« 「認知の変化」 | トップページ | 日本法を準拠法とし、イタリア人父から日本人祖父に対する、親権に基づく子(8歳、二重国籍)の引渡請求(認容) »

2016年7月18日 (月)

継続的な食品の製造委託取引における委託者による、信義則上の注意義務違反⇒不法行為(肯定)

甲府地裁H27.10.6      

<事案>
X:雑穀類の加工・販売等を目的とする会社
Y:各種食料品の製造・加工等を目的とする会社

平成14年頃から、YがXに対して、雑穀製品の製造を委託し、Xがこれを製造してYに売り渡すという製造委託取引を開始
平成16年4月1日、雑穀製品の包括的な製造委託契約(基本契約)を締結

Yは、平成21年初頭、雑穀の拡大販売を計画し、新商品を秋に販売することとし、同年1月頃、Xに拡大販売計画案を提示してい、本件商品等をXが製造すること、Xの工場内に新たな包装機械を設置することなどが可能かについて検討を依頼
同年5月から6月にかけて、X及びYが製造する商品の一覧表(本件一覧表①②)をXに交付。
同年8月18日、Xは本件包装機械を発注し、購入代金を支払う。

YはXに対し、平成21年度から平成23年度の間、本件商品の製造を指示せず。
平成25年1月22日、YはXに対し、基本契約の終了を通知。 
 
<主張>
Xは、
主位的に、Yは、本件一覧表①及び②に記載された内容により平成21年度から平成23年度分の本件商品の製造を委託する旨の個別の製造委託契約を締結したにもかかわらず、納入する数量・納期等その製造に必要な指示を行わなかったために、Xはこれを製造できず、製造のために支出した設備投資費用相当額の損害を受けた⇒債務不履行に基づく損害賠償

予備的に、仮に個別の製造委託契約の成立が認められなくても、YはXに対してこれを締結することにつき強い信頼を抱かせたにもかかわらず、これを締結しなかったことにより、Xは前期設備投資費用相当額の損害を受けた⇒信義則上の注意義務違反による不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償として、
設備投資費用相当額9906万円余等の支払を求めた。 
 
<判断>
本件の具体的な事案の下では、本件商品に係る個別の製造委託契約が成立したと認めることはできない⇒Xの主位的請求を棄却。

Yは、Xに対し、本件商品について、Xが本件商品について、Xが本件包装機械等で製造することを前提に、本件一覧法①及び②に記載された程度の内容の個別の製造委託契約を異締結できるとの強い信頼を与えておきながら、これを締結しなかった。
信義則上の注意義務違反が認められ、Yは、Xに対して、不法行為に基づく損害賠償責任を負う

Xが被った損害は、本件包装機械等の購入代金相当額9906万円余からその中古価格を控除した7906万円余と認められる。

独自に雑穀市場の調査分析を行うことなく漫然とYから提供された情報のみに依拠して本件包装機械等を自社で購入する決定をしたXの過失割合を5割と認定して過失相殺
⇒Xの予備的請求を3953万円余等の支払を求める限度で一部認容。
 
<解説>
契約締結上の過失責任のうち、本件は、交渉破棄事例。

交渉破棄事例には、①「誤信惹起型」(=締結の可能性ないし確実性について誤信させるもの)と②「信頼裏切り型」(=締結は確実であると信頼させておきながら、交渉を破棄する)に分類されるが、本件は②。

②については、「当事者間において契約締結の準備が進捗し、相手方において契約の成立が確実のものと期待するに至った場合には、その一方の当事者としては相手方の右期待を侵害しないよう誠実に契約の成立に務めるべき信義則上の義務がある」(東京高裁昭和62.3.17)

判例時報2292

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

 

|

« 「認知の変化」 | トップページ | 日本法を準拠法とし、イタリア人父から日本人祖父に対する、親権に基づく子(8歳、二重国籍)の引渡請求(認容) »

判例」カテゴリの記事

民事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 継続的な食品の製造委託取引における委託者による、信義則上の注意義務違反⇒不法行為(肯定):

« 「認知の変化」 | トップページ | 日本法を準拠法とし、イタリア人父から日本人祖父に対する、親権に基づく子(8歳、二重国籍)の引渡請求(認容) »