8歳の被害児童Aに対する逮捕監禁被告事件⇒Aの承諾の真意性を否定
大阪高裁H27.10.6
<事案>
被告人が、妻Bと共謀の上、自宅居間の柱に巻きつけた鉄製の鎖の端を、Bの実子で被告人と養子縁組をしていた当時8歳のAの腰部にまきつけ南京錠を掛けたという逮捕監禁被告事件。
<解説>
Aは、被告人により南京錠つきの鎖でつながれたものの、南京錠の合鍵を隠し持っていた可能性を否定できず、また当該拘束に承諾するような発言をしていたことから、被告人らがいなくなれば拘束を解けることを理解した上で、鎖でつながれることについて真意で承諾したのではないかが問題。
Aがいつでも物理的に鎖から脱することができた事実は「監禁」を否定する根拠にはなりえない。
←監禁において脱出を不可能又は著しく困難にする方法は、有形力・物理的な障害だけではなく、無形的・心理的な障害によってもなされる。
本判決は、8歳の児童に逮捕監禁に関する承諾能力を認めた上で、その真意性を否定。
判例時報2293
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