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2016年7月18日 (月)

事業者が収集、管理、有料提供する医療機関に関する情報の一部を無断でデータベースに組み込み、無料で公開⇒不法行為(否定)

東京地裁H27.2.13      

<事案>
Xが、YはXが作成したデータベース(「Xデータベース」)上の医療機関に関する情報を無断で修習、複製してYのデータベース(「Yデータベース」)に組み込むことにより、Xの営業活動上の利益を侵害したとして、Yに対し、不法行為に基づき784万円余の損害金の支払を求めた事案。

Xは、Xデータベースを著作物ではないものの、法的保護に値するものであるところ、これを侵害されたと主張。
 
<判断>
一般にデータベースがその作成、維持のために費用や労力をかけたものとして独立の経済的価値を有するものであっても、当該データベースが著作物として保護されない場合にはそのデータベースに組み込む行為は、情報及びデータベースの内容及び性質、行為の態様及び目的、権利侵害の程度等に照らして、著しく不公正な方法で他人の権利を侵害したと評価できる場合に限り、不法行為を構成するというべき。

Xデータベース上の医療機関情報の主要部分は、病院名、住所、電話番号等の情報で、一般に公開される必要性が高く、実際に公開されている情報ではあるが、Xデータベースは、Xにより相当の費用及び労力をかけて情報を収集、整理して作成、更新されたものであるから、独立の経済的価値を有し、法的保護に値する

①Xデータベースは、独立した経済的価値を有するものではあるが、医療機関情報の主要部分は一般に公開されることが要請され、実際にも公開されている情報であること、
②XデータベースとYデータベースは、医療機関情報のデータベースという点で共通するものの、項目も、医療機関情報も相当程度異なること、
③YがXデータベース上の医療情報機関情報の一部をYデータベースに組み込んだことは認められるが、どの程度の情報を組み込んだかは不明であり、組み込み又は組み込んだ可能性のある情報の多くは他のデータベース上のデータと実質的に一致すること、
④YがYデータベースを用いて行った事業が、X又はXの顧客のXデータベースを用いた事業にどの程度影響を及ぼすかは不明であること
⑤Yは、Xデータベースから医療機関情報を組み込むに当たり、X及びXデータベースの存在を認識していなかったこと

Yの行為を著しく不公正な方法で他人の権利を侵害したと評価することはできない
 
<解説>
東京地裁H13.5.25:
自動車データベースを複製した者に対する損害賠償請求、不正競争行為差止請求事件。

自動車データベースは著作物には当たらないが、「人が費用や労力をかけて情報を収集、整理することで、データベースを作成し、そのデータベースを製造販売することで営業活動を行っている場合にオいて、そのデータベースのデータを複製して作成したデータベースを、その者の販売地域と競合する地域において販売する行為は、公正かつ自由な競争原理によって成り立つ取引社会において、著しく不公正な手段を用いて他人の法的保護に値すr営業上の利益を侵害するものとして、不法行為を構成する場合がある」として、不法行為を構成すると判示。

判例時報2292

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