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2015年2月26日 (木)

参議院議員定数訴訟大法廷判決

最高裁H26.11.26    

公職選挙法14条、別表3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の合憲性
・・参議院議員定数訴訟大法廷判決 
 
<事案>
平成25年7月21日施行の参議院議員通常選挙について、東京都選挙区及び神奈川県選挙区の選挙人であるXらが、公職選挙法14条、別表第三の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は憲法に違反し無効であるから、これに基づく施行された本件選挙の上記各選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙無効訴訟。 
 
<前提事実>
選挙区間の最大較差:
参議院議員選挙法制定当時:2.62倍

人口変動⇒
平成4年に施行された参議院議員通常選挙当時には6.59倍

平成6年の公職選挙法の改正による7選挙区の定数を八増八減する措置⇒4.81倍

平成13年から平成19年までに施行された各通常選挙当時において5倍前後で推移

最高裁大法廷:

昭和58.4.27:最大較差5.26倍であった昭和52年施行の通常選挙につき、いまだ違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態が生じていたとするには足らない

最高裁H8.9.11:選挙区間の最大格差が6.59倍に達した平成4年施行の通常選挙につき、上記の状態(違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態)が生じていた
・・・・・

平成22年選挙につき、最高裁H24.10.17:
結論において同選挙当時における本件旧定数配分規定が憲法に違反するに至っていたとはいえないとしたものの、長年にわたる制度及び社会状況の変化を踏まえ、都道府県を各選挙区の単位とする仕組みを維持しながら投票価値の平等の要求に応えていくことはもはや著しく困難な状況に至っていることなどに照らし、違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態が生じていた旨判示。
 
<判断・解説>

参議院選挙に係る定数配分規定の憲法適合性(憲法14条1項等に違反するかどうか)については、昭和58年大法廷判決において
①当該定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡が違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態(いわゆる違憲状態)に至っているか否か
当該選挙までの期間内に当該不均衡の是正がされなかったことが国会の裁量権の限度を超えるに至っているか否か
各観点から検討するという基本的な判断の枠組み。 
 
●上記①について
憲法は、選挙権の平等、換言すれば、議員の選出における各選挙人の投票の有する影響力の平等、すなわち投票価値の平等を要求している。
but
憲法は、国民の利害や意見を公正かつ効果的に国政に反映させるために選挙制度をどのような制度にするかの決定を国会の裁量に委ねている

投票価値の平等は、選挙制度の仕組みを決定する唯一、絶対の基準となるものではなく、国会が正当に考慮することができる他の政策的目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきもの。 

憲法が、二院制の下で、参議院議員につき任期を6年の長期とし、解散もなく、選挙は年ごとにその半数について行うことを定めている趣旨は、これらによって、多角的かつ長期的な視点からの民意を反映させ、衆議院との権限の抑制、均衡を図り、国政の運営の安定性、継続性を確保しようとしたものと解される。

いかなる具体的な選挙制度によって、上記の憲法の趣旨を実現し、投票価値の平等の要請と調和させていくかは、国会の合理的な裁量に委ねられると解すべきところであるが、その合理性を検討するに当たっては、参議院議員の選挙制度が儲けられてから60余年にわたる制度及び社会状況の変化を考慮することが必要。

平成24年大法廷判決において指摘されているように、上記の状態を解消するたねには、一部の選挙区の定数の増減にとどまらず、現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要であるが、上記四増四減の措置は、上記制度の仕組を維持して一部の選挙区の定数を増減するにとどまり、現に選挙区間の最大較差(本件選挙当時4.77倍)については上記改正の前後を通じてなお五倍前後の水準が続いていたのであるから、上記の状態を解消するには足りない

平成24年改正法による上記の措置を経た後も本件選挙当時に至るまで本件定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡は、前回の平成22年選挙当時と同様に違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものというべき。

平成24年大法廷判決の趣旨に沿って平成24年改正法の改正内容(上記四増四減の措置)の評価を検討した上で、同改正後も引き続きいわゆる違憲状態にある旨の判断
 
●上記②について
制度及び社会状況の変化によっていわゆる違憲状態に至ったと評価される本件の場合、その旨の判断を示した平成24年大法廷判決の言渡しにより国会において上記の状態に至っていると認識し得た時点が上記の期間の始期になる。

単に期間の長短のみならず、是正のために採るべき措置の内容、そのために検討を要する事項、実際に必要となる手続や作業等の諸般の事情を総合考慮して、国会における是正の実現に向けた取組が司法の判断の趣旨を踏まえた裁量権の行使の在り方として相当なものであったといえるか否かという観点にたって評価すべき。

是正のために採るべき措置の内容が、現行の選挙制度の仕組みの見直しを内容とする立法措置であることから、そのために検討を要する事項は、高度に政治的な判断を求められるなど事柄の性質上課題も多く、検討に相応の時間を要するものであり、実際の手続や作業も、各会派の協議を経た改正の方法や制度設計の方法の策定及び具体的な改正案の立案の各過程における諸々のものが必要となること等を踏まえた上で、投票価値の不均衡がいわゆる違憲状態に至っていることを国会が認識し得た平成24年大法廷判決の言渡し時から本件選挙までの約9か月の期間内にこれらの手続や作業を経て所要の法改正を了することは実現の困難な事柄であった。
 
司法権との関係を踏まえ、上記のような考慮すべき諸事情に照らすと、国会における是正の実現に向けた取組が平成24年大法廷判決の趣旨を踏まえた国会の裁量権の行使の在り方として相当なものでなかったということはできず本件選挙までの間に更に上記の見直しを内容とする法改正がされなかったことをもって国会の裁量権の限界を超えるものとはいえない

本件選挙までの間に更に上記の見直しを内容とする法改正がされなかったことをもって国会の裁量権の限界を超えるものとはいえない。

本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたとはいえない

判例時報2242

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