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2015年3月31日 (火)

ライセンサーの再生手続開始後の契約解除が不当破棄であるとして、不法行為等が成立

東京地裁H26.9.11   

ライセンス契約のライセンサーが再生手続開始後、民事再生法49条1項、ラインセンス料の不払いを理由とする債務不履行による解除をした場合について、解除事由の認められない契約の不当破棄であるとし、ライセンサー、その代表取締役のライセンシーに対する不法行為責任等が肯定された事例
 
<事案>
ブランドに係るライセンス契約のライセンサーが解除したため、ライセンシー(X)が正当な理由のない解除である等と主張し、ライセンサーの損害賠償責任を追及した事件。 

Y1の再生手続開始決定がされたところ、同年9月13日、Y1の当時の代表取締役Aが契約継続の確認等を内容とする合意書をXに手交。その後、Y1(代表取締役はY2に交代)は、平成24年6月23日、Xに対し、本件各ライセンス契約を民事再絵師法49条1項に基づき解除すること等を書面で通知。

Y1とXとの間で、ライセンス料の支払、売掛金債権との相殺をめぐるトラブル⇒Y1は、Xに対し、ライセンス料の不払いによる債務不履行を理由に本件各ラインセンス契約を書面で解除。

Y1は、Xのサブライセンシーの一つであるB株式会社に本件ライセンス契約を解除し、商品等の販売を中止すること等を内容とする通知。

Xは、本件各ラインセンス契約を一方的に破棄した等と主張し、Y1に対し、債務不履行、不法行為、Y2(代表取締役)に対し、不法行為、会社法429条1項に基づき、逸失利益、サブランセンス料の回収不能額、信用毀損の損害、二重支払したライセンス料、弁護士費用につき損害賠償を請求。
 
<規定>
民事再生法 第49条(双務契約)
双務契約について再生債務者及びその相手方が再生手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは、再生債務者等は、契約の解除をし、又は再生債務者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる。
2 前項の場合には、相手方は、再生債務者等に対し、相当の期間を定め、その期間内に契約の解除をするか又は債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することができる。この場合において、再生債務者等がその期間内に確答をしないときは、同項の規定による解除権を放棄したものとみなす

民事再生法 第93条(相殺の禁止)
再生債権者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。

二 支払不能(再生債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう。以下同じ。)になった後に契約によって負担する債務を専ら再生債権をもってする相殺に供する目的で再生債務者の財産の処分を内容とする契約を再生債務者との間で締結し、又は再生債務者に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結することにより再生債務者に対して債務を負担した場合であって、当該契約の締結の当時、支払不能であったことを知っていたとき。

三 支払の停止があった後に再生債務者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。

四 再生手続開始、破産手続開始又は特別清算開始の申立て(以下この条及び次条において「再生手続開始の申立て等」という。)があった後に再生債務者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、再生手続開始の申立て等があったことを知っていたとき。
 
<争点>
①民事再生法49条1項による解除の効力(その前提として、Y1による履行の選択の成否)
②債務不履行を理由とする解除の効力(その前提として、ラインセンス料債権の相殺合意の効力)
③Y1の責任の有無、損害の有無・額
④Y2の責任の有無等 
 
<解説>
●民事再生法49条1項による解除: 
XがY1に対して相当の期間を定めて本件各ライセンス契約の解除か、履行の選択かの催告をしたのに対し、当時の代表取締役によりY1が履行の選択の請求を確答
Y1は代表取締役が交代した後に初めて契約が解除されていることを主張し始めた。
解除の効力を否定
 
●債務不履行解除: 
民事再生法93条1項2号ないし4号所定の各相殺禁止に該当しない⇒解除の効力を否定。
 
●Y1責任: 
Y1がXに対して本件各解除通知を送付した当時、何らかの解除事由が存在しなかった不当な契約破棄行為等に当たり、債務不履行責任及び不法行為責任を肯定
逸失利益(3389万9000円)サブライセンス料の回収不能額(605万3810円)、二重払いのライセンス料(588万6827円)、弁護士費用(200万円)の損害を認定。
 
●Y2の責任:
Y2は、本件各ライセンス契約が継続していることを認識することができた状況であったにもかかわらず、Y1の代表者として、本件契約破棄行為等を行った

Y2には、Xに対する不法行為が成立し、Y1のXに対する損害賠償債務の連帯支払の責任を負う。

判例時報2246

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