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2014年9月29日 (月)

捜査段階の被告人供述の任意性・信用性が争点となった事例

①広島高裁H24.12.13
②長野地裁松本支

H25.3.4   捜査段階の被告人供述の任意性・信用性が争点となった事例

<事案>
①事件:被告人が共犯者らと飲酒していた際、電話での被害者の発言に立腹し、ナイフ等を携帯して被害者宅に押し掛け、殺意をもって、共犯者とともに被害者の腹部を突き刺するなどして死亡させた殺人の事案

②事件:被告人が自宅車庫に駐車中の妻の自動車のタイヤに放火し、また、義父母らと同居していた自宅に放火し、同放火行為をした重大な過失により義父母を死亡させた建造物等以外放火、現住建造物等放火、重過失致死の事案。 

<判断>
①事件:
捜査段階の被告人供述の任意性・信用性に関する証拠として、警察官の取調べメモのほか、警察において被告人が犯行状況を再現した様子を録音・録画したDVDが用いられた。

原審及び高裁判決は、取調べを担当した警察官が、「刺したことを認めた方が反省しているということで刑が軽くなる。」「今日がタイムリミット。」等の趣旨をの発言をしたことを認定。
but
この発言は、一般論を述べたもので、事実と異なることを供述するよう迫る趣旨のものではなく、説得の範疇にとどまる⇒自白の任意性・信用性を肯定

②事件:
検察官による取調べの状況を録音・録画したDVDが証拠採用され、判決は、取調べを担当した警察官らが「お前がやったんだろう。」「取調官は忙しいんだ。早く言わんかい。」などの言動を行ったことを認定した上で、任意同行当日、そのような追求的な取調べがされ、それにより被告人が精神的に動揺した可能性があるものの、それ以上に被告人が著しい精神的・肉体的苦痛を受けていたり、心理的に不当な強制を受けていたりしたことなどを疑わせるものはない
自白の任意性・信用性を肯定

<解説>
取調べの録音・録画⇒取調べの客観的な状況が明らかになることにより、被告人側が任意性を欠く根拠として主張する言動について、その有無や正確な内容等のほか、それが被告人の供述内容等に与えた影響の有無・程度等まで確認でき、被告人供述の任意性の有無の判断は容易になる。

②事件では、取調べの状況を録音・録画したDVDが、現住建造物等放火、重過失致死の事実を認定した証拠の標目にも掲げられる。

録音・録画のDVDを実質証拠として用いることができるか:
被疑者による犯行再現結果を記録した写真撮影報告書中の写真部分の証拠能力について、再現されたとおりの犯罪事実の存在が要証事実となる場合、刑訴法322条1項所定の要件を満たす必要がある。

撮影、現像等の記録の過程が機械的操作によってなされる⇒再現者の署名押印は不要。
(最高裁H17.9.27)

取調べの状況を録音・録画したDVDを実質証拠として用いることについては、刑訴法322条の準用によることができる。

刑訴法 第322条〔被告人の供述書面の証拠能力〕
被告人が作成した供述書又は被告人の供述を録取した書面で被告人の署名若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。但し、被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、その承認が自白でない場合においても、第三百十九条の規定に準じ、任意にされたものでない疑があると認めるときは、これを証拠とすることができない。
・・・

判例時報2226

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