NHKの放送と不法行為(名誉毀損)(肯定)
東京高裁H25.11.28
NHKが放送した台湾統治を検証した番組により名誉やプライバシーを侵害されたとする台湾住民及び一方的で偏向した内容の本件番組により知る権利を侵害されたとする視聴者らが不法行為による損害賠償を求めた訴訟において、請求を棄却した第一審判決が変更され、台湾住民1人の請求が一部認容された事例。
<判断>
本件番組を制作したNHKの担当ディレクターは、日本を代表する報道機関のディレクターとして、全ての人に人間の尊厳を認め、公平かつ平等な報道を行うよう心がけるべきであり、報道によっていたずらに人の心を傷つけることがないよう細心の注意を払うべきであるにもかかわらず、一部の学者が唱えている「人間動物園」という言葉に飛びつき、その評価も定まっていないのに、その人種差別的な意味合いに全く配慮することもなく、これを本件番組の大前提として制作・放送し、明治43年の日英博覧会に志と誇りをもって出向いたパイワン族の人達を侮辱しただけではなく、好意で取材に応じたX3を困惑させて、本来の気持ちと違う言葉を引き出し、「人間動物園」と一体のものとしてそれを放送して、X3が有していた父親はパイワン族を代表してイギリスに行ったことがあるとの思いを踏みにじり、侮辱するとともに、それまでパイワン族の中でうけていた、パイワン族を代表してイギリスに行った人の娘であるとうい社会的評価を傷つけたことは明らか。
⇒
X3に対する不法行為を構成。
判例時報2216
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コメント
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投稿: 明 | 2014年6月12日 (木) 12時20分