自衛隊情報保全隊のイラク派遣反対活動等の監視のために自衛隊が行った参加者の氏名・職業等の調査⇒プライバシー侵害にあたる⇒国賠請求認容
仙台高裁H28.2.2
<事案>
東北地方に居住するXら91名が、自衛隊のイラク派遣に反対する派遣反対活動等を行った⇒陸上自衛隊情報保全隊によって監視、情報収集され、憲法上保障された権利を侵害され、精神的苦痛を受けた⇒Y(国)に対して、人格権に基づき、監視、情報収集活動等の差止めと損害賠償の支払を求めた
<原審>
Xのら差止め請求は却下。
XらのうちX1に10万円、X2~X5の4名につき5万円の支払を求める部分につき一部認容。
双方控訴
<判断>
X1については、アマチュア歌手で、派遣反対ライブを行っていたにすぎないのに、自衛隊において、イラク派遣反対活動について情報収集の必要があるとしても、X1の本名及び職業を探索する必要性は認め難い⇒X1のプライバシーを侵害されたものと認めるのが相当。
X2~X5については、地方議員等で、高い知名度を有しているし、自衛隊によって、イラク派遣反対活動に関する情報を収集することの必要性は否定できない。
<解説>
プライバシー侵害と不法行為の成否は、情報収集行為の目的、必要性、態様、情報の管理方法、情報の私事性、秘匿性の程度、個人の属性、被侵害利益の性質、その他の事情を総合考慮して判断すべき。
判例時報2293
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