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2016年3月 3日 (木)

システム開発に係る多段階契約において、個別契約の成否及び個別契約の発注がある旨誤信させたことによる契約締結上の過失

東京高裁H27.5.21    

システム開発に係る多段階契約において、個別契約の成否及び個別契約の発注がある旨誤信させたことによる契約締結上の過失
 
<事案>
システム開発の多段階契約における個別契約の成否及び個別契約の締結上の過失の有無が争われた事案 
Xは、
①Yとの間で個別契約が成立していたこと(争点1)
②Yには個別契約を発注するかのような誤信を生じさせた契約締結上の過失があったこと(争点2)を理由として、Yに損害賠償の支払を求めた。
 
<原審>
争点1:
フェーズ2の契約締結後、AからXに対してフェーズ3以降の発注を約束しな旨の意向が度々伝えられていた⇒フェーズ3以降を発注するというAの明示摘判断がないまま、Yとしてその発注をXに対して約束するとは考えがたい。

争点2:
…発注者において、請負人に対し、次工程の個別契約が締結されることの正当な期待を生じさせた場合には、信義則に照らし、期待を侵害したことについて不法行為上の損害賠償義務は免れない

・・・Xとして、このような移動分については、追加発注により補填又は代替的な補償措置が受けられるものと期待するのは無理からぬところであり、YにおいてもXの期待を認識可能
⇒かかる期待を抱かせたことについてYに契約締結上の過失があったと判断。
Xにおいて新フェーズ3の発注がされない場合に移動分がどう取り扱われるか等につき、Aの意向等をYに対して確認せずに覚書を締結したことにつき過失があった⇒過失相殺
 
<判断>
争点1、2ともに否定。

Xに期待するところがあったとしても単なる期待感に過ぎず、法的保護に値するものではない。
 
<解説>
システム開発には、一括請負契約と多段階契約方式がある。
多段階契約方式は、一般的には、基本契約のもとで、開発工程を幾つかに区切って、各工程の進行に応じて個別契約を順次て家k津する方式で、当初の契約において、スケジュール・費用等の仕様の詳細を確実なものとして固定することが困難であることから採用されるもの。

契約範囲を予測の確実なものに限定しリスクを回避することができる一方、
問題のあるプロジェクトについては打切りやすいという特徴。 

Xがフェーズ2での減額分を新フェーズ3移行にて回収することの期待をどう評価するか?

A:次工程の個別契約が約束されていないものの、基本契約に基づく一連の継続的契約であるという側面を強調
B:各フェーズに区分する以上、各工程の作業及び代金については工程ごとの交渉に委ねられるべきものであるという側面を強調

控訴審はBの特徴を重視。
but
①元々ベンダーとユーザーは開発の完了に向けて基本契約から各フェーズの個別契約を積み上げている⇒フェーズが進む度に開発完了への双方の期待が順次高まっていく
②多段階契約方式が選ばれる理由として、開発当初から開発対象を明確にすることが困難で流動性を持たせる必要があること⇒フェーズが進む度に開発対象が特定されることで流動性が順次減少

フェーズの進行とともに、ユーザーによる自由かつ無補償の解約・解除権行使は制限されるべきものと考える余地

判例時報2279

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
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