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2016年1月19日 (火)

京都府風俗営業法施行条例所定の第3種地域において、保護対象施設の敷地から70mの範囲に含まれない場所において、風俗案内所を営む法定地位を有することの確認を求める訴え等

大阪高裁H27.2.20    

1.京都府風俗営業法施行条例所定の第3種地域において、保護対象施設の敷地から70mの範囲に含まれない場所において、風俗案内所を営む法定地位を有することの確認を求める訴え及びその風俗案内所で接待飲食等営業の従事者を表示する法的地位を有することの確認を求める訴えの適否(積極)
2.京都府風俗案内所規制条例3条1項、16条1項1号は憲法22条1項に違反しないとされた事例
 
<規制>
風営法は、風俗営業に対して営業者、地域等を基準とする許可制を採用(3条、4条)、地域基準について「良好な風俗環境を保全するため」に都道府県条例で定める地域内にあるときは許可をしてはならない旨定める(4条2項2号)。
性風俗関連特殊営業(2条5項)に対しては、届出制を採用して(27条1項等)、広告宣伝を禁止・制限するなど(27条の2等)、他の風俗営業(2条1項)よりも大幅な制限を課している。
さらに、その中の店舗型性風俗特殊営業に対しては、学校等及び都道府県条例が定める保護対象施設から200m以内の区域での営業を禁止する(28条1項)ほか、都道府県条例所定の地域での営業を禁止し(28条2項)、厳しい規制を行っている。 

平成22年7月制定の「京都府風俗案内所の規制に関する条例」(「本件条例」)は、学校など条例所定の保護対象施設(無床診療所等を含むがほぼ風営法の保護対象施設に相当)から200m以内の地域を営業禁止区域と定め、接待風俗営業は性風俗営業についての情報提供等を含めて、同区域内での風俗案内所の営業を禁止し(3条1項)、違反者には刑罰を科す旨を定めた(16条1項1号)。
その結果、第三種地域の祇園・木屋町地区は風俗案内所の営業が全面禁止されることとなった。
 
<事案>
かつて第三種地域において風俗案内所を経営していたXが、本件条例が営業の自由を不当に制限することで憲法22条1項に反するなどと主張して、Y(京都府)に対し、

主位的に、第三者地域において接待飲食等営業に関する情報を提供する方法により、風俗案内所を営む法的地位を有すること及び風俗案内所内において接待飲食等営業の従事者を表示する法的地位を有することの確認を求め、

予備的に、第三者地域の内の保護対象施設から70m以内の範囲に含まれない場h祖において、上記の主位的請求と同様の法的地位を有することの確認を求めた事案。
 
<判断>
風俗案内所内において従業員を表示する法的地位についても確認の利益を肯定。 

店舗型性風俗関連特殊営業に対する200m以内の営業禁止など性風俗営業所に対する風営法の規制内容と、風俗案内所の特質、
①多数の風俗営業所の情報が集積し、集客のためそれらの積極的な宣伝広告が行われることや構造設備案件の規制がないため風俗案内所の方が単体の風俗営業所よりも外部環境に与える影響が格段に大きいこと、
②違法な性風俗営業店と結びつきやすいこと、
とを総合すると、保護対象施設から一定の距離内を営業禁止区域とし、罰則を設ける等、風俗案内所に対して風俗営業所よりも厳しい規制を設けることは合理的な規制であり、規制内容の必要性と合理性についても立法府の裁量に逸脱ないし濫用を認めることができず憲法22条に反しない
 
<解説>
確認の訴え及び確認の利益については、平成16年の行政事件訴訟法改正後、最高裁が、確認の利益の判断方法を確立していないものの、実質的当事者訴訟の確認訴訟の適法性を認め、確認の利益を柔軟に解釈する方法を示している。

本件も、本件条例によって禁じられた自らの法的地位を争うもので、従来なら違反行為について刑事裁判等で争うべきものとされていた事例に属するものといえるが、予防訴訟における確認の利益を柔軟に解釈し、確認訴訟を憲法訴訟として活用

職業選択の自由を含む財産権に対する規制の合憲性については、規制目的二分論や比例原則違反などの議論があるものの、
規制目的の正当性、目的達成手段の「必要性」と「合理性」の判断は第一次的には立法府の判断が合理的な裁量の範囲を逸脱ないし濫用しているかどうかが審査基準になるとの枠組みが判例上定着(最高裁昭和50.4.30)。

本判決は、この枠組みに依拠するものであり、風俗案内所に対して地域規制を行う本来条例の立法事実を検証し、風俗案内所がもたらす弊害とその程度が風俗営業所よりも大きいと認定して、風俗営業所よりも厳しい規制の必要性と合理性を肯定

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

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