えるか否かの判断に当たっては、基本的に、授権規定において委任の基準や考慮要素が明示されていなくとも、当該規定のみならず当該法律の他の規定や法律全体の趣旨、目的の解釈によって、その委任を受けた機関を指導又は制約すべき目標、基準、考慮すべき要素等が合理的に導き出される限り憲法の許容する委任の限度を超えるものではないという考え方を基礎とすべき。

本判決も、国公共済法附則12条の12の文言のみに着目するのではなく、その立法趣旨や同法の他の規定等を考慮した判断を示している。

判例時報2294

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