弁護士会の懲戒処分に裁量権の逸脱・濫用はないとされた事例
東京高裁H25.9.18
「会社の債務整理を受任した弁護士において、①受任していない会社代表者の債務整理の受任通知書を発送し、②債権者一覧表、売掛金一覧を含む資産目録の速やかな作成、売掛金の回収、債権者集会の開催など基本的事務をしておらず、③会社所有不動産を任意売却した際の仲介手数料を、自身が監査役を務める二男が代表者である法人に交付したことは、弁護士として品位を失うべき非行に当たり、所属弁護士会による業務停止2月の懲戒処分を相当とする判断には、裁量権の逸脱又は濫用はない」としたケース。
<規定>
弁護士法 第56条(懲戒事由及び懲戒権者)
弁護士及び弁護士法人は、この法律又は所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し、所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける。
・・・
<解説>
弁護士会による懲戒権の行使は、弁護士自治の根幹を成すもの
⇒
ある事実関係が弁護士法56条に定める「品位を失うべき非行」に該当するか否かは、該当するとした場合に懲戒するか否か、懲戒するとしてどのような処分をするかについては、弁護士会の合理的な裁量に委ねられており、
懲戒処分は、全く事実の基礎を欠くか、又は社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権の範囲を超え又は裁量権を濫用してされたと認められる場合に限り、違法となる。(通説、判例)
判例時報2212
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