第一審で開始された勾留につき、被告人の控訴により訴訟記録が控訴裁判所に到達した後に第一審裁判所に対して勾留理由開示の請求をすることの許否 (消極)
最高裁H26.1.21
第一審で開始された勾留につき、被告人の控訴により訴訟記録が控訴裁判所に到達した後に第一審裁判所に対して勾留理由開示の請求をすることの許否 (消極)
<事案>
第一審において勾留のまま有罪判決⇒控訴審で係属。
申立人(被告人)が、当該勾留に関し、第一審裁判所に勾留理由開示請求。
第一審裁判所が、本案が上訴審に移審した後は、第一審裁判所に対する勾留理由開示請求は許されないとして請求を不適法却下⇒抗告も棄却⇒特別抗告。
<判断>
抗告趣意は適法な抗告理由に当たらない⇒申立人の特別抗告を棄却。
なお書きで、
「抗告理由開示の請求は、勾留の開始された当該裁判所においてのみなすことを許されると解すべきところ、本件のように、第一審で被告人の勾留が開始された後、勾留のまま第一審裁判所が被告人に対して実刑判決を言い渡し、その後、被告人の控訴により訴訟記録が控訴裁判所に到達している場合には、第一審裁判所に対するものであっても勾留理由開示の請求をすることは許されない」と判示。
判例時報2223
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