明石砂浜陥没死亡事件第2次上告審決定
最高裁H26.7.22
国から占有許可を得て市が公園の一部として開放し維持管理していた人工砂浜での埋没事故について、同砂浜を含む海岸の工事、管理に関する事務を担当していた国土交通省職員に同砂浜に関する安全措置を講ずべき業務上の注意義務があったとされた事例
明石砂浜陥没死亡事件第2次上告審決定
<事案>
第1次第1審の神戸地裁:被告人らに対し、本件自己についての予見可能性は認められない⇒無罪
検察官が控訴⇒
大阪高裁は、予見可能性を認めて、第1次第1審判決を破棄し、被告人らが取りうる結果回避措置や量刑に関する証拠調べを行わせるため、事件を神戸地裁に差し戻し。
被告人らが上告⇒
最高裁は、職権で、被告人らの予見可能性が認められることを判示し、上告を棄却。
第2次第1審:訴訟進行上の都合から被告人の弁論を分離⇒被告人を有罪とした上で禁錮1年、3年間の執行猶予
被告人が控訴⇒第2次控訴審はこれを是認
被告人が上告
<判断>
本件砂浜が海岸上の国の直轄工事区域内に存在し、その区域内の海岸保全施設の維持管理を国がしていた
⇒国に本件砂浜の安全管理をすべき基本的責任があって、被告人の所属課はその具体的担当部署の1つであった。
同課が属する工事事務所が明石市と共に本件砂浜で本件以前から続発していた陥没の対策に取り組み始めていた
⇒
同課課長の被告人には本件砂浜に関する安全措置を講ずべき業務上の注意義務がある。
<解説>
判例は、業務上の注意義務の有無に関し、被告人の地位や職責、権限に加え、その職務の遂行状況の実体等の諸事情を前提として、結果発生の危険性や、それに対する支配、管理性などの事情を実質的、総合的に考慮し、刑法上の注意義務としての結果回避義務を肯定できるかどうかを判断。
判例時報2240
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