群馬県に所在するゴルフ場の経営会社の主張に係る逸失利益(風評被害)の発生、当該損害と福島第一原発事故との相当因果関係(否定)
東京地裁H27.7.1
<事案>
Xは、本件事故によって放射性物質が放出され、汚染による危険があるとの風評が広がり、本件ゴルフ場の売上げが減少したと主張し、Yに対して原賠法3条に基づき、平成23年3月から7月までの間の営業上の逸失利益、弁護費用の損害賠償を請求。
<争点>
①損害の発生(風評損害の発生)の有無
②相当因果関係の存否
<判断>
本件ゴルフ場の位置、原発との距離、本件ゴルフ場のキャンセルの状況、他のゴルフ場への賠償の状況、本件ゴルフ場の経営体制の推移、本件ゴルフ場の本件事故前後の経営状態、他のゴルフ場(群馬県、近隣県)の来場数、単価及び売上げ等の事情を認定した上、本件事故による風評損害は、報道等により広く知らされた事実によって、放射性物質による汚染の危険性を懸念した消費者の買い控え等をいうとし、
このような風評損害と本件事故との因果関係は、消費者が本件事故による放射性物質による汚染の危険性を懸念し、敬遠したくなる心理が、平均的・一般的な人を基準として合理性を有しているか否かによって決せられる。
本件では、Xの主張に係る風評の原因とされる事実や報道が風評損害をもたらすかには疑問があるし、本件事故と高度の蓋然性が存在する程度の相当因果関係のある損害であるとの立証はない。
⇒請求棄却。
判例時報2283
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