夫婦別姓についての最高裁判決(H27.12.16)についての感想
以下ツイッターのまとめ。
①「夫婦別姓の合理性もあれば、夫婦同姓の合理性もある。それを決めるのは、立法(裁量)の問題。もちろん、制度により人権侵害が生じる場合は違憲となる。だけど、結婚すれば(夫婦の)どちらかの姓にするという制度は人権侵害ではない。」というのが最高裁の判断なのだろう。
②姓を変えることで、アイデンティティが喪失するというが、これまで結婚によって姓を変更してきた人々のどれだけがアイデンティティの喪失を感じたのだろう。通称使用が認められる中で、(一定の不利益はあるのだろうが)どれだけ深刻な不利益が生じているのだろう。(女性でも)結婚で名前を変えることをなんとも思わない人が多数なのではないだろうか。
③制度により不利益が生じる人がいるからといって、その制度が憲法違反となるわけではないし、一定の合理性がある制度の変更を、(国会に求めるのはともかく)裁判所に求める権利があるわけでもない。今般の最高裁判決は妥当な判断だと思う。
④夫婦別姓という選択肢ができるということは、選択が強いられることでもある。夫婦別姓が選べるとなれば、当事者だけでなく、親族の思惑が対立することもあるだろう。選択肢ができるということは、プラスの面もあるが、それが紛争の契機となり得るというマイナスの面もある。
⑤そこでの対立が起こったために、結婚できないことがあるかもしれない。また、夫婦別姓を選んだ場合に、子どもの名前をどちらにするかで夫婦間で対立した場合にどうするかの問題もある。そのような、夫婦別姓制度のプラス面とマイナス面を検討して、立法判断として判断すべき問題だろう。
⑥正直、夫婦同姓という制度による不利益よりも、今現実に起こっている、子どもの貧困やそれにより(平等に)教育を受けられないという問題の方が、はるかに深刻な問題であり、憲法上の土俵にのせるべき問題だと思う。
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