土地区画整理組合の総代会は清算人を選任することができるとされた事例
札幌高裁H27.12.10
<事案>
A土地区画整理組合(本組合)の総代会が抗告人を本件組合の清算人に選任⇒元清算人であった被抗告人が、同選任は無効であると主張して、抗告人の解任を求めている事案。
<規定>
土地区画整理法 第三十六条 組合員の数が百人をこえる組合は、総会に代つてその権限を行わせるために総代会を設けることができる。
3 総代会が総会に代つて行う権限は、左の各号に掲げる事項以外の事項に関する総会の権限とする。
一 理事及び監事の選挙及び選任
二 第三十四条第二項の規定に従つて議決しなければならない事項
4 第三十二条第一項から第六項まで及び第八項、第三十三条第一項から第三項まで及び第四項本文並びに第三十四条第一項及び第三項の規定は、総代会について準用する。この場合において、これらの規定中「通常総会」とあるのは「通常総代会」と、「臨時総会」とあるのは「臨時総代会」と、「総会」とあるのは「総代会」と、「組合員」とあるのは「総代」と読み替えるものとする。
土地区画整理法 第四十六条 組合が第四十五条第一項第一号から第四号までのいずれかに掲げる事由により解散した場合においては、理事がその清算人となる。ただし、総会で他の者を選任した場合においては、この限りでない。
土地区画整理法 第四十六条の二 前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができる。
土地区画整理法 第四十六条の四 清算人の職務は、次のとおりとする。
一 現務の結了
二 債権の取立て及び債務の弁済
三 残余財産の引渡し
2 清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。
<解説>
組合員の数が100人を超えると、総会を開く場合においてその場所の選定が困難となり、通知事務が煩雑になる等多大の障害が予想される
⇒法36条は、このような総会に代わって、その権限を行わせるため、総代会を置くことができるとしている。
総代会は、原則として総会の権限に属する行為を代わって行う権限を有するが、
理事及び監事の選挙及び選任(1号)及び法34条2項に規定する特別議決事項(2号)に限っては、総会の専権に属し、総代会が権限代を行することが否定されている(法36条3項)。
これらの重要な事項は、たとえ多大な障害があったとしても、総会を招集して議決することが必要とされた。
清算中の組合を代表することになる清算人の選任については、法は、総会の権限とする(46条の2ただし書)一方で、36条3項において明示的には総代会の権限外とはしていない。
A:総代会の権限を否定
←清算人が理事と同様の広範な代表権を有しており、その選任は理事の選任と変わらない重要な事項
B:総代会の権限を肯定
←清算人の地位を理事の地位と同列に論ずる必要はない
<判断>
肯定説に立って、否定説に立つ原決定を取り消して、解任申し立てを却下。
←
清算人は、現務の結了等の限られた職務及び権限を有しているにすぎず(法46条の4)、理事の地位と同列に論ずる必要は必ずしもない。
判例時報2291
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