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2014年10月 8日 (水)

暴力団員であるのに暴力団員でないことを表明、確約して口座開設等を申し込み通帳等の交付を受けた行為が、詐欺罪に当たるとされた事例

最高裁H26.4.7   

約款で暴力団員からの貯金の新規預入申込みを拒絶する旨定めている銀行の担当者に暴力団員であるのに暴力団員でないことを表明、確約して口座開設等を申し込み通帳等の交付を受けた行為が、詐欺罪に当たるとされた事例 

<規定>
刑法 第246条(詐欺) 
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

<判断>
総合口座の開設並びにこれに伴う総合口座通帳及びキャッシングカードの交付を申し込む者が暴力団員を含む反社会的勢力であるかどうかは、本件局員らにおいてその交付の判断の基礎となる重要な事項であるというべきであるから、暴力団員である者が、自分が暴力団員でないことを表明、確約して上記申込みを行う行為は、詐欺罪にいう人を欺く行為に当たり、これにより総合口座通帳及びキャッシュカードの交付を受けた行為が刑法246条1項の詐欺罪を構成することは明らかである。

<解説>
暴力団員等の反社会的勢力との取引拒絶規定は、平成19年6月に「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」(平成19年6月19日犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)が示され、これに基づき平成20年3月に金融庁の「主要行等向けの総合的な監督指針」等に反社会的勢力による被害の防止に関する条項を追加する改正⇒全国銀行協会等の金融機関の業界団体が銀行取引約定書等に盛り込む場合の暴力団排除条項の参考例を制定。 

銀行の通帳等の交付を受けることが詐欺罪に当たるとした最高裁判例:
申込者が他人に成りすました最高裁H14.10.21
申込者が預金通帳等を第三者に譲渡する意図を隠していた最高裁H19.7.17

いわゆる振り込め詐欺に預金口座が不正利用されている状況を背景に、口座の利用主体が偽られた事案

詐欺罪にいう「人を欺いて」とは、相手方が財産的処分行為をするための判断の基礎となる重要な事項を偽ること(判例)。

他の者を搭乗させる意図を秘し、航空会社の登場業務を担当する係員に外国行きの自己に対する搭乗券の交付を請求しその交付を受けた行為詐欺罪に当たる(最高裁H22.7.29)

入会の際に暴力団関係者を同伴しない旨誓約したゴルフ倶楽部会員において、同伴者が暴力団員であることを申告せずに同人に関するゴルフ場の施設利用を申し込み、施設を利用させた行為詐欺罪に当たる(最高裁H26.3.28)

判例時報2228

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