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2016年3月29日 (火)

金銭消費貸借取引の特定調停手続で成立した調停の公序良俗違反が争われた事例

最高裁H27.9.15   

<事案>
過払い金が発生している継続的な金銭消費貸借取引の当事者間で成立した特定調停が公序良俗に違反しているかどうかが争われた事案 

平成14年6月14日特定調停成立。
XがA社に対して借受金等の残債務44万円の支払義務を認め(「本件確認条項」)分割弁済し、本件調停条項で定めるもののほか、互いに債権債務を有しない旨を確認。
 
<原審>
本件調停の成立日時点で貸金等の債務は残っておらず、かえって過払金234万円余及び法定利息2万円余が発生していたのに、残元利金44万円余の支払義務を認める本件確認条項は、利息制限法に違反するもので公序良俗に反し無効。
本件確認条項を前提として本件清算条項のみを有効とするのは相当ではない。
⇒本件確認条項及び本件清算条項を含む本件調停を、全体として公序良俗違反で無効。 
 
<判断>
過払金が発生している継続的な金銭消費貸借取引に関し、借主と貸金業者との間で特定調停手続において成立した調停であって、借主の貸金業者に対する残債務の存在を認める旨の確認条項及び調停条項に定めるほか何らの債権債務がないことを確認する旨のいわゆる清算条項を含むものは、

上記調停における調停の目的は、上記の継続的な金銭消費貸借取引のうち特定の期間内に借主が貸金業者から借り受けた借受金等の債務であると文言上明記され、上記確認条項及び上記清算条項もこれを前提とするものである、

② 上記確認条項は、上記①の借受金等の残債務として、上記特定の期間内の借受け及びこれに対する返済を利息制限法所定の制限利率に引き直して計算した残元利金を超えない金額の支払義務を確認する内容のものである

③上記清算条項に、上記の継続的な金銭消費貸借取引全体によって生ずる過払金返還請求権等の債権を特に対象とする旨の文言はないなど判示の事情の下においては、全体として公序良俗に反するものということはできない

X主張の過払金を本件調停成立の前後で分け、既発生の過払金返還請求権等(取引履歴が開示された期間中に生じたものを含んでいる)は本件清算条項等によって消滅したとはいえないが、本件調停成立後に本件調停に基づいて支払った44万円余の支払はAの不当利得とはならないなどと判断して、原判決を変更(一部破棄自判、一部上告棄却)
 
<解説>
裁判上の和解については、一般法律行為の解釈の基準に沿って解釈すべきもの。 
本件調停の目的が調停調書の「申立ての表示」欄とこれを受けた調停条項とで二重に限定されていることを公序良俗違反を否定する事情として判示。

判示②は、借受金等残債務額を確認した本件確認条項は、開示された取引履歴部分自体が事実に反するなど特殊な事情があれば格別、強行法規違反を理由とする公序良俗違反の問題が生じる余地は乏しいことを確認的に判示。

判示③は、特定調停実務の実情や本件確認条項の文言に照らして過払金返還請求権等の債権は本件清算条項の対象外と解し、本件清算条項によって過払金返還請求権等の債務が消滅する余地はないとして、公序良俗違反を否定する事情として判示

判例時報2281

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