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2014年10月 5日 (日)

更生債権に関する訴訟が更正手続開始前に係属し受継されることなく終了した場合における当該訴訟に係る訴訟費用請求権の更生債権該当性(肯定)

最高裁H25.11.13    

更生債権に関する訴訟が更正手続開始前に係属し受継されることなく終了した場合における当該訴訟に係る訴訟費用請求権の更生債権該当性 

<事案>
更生債権に関する訴訟が更正手続開始前に係属し、当該訴訟が当然に終了した場合において、当該訴訟に係る訴訟費用請求権が更生債権に当たるか否かが問題となった事案。 

<事案>
Xは平成22年8月過払金返還請求訴訟を提起(「本案訴訟」)⇒武富士が同年9月に、保全管理命令⇒ 本案訴訟は中断⇒武富士は更生手続開始の決定を受け、Yが管財人に選任。
本案訴訟で請求していた金員の大半を更生債権として届出。
訴訟費用請求権については、更生債権としての届出をしなかった。
本案訴訟は、上記更生債権の確定及び認可決定により当然に終了。

Xが、民訴法73条に基づき、本案裁判所である札幌地方裁判所に対し、訴訟費用負担を命ずる決定の申立て(本件申立て)

原々審はY(管財人)に対し、訴訟費用の負担を命ずる決定。

原審は、原々決定を取消し、本件申立てを却下。
⇒Xが抗告許可の申立てをし、原審がこれを許可。
 
<Xの主張>
本件訴訟費用請求権は共益債権又は開始後債権に当たり、更生債権には当たらない⇒本件許可決定後においても訴訟費用の負担を命ずる決定の申立てをすることができる。 

<判断>
更生債権に関する訴訟が更正手続開始前に係属した場合において、当該訴訟が会社更生法156条又は158条の規定により受継されることなく終了したときは、当該訴訟に係る訴訟費用請求権は、更生債権に当たる。

原審の判断を維持し、本件抗告を棄却。 

<規定>
会社更生法 第2条(定義)
8 この法律において「更生債権」とは、更生会社に対し更生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権又は次に掲げる権利であって、更生担保権又は共益債権に該当しないものをいう。
・・・・
 
<解説> 
会社更生法では、「更生手続開始前の原因」(法2条8項)に基づいて生じた財産上の請求権は、更生債権。

〇A:一部具備説:
更生債権の発生原因の全部が更正手続開始前に具備している必要はなく、主たる発生原因、あるいは、債権発生の基本的構成要件該当事実を具備していれば足りる

意思表示などの債権発生の基本的構成要件に該当する事実が、更生手続開始決定前に存在していれば足りる。弁済期が到来しているとか、停止条件が成就しているなどの要件は必要ではなく、確定期限未到来の再建、停止条件付債権、解除条件付債権も更生債権となる」

×B:全部具備説

訴訟費用:民訴法第4章第1節の規定に基づき、事件を完結する裁判や和解における特例の定め等又は申立てに基づく訴訟費用の負担が定められる。
訴訟の係属とともに現実の訴訟費用は生じるものの、上記裁判等がされるまでは、訴訟費用の総額、負担者、負担割合は定まらず、訴訟費用請求権の有無を含めて確定しない。

訴訟費用請求権は、訴訟費用の裁判の言渡しにより発生し、裁判以前は単なる期待権(期待利益、あるいは将来の請求権)にすぎない(多数説)。

条件付債権又は将来の請求権とされる請求権の倒産法上の法的性質:

無委託の保証人が破産手続開始後に弁済をした場合において取得する求償権
について、「保証契約が主たる債務者の破産手続開始前に締結されていれば、当該求償権の発生の基礎となる保証関係は、その破産手続開始前に発生しているということができる」として、破産債権該当性を肯定(最高裁H24.5.28)。

賃貸人が破産等した場合における建物賃貸借契約における敷金返還請求権について、倒産実務では、同請求権が契約終了後明渡完了時に具体的に発生するとしても、手続開始前の敷金契約に基づく債権であるとして、破産債権該当性を肯定

本決定:
「訴訟の当事者に生じた訴訟費用については、民訴法に規定する要件及び手続に従って相手方当事者に対する請求権が発生するものとされている」

更生手続開始前にその訴訟費用が生じていれば、当該請求権の発生の基礎となる事実関係はその更生手続開始前に発生しているとうことができる

更生手続開始前に訴訟費用が生じていれば、訴訟費用請求権の主たる発生原因が具備されているということができ、当該請求権が更生債権に該当するとの見解。

訴訟が会社更生法156条、158条により受継された場合等、管財人が訴訟手続に関与。

破産債権確定訴訟における訴訟費用の負担については、異議者等が敗訴した場合、すなわち破産管財人が破産債権確定訴訟を遂行し敗訴した場合には、破産管財人は相手方の訴訟費用の負担を命じられ(民訴法61条)、この費用は財団債権となり破産財団が負担する(破産法148条1項4号)。

判例時報2228

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