« 特許権の存続期間延長登録出願と先行処分による禁止解除の有無 | トップページ | 年金支払特約が付された変額個人年金保険契約によって発生する受給権は、同法24条1項柱書きに規定する「定期金給付契約で当該契約に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているものに関する権利」として、同項に基づいて権利の価額を算定すべき »

2015年2月18日 (水)

婚礼披露宴実施業者の利用する契約上のキャンセル料条項が消費者契約法9条1号により無効といえないとされた事例

京都地裁H26.8.7   

婚礼披露宴実施業者の利用する契約上のキャンセル料条項が消費者契約法9条1号により無効といえないとし、適格消費者団体の差止請求が棄却された事例 
 
<事案>
適格消費者団体が消費者契約法12条3項に基づき事業者に対してキャンセル料条項を内容とする意思表示の差止め、契約書用紙の破棄を請求し、キャンセル料条項が同法9条1号に違反するかが問題となった事案。 

Yは、消費者とのの間で、挙式披露宴の開催日の1年以上前から挙式披露宴実施契約を締結し、Yの作成に係る契約約款を締結。
消費者は、本件契約を締結すると、申込金10万円をYに支払い、消費者の都合により本件契約を解除する場合には、所定のキャンセル料(これから印刷物、納品済みの物品の実費、外注品等の解約料、手配が完了している別注品の料金を除く部分が本件キャンセル料)を支払う旨の本件キャンセル料条項を規定。
 
<規定>
消費者契約法 第9条(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
 
<争点>
①本件キャンセル料条項のうち、申込金の全部又は一部を本件キャンセル料と定めた部分と消費者契約法9条1号の規制対象
②平均的な損害の額の超過の有無 
 
<判断>
●争点①について:
本件キャンセル料条項は全体が本件契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めたものとみるのが自然であり、大学の入学金のような地位を取得する対価の性質を有しない
⇒消費者契約法9条1号の規制対象となる。

● 争点②について:
①事業者は契約の相手方である消費者に債務不履行があった場合には、民法416条所定の通常生ずべき損害の賠償を請求でき、この損害には逸失利益が含まれる
同法420条に基づき損害賠償の額を予定することが許容されていること
③消費者契約法9条1号の規定は、前記の債務不履行の損害賠償の場合と別異に解する理由がないこと
同法9条1号の平均的損害には逸失利益が含まれる

本件キャンセル料の各項目を検討し、本件契約の解除による逸失利益は、本件契約が解除されなかったとした場合の得べかりし利益であり、その算定は本件契約に係る粗利益率を乗じて行うのが合理的

解除された本件契約のうち再販売があったものの損益相殺を行い、本件キャンセル料が平均的損害の額を超えない
⇒本件キャンセル料条項は同法9条1号により無効とはいえない。
 
<解説>
平均的損害には事業者の逸失利益も含まれるとした上、本件のキャンセル料が平均的損害を超えないとし、適格消費者団体の差止め請求を棄却した事例。 

判例時報2242

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

|

« 特許権の存続期間延長登録出願と先行処分による禁止解除の有無 | トップページ | 年金支払特約が付された変額個人年金保険契約によって発生する受給権は、同法24条1項柱書きに規定する「定期金給付契約で当該契約に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているものに関する権利」として、同項に基づいて権利の価額を算定すべき »

判例」カテゴリの記事

民事」カテゴリの記事

消費者」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/132655/61159659

この記事へのトラックバック一覧です: 婚礼披露宴実施業者の利用する契約上のキャンセル料条項が消費者契約法9条1号により無効といえないとされた事例:

« 特許権の存続期間延長登録出願と先行処分による禁止解除の有無 | トップページ | 年金支払特約が付された変額個人年金保険契約によって発生する受給権は、同法24条1項柱書きに規定する「定期金給付契約で当該契約に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているものに関する権利」として、同項に基づいて権利の価額を算定すべき »