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2015年8月14日 (金)

裁判員裁判における審理及び裁判の特例である区分審理制度と憲法37条1項

最高裁H27.3.10   

裁判員裁判における審理及び裁判の特例である区分審理制度と憲法37条1項 

<解説>
区分審理制度:
裁判員法71条以下に規定されており、裁判員裁判対象事件を含む事件が複数併合されている場合で、一括して審理すると審理が長期間に及ぶなど裁判員の負担が大きいと見込まれる場合に、事件の一部を区分し、その区分した事件ごとに審理し、最後の事件を除き有罪か無罪かのみを判断し(「部分判決」)、最後の事件を担当する裁判体が、それまでの公判手続を更新して必要な証拠を調べ、部分判決を踏まえ、量刑も含めて判断する。 

<事案>
①Aに対する殺人被告事件
②Bに対する強盗殺人等被告事件
③Cに対する保険金殺人被告事件
の3件の裁判員裁判対象事件が起訴⇒区分審理が実施
①については無罪の部分判決
②については幇助の限度で有罪の部分判決
③について有罪
⇒全体の量刑として無期懲役。

被告人が、区分審理制度は、憲法37条1項に違反するとして上告。

<規定>
憲法 第37条〔刑事被告人の諸権利〕
すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。

<判断>
区分審理制度は、裁判員裁判の審理及び裁判の特例であるところ、区分審理制度における裁判体の構成が通常の裁判員裁判の場合と何ら変わらないことや、区分事件審判を行う裁判体と併合事件審判を行う裁判体で裁判員の構成が異なり、併合事件審理においては原則として部分判決の拘束を受ける点についても、訴訟上の裁判所における裁判体の構成の一部変更とみることができる上、併合事件審判を担当する裁判体は、部分判決によるだけでなく、必要な範囲で、区分事件の手続を更新して証拠を取調べなければならないなどとされている。

区分審理制度においては、公平な裁判所による法と証拠に基づく適正な裁判が行われることが制度的に十分保障されているといえる。
⇒区分審理制度は、憲法37条1項に違反しない。 

<解説>
憲法37条1項にいう「公平な裁判所による裁判」の意義について、
構成その他において偏ぱのおそおれがない裁判所による裁判」をいう(最高裁昭和23.5.5)。 

判例時報2259

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