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2014年8月 9日 (土)

特別抗告審において原決定が取り消され、保釈を許可した原々決定が是認された事例

最高裁H26.3.25   

特別抗告審において原決定が取り消され、保釈を許可した原々決定が是認された事例 
 
<事案>
連続・準強姦(未遂)被告事件について、保釈を認めた一審裁判所の決定を、抗告審が取り消した⇒特別抗告⇒原決定を取り消し、保釈を許可した原々決定を是認した事案 

被告人は、第4回公判期日までの審理で、併合事件を含め、全ての事実を認め、検察官請求証拠を全て同意し、それらが取り調べられた。
次回第5回公判期日には、被告人質問、被害者の意見陳述、論告弁論を行い、結審する予定。

第4回公判期日終了後、弁護人からの保釈請求⇒横浜地裁横須賀支部(受訴裁判所)は、保釈保証金を合計1500万円(各勾留それぞれにつき各750万円)、併合事件を含む被害者らとの接触禁止などの条件を付して被告人の保釈を認めた(原々決定)。
⇒検察官が抗告

東京高裁は、保険については、刑訴法89条1号、3号に該当する事由が認められ、また、被告人が重要な情状事実について事故に有利な罪証を隠滅するおそれが否定できないから同条4号に該当する事由も認められる。
そして、本件事案の悪質性、重大性、常習性に鑑みれば、裁量保釈は相当でないとして、原々決定を取り消し、保釈請求を却下。
 
<規定>
刑訴法 第89条〔必要的保釈と例外事由〕
保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
三 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
六 被告人の氏名又は住居が分からないとき。
 
刑訴法 第90条〔裁量保釈〕
裁判所は、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。
 
<特別抗告の趣意>
被告人には、刑訴法89条3号、4号の権利保釈除外事由は認められないし、これらがあるとしても、審理経過に加え、これまで前科前歴もなく、併合事件を含め被害者との示談も相当程度進んでいて、裁量保釈を認めるべきである。
これを認めずに保釈許可決定を取り消した原決定は、憲法31条に違反し、最高裁H24.10.26裁判集刑事308・481に違反し、刑訴法90条等の解釈適用を誤った違法がある 

<判断>
特別抗告の趣意は適法な抗告理由に当たらない。
職権で、被告人には権利保釈除外事由が認められるが、原々決定までの審理経過、妻が公判期日への出頭確保等を誓約していること、前科前歴がないこと等の事情があり、「以上のような本件事案の性質や証拠関係、併合事件を含む審理経過、被告人の身上等」に照らすと、「保釈条件を付した上で被告人の保釈を許可した原々決定は、その裁量の範囲を逸脱したものとはいえず、不当ともいえないから、これを取り消して保釈請求を却下した原決定には、刑訴法90条の解釈適用を誤った違法がある

判例時報2221

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