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2016年5月14日 (土)

債権管理回収業に関する特別措置法違反(無許可営業罪)の事案。

東京高裁H27.11.5    

<事案>
債権管理回収業等を営む株式会社及び法人の代表者が、債権管理回収業に関する特別措置法(「サービサー法」)33条1号、3条の無許可営業罪に該当するとされた事案。 
 
<一審>
サービサー法の無許可営業罪を認めた。 
 
<争点>
①本件のように全株式を取得したことが「債権を他人から譲り受けた」といえるのか。
②被告人らの行為が社会的、経済的に正当な業務の範囲内といえるのか。
③本件で問題となった支払の遅延している債権は、サービサー法の規制の対象か。
 
<規定>
債権管理回収業に関する特別措置法
第二条  この法律において「特定金銭債権」とは、次に掲げるものをいう。
この法律において「債権管理回収業」とは、弁護士又は弁護士法人以外の者が委託を受けて法律事件に関する法律事務である特定金銭債権の管理及び回収を行う営業又は他人から譲り受けて訴訟、調停、和解その他の手段によって特定金銭債権の管理及び回収を行う営業をいう。 
 
<解説・判断>

弁護士法とサービサー法とは一般法、特別法の関係にあり、サービサー法上の無許可営業罪が成立する場合は、弁護士法違反は成立しない。
(サービサー法上の無許可営業罪の方が弁護士法違反の罪より法定刑が重い。) 
 
●争点①について 
A及びBの全株式を取得したことが「特定金銭債権を譲り受けた」ことになるか?

甲がA及びBの全株式を取得したのは、主として両社の保有する債権を取得するためであることを確認し、全株式を取得するという形で債権を取得したことが、後段の「他人から譲り受け」たことに該当する。
 
●争点②について 
具体的な事実関係を適示しながら、被告人らの権利の取得の態様、被告会社の業務の実態、債権回収の方法及び態様等に照らし、被告人らの本件行為が、到底社会的、経済的に正当な業務の範囲内にあるものとはいえないとした。
 
●争点③について 
後段は、文言上譲受債権について事件性を要件としていないと判示。

後段について
A:事件性必要説⇒構成要件該当性の問題
B:事件性不要説⇒社会的に問題のない債権の譲り受けについて違法性阻却の問題

判例時報2284

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