所属弁護士会による戒告の懲戒処分を相当とする判断には、裁量権の逸脱又は濫用はないとされた事例
東京高裁H25.10.30
近隣居住者間のの紛争の当事者から交渉を受任した弁護士において、相手方の勤務先会社に対し、相手方が嫌がらせ行為をしているので指導監督など必要な対応を要望する旨の通知書を送付することは、弁護士の行為として不適切であり、その品位を失うべき非行に当たり、所属弁護士会による戒告の懲戒処分を相当とする判断には、裁量権の逸脱又は濫用はないとされた事例
<規定>
弁護士法 第56条(懲戒事由及び懲戒権者)
弁護士及び弁護士法人は、この法律又は所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し、所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける。
弁護士法 第59条(懲戒を受けた者の審査請求に対する裁決)
日本弁護士連合会は、第五十六条の規定により弁護士会がした懲戒の処分について行政不服審査法による審査請求があつたときは、日本弁護士連合会の懲戒委員会に事案の審査を求め、その議決に基づき、裁決をしなければならない。
弁護士法 第61条(訴えの提起)
第五十六条の規定により弁護士会がした懲戒の処分についての審査請求を却下され若しくは棄却され、又は第六十条の規定により日本弁護士連合会から懲戒を受けた者は、東京高等裁判所にその取消しの訴えを提起することができる。
2 第五十六条の規定により弁護士会がした懲戒の処分に関しては、これについての日本弁護士連合会の裁決に対してのみ、取消しの訴えを提起することができる。
<判断>
懲戒対象行為②において、XがBの勤務先会社に送付した通知書は、A夫婦とBとの間で生じ約4年間にわたり継続している近隣紛争でBがしたとする嫌がらせ行為等の内容を具体的に知らせ、指導監督する等を求めるものであるところ、その内容は、プライバシー情報であり、事実関係の確認も不十分である上、職務に関するものではなく勤務先が指導監督する根拠はない
⇒弁護士として不適切と言わざるを得ず、弁護士の品位を失うべき非行に当たる。
⇒原処分・本件裁決の認定判断に誤りはなく、処分の程度も、裁量権の範囲を超え又は裁量権を濫用してされたとはいえない。
<解説>
弁護士会による懲戒権の行使は、弁護士自治の根幹を成すものであり、ある事実関係が弁護士法56条に定める「品位を失うべき非行」に該当するか否か、該当するとした場合に懲戒するか否か、懲戒するとしてどのような処分をするかについては、弁護士会の合理的な裁量に委ねられており、懲戒処分は、全く事実の基礎を欠くか、又は社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権の範囲を超え又は裁量権を濫用してされたと認められる場合に限り、違法となる。(最高裁H18.9.14)
品位を失うべき非行とは、一般条項であり、職務上の義務違反のほか、私生活上のものも含まれると解されている。
「品位を失うべき非行」の類型:
①執務により関係者の利益を害するもの
②執務により相手方の利益を害するもの
③依頼者の利益を害する行為
④私生活上の行為
本件は②の類型。
②の類型の裁判例:
(1)弁護士が、遺産分割に関して、相続人の1人から委任され、他の相続人に対し通知書を交付した際に、通知書をもって被通知人に事実を誤信させ、又は錯誤に陥らせて、依頼者のために有利に交渉を進めようとしたことは、弁護士としての品位を失うべき非行に当たる。(東京高裁H19.9.5)
(2)妻から離婚のための手続を受任した弁護士において、客観的証拠を確認せず妻から事実を聴取したのみの段階で、夫の上司に対し、夫が傷害罪、器物損壊罪を犯したと告げ指導を求めたことは、夫のプライバシーを侵害するとともに名誉・信用を毀損するものであり、夫の勤務先官庁に対し、夫に傷害・器物損壊の非行があり、その上司には監督責任に係る非行があるとして、懲戒処分を求める書面を提出したもので、弁護士としての品位を失うべき非行に当たる。(東京高裁H25.5.8)
判例時報2232
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コメント
弁護士は虚偽事由で提訴する!
実態は以下のとおり酷い。
虚偽事由で提訴(訴訟詐欺)することは正当な弁護士業務だと主張する黛千恵子(坪田)・坪田康男・八木宏らは、詐欺罪で告発受理(2014~2015)されていたようですが福井弁護士会は、反省も謝罪もせずに知らぬ振りして何らかの処置もしていないようです。
それどころか、福井弁護士会は、「虚偽事由で提訴することは正当な弁護士業務だ」と議決して擁護(教唆・幇助)し続けているらしいです。
被害者は、更なる侮辱や訴訟詐欺にあう事を恐れ恐怖の日々を過ごしているみたいです。
権力を有した組織的な犯罪が放置される中で正義など通用するはずもなく、おそらくは一人ひとりと食い物にされることになるのでしょう。
人権擁護や正義などは眼中に無いようです。
危うし! 日本
投稿: | 2016年2月27日 (土) 14時43分
裁判官樋口英明らは、 「虚偽事由で提訴すること(訴訟詐欺)は正当だ」などと主張し実践する福井弁護士会らを相手の訴訟に対して、 「裁判では虚偽は到底許される」 などと被害者に判決言い渡したらしいです。
司法に正義などありません。
投稿: | 2016年4月16日 (土) 12時12分
>原発訴訟団の弁護士島田宏は、「国民の常識が司法に生かされ国民の安全と基本的人権が守られる時代の到来を期待しています」と述べた。 とありますが、そんな発言を本当にしているんですか?
弁護士の島田宏は、「虚偽事由で提訴したり侮辱したりすることは正当な弁護士業務」 と福井弁護士会長のときから胸を張って主張している人物です。
どうして平然とこの様なことを言えるのでしょうか。
しかも、あろうことか 消費者庁消費者教育員の職におり詐欺撲滅をうたい文句にしてるとか。
詐欺の件、疑うのであれば以下の件、本人に確認下さい。
弁護士は虚偽事由で提訴する!
実態は以下のとおり酷い。
虚偽事由で提訴(訴訟詐欺)することは正当な弁護士業務だと主張する黛千恵子(坪田)・坪田康男・八木宏らは、詐欺罪で告発受理(2014~2015)されていたようですが福井弁護士会は、反省も謝罪もせずに知らぬ振りして何らかの処置もしていないようです。
それどころか、福井弁護士会は、「虚偽事由で提訴することは正当な弁護士業務だ」と議決して擁護(教唆・幇助)し続けているらしいです。
被害者は、更なる侮辱や訴訟詐欺にあう事を恐れ恐怖の日々を過ごしているみたいです。
権力を有した組織的な犯罪が放置される中で正義など通用するはずもなく、おそらくは一人ひとりと食い物にされることになるのでしょう。
人権擁護や正義などは眼中に無いようです。
投稿: | 2016年5月11日 (水) 10時33分