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2014年10月22日 (水)

アンゴラ国籍を有する外国人の難民該当性(肯定)

東京地裁H26.4.15    

1.アンゴラ国籍を有する外国人に対して法務大臣がした難民の認定をしない処分の取消し処分が認容された事例
2.難民であることを考慮せずにされた在留特別許可をしない旨の処分及び退去強制令書発付処分が無効であるとされた事例
 
<事案>
アンゴラ国籍を有する外国人男性であるXが、出入国管理及び難民認定法(「入管法」)61条の2第1項に基づき難民認定の申請をしたところ、法務大臣から、難民の認定をしない旨の処分(「本件不認可処分」)を受けるとともに、東京入国管理局長から、入管法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない旨の処分(本件在特不許可処分)を受け、さらに、東京入国管理局主任審査官から、退去強制令書の発付処分(「本件退令処分」)を受けた

本件不認可処分の取消し本件在特不許可処分及び本件退去処分の各無効確認を求めた。

<争点>
①本件不認定処分の違法性(Xの難民該当性)
②本件在特不許可処分の無効事由の有無
③本件退令処分の無効事由の有無
but
主たる争点は、Xの難民該当性。 
 
<判断>
①について、・・・Xが、アンゴラ政府当局から、反政府組織であるFLECに所属して活動していると把握され、迫害を受けたものであり、アンゴラ政府から迫害を受けるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であると認めることができる。⇒Xは入管法にいう難民に該当する⇒本件不認定処分は違法であって取り消されるべきである。 
②について、Xが難民に該当しないことを前提としてされた本件在特不許可処分は、当然に違法であるところ、その結果、Xを迫害のおそれのある国に向けて送還しようとする点において入管法の根幹にわたる重大な瑕疵を有するもの
⇒本件在特不許可処分は当然無効と解するのが相当
③についても同様に、本件退令処分は当然無効。
 
<解説>
本判決は、Xの主張する個別事情に関し、Xの供述には信用性が認められるとして、Xの供述などを基に、Xの主張におおむね沿う形で事実認定をした。 

一般に、難民該当性が問題とされる事案は、客観的な証拠に乏しい場合も少なくなく、原告の供述の信用性を取り分け十分に吟味すべき。

本判決は、Xの供述の信用性を争うYの主張に対し、その指摘する各事情について、客観的な証拠との対照、本邦に上陸した後の各手続におけるXの供述の内容や経過などを踏まえつつ、Xの供述の信用性に疑問を生じさせるような事情は見当たらないとしてこれを排斥。

判例時報2230

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